企業法務や司法書士業務では、様々な期間を正確に把握し、適切なタイムスケジュールなどを作成する必要があります。
法律の定めを概観した上、具体例に沿って解説します。
もくじ | ||
1. | 期間に関する法律の規定 | |
2. | 手続ごとの期間計算 | |
⑴ | 買戻特約・賃借権などの期間満了日(〇年間と定めたとき) | |
⑵ | 買戻特約・賃借権などの期間満了日(確定期日で定めたとき) | |
⑶ | 民事事件の控訴期間・判決確定日(原則通り、特別送達を受けた場合) | |
⑷ | 民事事件の控訴期間・判決確定日(付郵便送達を受けた場合) | |
⑸ | 債権者保護手続 | |
⑹ | 解散公告から清算結了までの期間 | |
⑺ | 株主総会招集通知から株主総会までの期間 |
期間の計算方法は、法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合又は法律行為に別段の定めがある場合を除き、この章の規定に従う。 |
139条 | 時間によって期間を定めたときは、その期間は、即時から起算する。 |
140条
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日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。 |
141条 | 前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。 |
142条
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期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。 |
Ⅰ | 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。 |
Ⅱ
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週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。 |
Ⅰ | 期間の計算については、民法の期間に関する規定に従う。 |
Ⅱ
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期間を定める裁判において始期を定めなかったときは、期間は、その裁判が効力を生じた時から進行を始める。 |
Ⅲ
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期間の末日が日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律 (昭和23年法律第178号)に規定する休日、1月2日、1月3日又は12月29日から12月31日までの日に当たるときは、期間は、その翌日に満了する。 |
「昭和40年5月5日付買戻特約」で「買戻期間7年」と定められていた場合
S40.5.5 | 買戻特約 |
S40.5.6_00:00 |
起算日(∵民法140条) |
S47.5.5_24:00
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起算日から7年間で期間満了日(∵民法143条) 期間の末日が日曜・祝日にあたるときは期間満了日は翌日になるので注意(民142) |
S47.5.6_00:00 |
「期間満了日の翌日」が登記原因日付 |
「買戻期間 昭和50年5月5日」と定められていた場合
S50.5.5_24:00 |
期間満了日(∵契約、民法143条) |
S50.5.6_00:00 |
「期間満了日の翌日」が登記原因日付 |
控訴期間は原告と被告とで別々に進行します(下の例は同時に受け取った場合です。)。
判決確定日は、原告と被告で判決を受け取ったのが遅い方から数えて2週間です。
相手方が判決を受け取ったかは不明ですので、裁判所に「判決確定予定日」を問い合わせるのが通常です。
7/31 | 判決正本受領 |
8/1_00:00 |
起算日1日目(∵民法140条) |
8/14_24:00
|
起算日から14日目(2週間)で控訴期間終了(∵民法143条、民訴285) 期間の末日が土曜・日曜・祝日にあたるときは期間満了日は翌日になるので注意(民訴95Ⅲ) |
8/15_00:00 |
判決確定 |
控訴期間は原告と被告とで別々に進行します。
判決確定日は、原告と被告で判決を受け取ったのが遅い方から数えて2週間です。
相手方が判決を受け取ったかは不明ですので、裁判所に「判決確定予定日」を問い合わせるのが通常です。
7/31 | 判決正本を付郵便送達で裁判所が発送=送達されたとみなされる(民訴107Ⅲ) |
8/1_00:00 |
起算日1日目(∵民法140条) |
8/14_24:00 |
起算日から14日目(2週間)で控訴期間の終了(∵民法143条、民訴285) 期間の末日が日曜・祝日にあたるときは期間満了日は翌日になるので注意(民142) |
8/15_00:00 |
判決確定 |
2/27 | 官報掲載日 |
2/28_00:00 |
起算日(∵民法140条) |
3/27_24:00 |
債権者が異議を述べる期間の満了(∵民法143条) 期間の末日が日曜・祝日にあたるときは期間満了日は翌日になるので注意(民142) |
3/28_00:00 |
減資や合併の効力を発生させても良い日(=登記可能日) |
H28.9.1_11:00 | 現理事長(初)選任、就任承諾 |
H28.9.2_00:00 | 起算日(∵民法140条) |
H30.9.1_24:00 |
任期満了(予定日) この時間までに再選(予選【1】)すれば「重任」できる。 |
行うべき登記 |
H30.9.2(_00:00)重任 |
【1】理事長を有効に予選するためには、予選決議に参加する理事が全員、従前から変更のないことが必要であるため、注意。
H30.9.1_11:00 |
現理事長の再選、就任承諾。 |
H30.9.2_00:00 |
起算日(∵民法140条) |
R2.9.1_24:00 | 任期満了(予定日) |
R2.10.3_11:00 | 現理事長の再選、就任承諾。 |
行うべき登記 |
R2.9.1退任 R2.10.3就任 |
2/27 | 官報掲載日 |
2/28_00:00 |
起算日(∵民法140条) |
3/27_24:00 |
債権者が債権を申し出る期間の満了(∵民法143条) 期限に遅れた債権者は清算から除斥される(会社503) 期間の末日が日曜・祝日にあたるときは期間満了日は翌日になるので注意(民142) |
3/28_00:00 |
会社は、債権者に対して、債務の弁済を開始して良い日(会社500) 債務の弁済が完了すれば、株主に対して残余財産の分配ができる(会社502) 残余財産分配が完了すれば、清算結了のための株主総会を開催でき、 承認を得られれば清算結了登記を申請できる。 |
株主提案権行使期限(会社法303) | |
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株主総会招集通知発送日(会社法299Ⅰ) | |
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株主総会の日 |