みなし解散の意味とデメリット(法務局からの「事業を廃止していないなら届出せよ」との通知又は税務署からの「みなし解散法人の申告についてのお知らせ」を受け取った場合)


法務省は、たびたび長期間登記がなされていない株式会社・一般社団法人・一般財団法人【1】に対して、「事業を廃止していないなら届出せよ。届出しなければ解散したものとみなす」旨、予告した上、届出しなかった法人を「解散した」ものとみなして、解散登記を行ってきました。

 

何等かの理由で「事業を廃止していないなら届出せよ。届出しなければ解散したものとみなす」旨の通知を受領していない法人も解散とみなされます。

 

「解散」とみなされるまでに早急に「届出」又は「登記」を行う必要があります。

 

みなし解散後、事業を継続したい場合には、こちら「解散からの会社継続」をご参照ください。

そのまま会社を閉めてしまう場合には、こちら「株式会社の解散・清算」をご参照ください。

【1】特例有限会社・合同会社・合名会社・合資会社などに対しては、「みなし解散」が行われることはありません。

もくじ
  1. こんな通知書が来ます
    1. 法務局からの「事業を廃止していないなら届出せよ」との通知
    2. 税務署からの「みなし解散法人の申告についてのお知らせ」
  2. みなし解散のデメリット
    1. 登記簿が汚れてしまい、対外的信用を失う。
    2. 法人税の確定申告が1回増えてしまう。
    3. 過料が課される。
    4. 会社継続登記のコストが高い
  3. 解散とみなされるまでの流れ
  4. ずっと放置しておくと、どうなるか
  5. 司法書士の報酬・費用
  6. Q&Aよくあるお問い合わせ
  7. 人気の関連ページ

こんな通知書が来ます。


これらの通知書が来たら、大ピンチです。

必ず大急ぎでお近くの当グループ事務所にお越しください。

法務局からの「事業を廃止していないなら届出せよ」との通知

事業を廃止していないなら届出せよとの通知(画像は法務省HPより)
事業を廃止していないなら届出せよとの通知(画像は法務省HPより)

税務署からの「みなし解散法人の申告についてのお知らせ」

税務署等のウェブサイトを探し回りましたが「みほん」が見つかりませんでした。

下記ブログに文言が掲載されていましたので、文言はリンク先でご確認ください。

税務署からの「みなし解散法人の申告についてのお知らせ」/司法書士内藤卓のLEGALBLOG/最終アクセス220514

みなし解散のデメリット


次のようなデメリットがありますので、早急に届出を行う必要があります。

1.登記簿が汚れてしまい、対外的信用を失う。

登記簿に「解散」という項目が表示され「令和〇年〇月〇日会社法第472条第1項の規定により解散」と記載されてしまいます。

登記事項証明書記載例
解 散  

令和〇年〇月〇日会社法第472条第1項の規定により解散

令和〇年〇月〇日登記

登記事項証明書記載例(旧法)
解散の事由 

平成14年12月3日商法第406条ノ3第1項の規定により解散

 
旧商法第406条の3
 
  1. 最後ノ登記後五年ヲ経過シタル会社ハ本店ノ所在地ヲ管轄スル登記所ニ未ダ営業ヲ廃止セザル旨ノ届出ヲ為スベキ旨ヲ法務大臣ガ官報ヲ以テ公告シタル場合ニ於テ其ノ公告ノ日ニ既ニ最後ノ登記後五年ヲ経過シタル会社ガ同日ヨリ二月内ニ法務省令ヲ以テ定ムル所ニ依リ其ノ届出ヲ為サザルトキハ其ノ会社ハ其ノ期間満了ノ時ニ解散シタルモノト看做ス但シ其ノ期間内ニ登記ヲ為シタル会社ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
  2. 3.(略)

2.法人税の確定申告が1回増えてしまう。

会社継続をしても、解散事業年度の法人税の申告義務を免れる訳ではありませんので、1回申告を余分に行う必要があります。税理士さんの報酬が余分にかかるということです。

事業年度始期 事業年度末 申告
事業年度開始の日 解散とみなされた日

解散事業年度の法人税確定申告

(消費税の申告)

解散日の翌日

会社継続日の前日

(法人税法14Ⅰ㉒)

清算事業年度の法人税確定申告

(消費税の申告)

会社継続の日

〇定款で定めた事業年度末

×継続の日から1年

(法人税法14Ⅰ㉒)

通常事業年度の法人税確定申告

(消費税の申告)

3.過料が課される。

過料は経費にできませんので、代表取締役のポケットマネーで支払う必要があります。

4.会社継続登記のコストが高い

会社継続登記のコストは、コチラをご覧ください。

概ね15~25万円かかります。

解散とみなされるまでの流れ


対象法人のピックアップ

法務省がピックアップします。

種類 対象となる法人

株式会社

12年間登記をしていない場合

一般社団法人

5年間登記をしていない場合

一般財団法人

5年間登記をしていない場合

法務大臣による公告

令和元年度に実施された第11回休眠会社の整理では、令和元年10月10日に公告されました。

法務局から「届出せよ」通知の発送

『公告から』2か月以内に「登記」又は「事業廃止してない届出」

通知が届かなくても、手続は進みます。

「公告」から2か月以内であって、「通知」から2か月ではありませんので、注意が必要です。

登記又は「事業を廃止していない旨の届出」を行ったか?

行わなかった場合

登記官が職権で解散登記

行った場合

正常な状態に戻ります。

今後は、登記漏れの発生しないよう司法書士に管理を依頼しましょう。


税務署からの「みなし解散法人の申告についてのお知らせ」

解散登記をされた後3年以内に限り「会社継続」が可能です。

会社継続についてはコチラをご覧ください。

解散したものとみなされた後3年以内に限られます(会473)。

解散したとみなされた日から3年以内に会社継続の決議を適法に行っていた場合には、会社継続登記は受理されますが、登記懈怠による過料が発生します。

ずっと放置しておくと、どうなるか?!


株式会社の場合、次の流れで会社が「登記簿すら」消されてしまいます。

最後の登記から12年経過 解散したものとみなす(会社法472)
解散登記から10年経過

登記官は、当該登記記録を閉鎖することができる

(商業登記規則81Ⅰ①)。

登記記録閉鎖から20年経過

登記記録は廃棄される(商業登記規則34Ⅳ②)

最後の登記から合計42年で登記簿すら消滅します。結構長いですね。

司法書士の報酬・費用


手続 司法書士の報酬
ご相談 5,500円(税込)/30分
廃止していない旨の届出 11,000円(税込)

ご相談を承った結果、登記申請が必要な場合には、その旨お伝えして見積額をお伝えします。

会社継続の登記費用は、こちら「解散からの会社継続」をご参照ください。

Q&Aよくあるお問い合わせ


Q.みなし解散登記を入れられましたが、「みなし解散登記」自体を抹消することは出来ますか?

貴社が株式会社で10年以上登記をしていなかったことによって「みなし解散登記」をされたのなら、抹消登記を申請することは不可能です。一方、特例有限会社や合同会社など役員の任期がない会社であるのに、抹消された場合は、間違って抹消された可能性があります。お近くの当グループ事務所にご相談ください。

(令和2年2月・あなまち司法書士事務所・司法書士佐藤大輔)


Q.みなし解散登記を入れられました。会社継続をした場合、解散事業年度の申告は不要になりますか?

会社継続をしても、解散事業年度の法人税の申告義務を免れる訳ではありませんので、1回申告を余分に行う必要があります。税理士さんの報酬が余分にかかるということです。

事業年度始期 事業年度末 申告
事業年度開始の日 解散とみなされた日

解散事業年度の法人税確定申告

(消費税の申告)

解散日の翌日

会社継続日の前日

(法人税法14Ⅰ㉒)

清算事業年度の法人税確定申告

(消費税の申告)

会社継続の日

〇定款で定めた事業年度末

×継続の日から1年

(法人税法14Ⅰ㉒)

通常事業年度の法人税確定申告

(消費税の申告)


人気の関連ページ