子供の身分(出生時期と各訴訟の関係)


民法733条1項は「女性は、前婚の解消又は取消しの日から100日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。」と定め、女性に再婚禁止期間を設けています。

この規定は、父が誰かという紛争の防止を未然に防ぐことにあると、解釈されています(最高裁平成7年12月5日判決)。

最高裁による違憲判決と、民法改正


女性の再婚禁止期間は以前は「6か月」でしたが「100日」に変更されています。

以前の民法

改正前民法733条(再婚禁止期間)
  1. 女は、前婚の解消又は取消の日から6か月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
  2. 女が前婚の解消又は取消の前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない。

違憲判決

最高裁平成27年12月16日判決
  民法733条1項の規定のうち100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分は,平成20年当時において,憲法14条1項,24条2項に違反するに至っていた

平成28年6月1日改正施行

民法733条(再婚禁止期間)
  1. 女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
  2. 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
    1. 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合
    2. 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合 

婚姻前後に出生した子の法律上の取扱


婚姻前後に、出産した子供の法律上の取扱は次のとおりです(民法772条)。

婚姻時期、出生時期と子どもの身分
婚姻時期、出生時期と子どもの身分
 

二重の推定

が及ぶ子

推定されない

嫡出子

推定の及ばない嫡出子

推定される

嫡出子

その他
 

嫡出推定重複

例)重婚・婚姻禁止期間中の婚姻

上図

懐胎不可能なとき

例)収監中、行方不明

上図  

訴え

父を定める訴え(民773)

親子関係不存在確認訴訟 嫡出否認の訴え(民775)

認知の訴え

(強制認知)

(民787)

提訴権者

子・母

前夫・後夫

利害関係人

子(の法定代理人)

【1】

相手方

前夫・後夫

子・母

  父・母
提訴期限 なし なし 父が出生を知って1年間
  • 父生存中いつでも
  • 父死後3年内

【1】

  • 子が他の男に認知されている場合:認知の効力を失わせたうえでなければ、認知の訴えを提起できない(東京地裁H13.2.20判決)。
  • 子が他の男の嫡出子と推定される場合:嫡出否認の訴えで勝訴しない限り、認知の訴えを提起できない。
  • 推定の及ばない子である場合:嫡出否認の訴えを経ず、認知の訴えを提起できる(最高裁S44.5.29判決)。
  • 推定されない嫡出子である場合:嫡出否認の訴えを経ず、認知の訴えを提起できる(最高裁S41.2.15判決)。

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