「少数株主権」とは、株主の権利の一つです。株主総会では多数決で各種決定が行なわれますが、少数勢力にも株式会社の業務執行を監視・監督する権利を与えたものを「少数株主権」といいます。
「単独株主権」とは、1株でも持っていれば行使できる株主の権利のことです。単独株主権は少数株主権の一種ともいえます。
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もくじ | |
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一株でも持っていれば、請求できる権利。
持株比率要件は同じなので、権利の種類ごとに整理しました。
株主が行使できる権利 | 株主の要件 | ||
持株比率要件 |
継続保有要件 【2】 |
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基本的 | 剰余金配当請求権(会105) | 1株以上 | 不要 |
残余財産分配請求権(会105) | 1株以上 | 不要 | |
株主総会における議決権(会105) 定款で議決権のない株式を定めること可能 |
1株以上 | 不要 | |
閲覧謄写 | 定款閲覧謄写請求権(会31Ⅱ) | 1株以上 | 不要 |
株主名簿閲覧謄写請求権(会125Ⅱ) | 1株以上 | 不要 | |
株主総会議事録閲覧謄写請求権(会318Ⅳ) | 1株以上 | 不要 | |
取締役会議事録閲覧謄写請求権(会371Ⅱ) 監査役設置会社などの場合、株主が当該権利を行使するには「裁判所の許可」が必要になる。 |
1株以上 | 不要 | |
CF.会計帳簿閲覧請求権は少数株主権です。 |
1株以上 | 不要 | |
吸収合併契約書などの閲覧謄写請求権 (会782、794、803、815など) |
1株以上 | 不要 | |
株主総会 |
株主総会における議題提出権(会303) 取締役会設置会社では少数株主権です。 |
1株以上 | 不要 |
株主総会における議案提出権(会304) | 1株以上 | 不要 | |
株主総会における議案通知請求権(会305) 取締役会設置会社では少数株主権です。 |
1株以上 | 不要 | |
役員選任議案における累積投票請求(会342) この請求権は定款で剥奪可能です。 |
1株以上 | 不要 | |
取締役会 | 取締役会招集請求権(会367) | 1株以上 | 不要 |
差止請求 |
募集株式発行差止請求 自己株式処分差止請求(会210) |
1株以上 | 不要 |
新株予約権発行差止請求(会247) | 1株以上 | 不要 | |
取締役の違法行為差止請求(会360) | 1株以上 | 必要【2】 | |
執行役の違法行為差止請求権(会422) | 1株以上 |
必要【2】 |
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略式組織再編行為の差止請求権(会796など) | 1株以上 | 不要 | |
訴訟提起 | 会社の組織行為の無効確認訴訟提起権(会828) | 1株以上 | 不要 |
1株以上 | 不要 | ||
株主代表訴訟提起権(会847) | 1株以上 | 不要 | |
特別清算開始申立権(会511) | 1株以上 | 不要 |
【2】継続保有要件とは
公開会社(=その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社〔会2⑤〕) | 株主権を行使する6か月前(定款で短縮可能)から引き続き株式を保有していること |
非公開会社(=譲渡制限会社=発行済全株式について譲渡をする際には株式会社の承認を要する旨の定款規定がある株式会社〔会2⑤反対解釈、会2⑰〕) | 継続保有要件は適用されません。 |
会社法では「譲渡制限がない株式が一部でも発行している場合」=「譲渡制限がある株式が一部でも発行している場合」には、「公開会社」として扱われています。
上場しているか否かは、関係がありません。
権利行使の要件が軽いものを上に、重いものを下に表示しました。
株主の要件 |
行使できる権利権利の内容 | ||
持株比率要件 【1】 |
継続保有要件 【2】 |
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最終完全親会社等の議決権または発行済株式の1% | 必要 |
多重代表訴訟提起請求権(会847の3) 特定責任追求等の訴えの提起を請求することができる。 |
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議決権の1% または 議決権300個 |
必要 |
株主総会議題提案権(取締役会設置会社)会社法303 一定の事項を株主総会の目的(議題)とすることを請求することができる。 取締役会非設置会社では単独株主権である。 |
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議決権の1% または 議決権300個 |
必要 |
議案通知請求権(取締役会設置会社)会305 株主が提出しようとする議案の要領を株主に通知することを請求することができる。 取締役会非設置会社では単独株主権である。 |
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議決権の1% | 必要 |
株主総会の検査役選任請求権(会306) 株主総会の手続を調査させるため、検査役の選任の申立てをすることができる。 |
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議決権の3% または 発行済株式の3% |
不要 |
業務執行に関する検査役の選任請求権(会358) 業務の執行について不正が疑われるときに、その調査のため、検査役の選任の申立てをすることができる。 |
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議決権の3% または 発行済株式の3% |
不要 |
会計帳簿またはこれに関する資料の閲覧・謄写を請求することができる。 CF.計算書類閲覧請求権は、単独株主権である。 |
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議決権の3% または 発行済株式の3% |
必要 |
役員解任請求権(会854) 一定の要件のもと役員解任の訴えを裁判所に提起できる。 |
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議決権の3% または 発行済株式の3% |
必要 |
清算人解任請求権(会479) 一定の要件のもと清算人の解任を裁判所に申立できる。 |
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議決権の3% | 不要 |
役員等の責任軽減への異議権(阻止権)会426Ⅶ 取締役会の決議によって役員の責任免除をするときに、それを阻止できる。 |
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議決権の3% | 必要 |
株主総会招集請求権(会社法297) 取締役に対して株主総会の招集を請求することができる。請求したのに株主総会が招集されない場合裁判所の許可を得て株主自ら株主総会を招集できる。 |
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会社法施行規則197条の数 | 不要 |
簡易合併等に対する反対権(会796Ⅲ) 簡易合併等の際に反対することにより株主総会決議を省略させなくできる。 |
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議決権の10% または 発行済株式の10% |
必要 |
やむを得ない事由があるときは、訴えをもって株式会社の解散を請求することができる。 |
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議決権の10% | 不要 |
募集株式発行時の株主総会請求権(公開会社)会206の2 募集株式を発行により支配株主が変わるときに、株主総会での決議を要求することができる。 |
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議決権の10% | 不要 |
募集新株予約権発行時の株主総会請求権(公開会社)会244の2 募集新株予約権を発行するときに、将来その新株予約権に株式が交付されることにより支配株主が変わるときに、株主総会での決議を要求することができる。 |
【1】定款に定めることにより、その要件を緩和している会社もあります。
【2】継続保有要件とは
公開会社(=その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社〔会2⑤〕) | 株主権を行使する6か月前(定款で短縮可能)から引き続き株式を保有していること |
非公開会社(=譲渡制限会社=発行済全株式について譲渡をする際には株式会社の承認を要する旨の定款規定がある株式会社〔会2⑤反対解釈、会2⑰〕) | 継続保有要件は適用されません。 |
会社法では「譲渡制限がない株式が一部でも発行している場合」=「譲渡制限がある株式が一部でも発行している場合」には、「公開会社」として扱われています。
上場しているか否かは、関係がありません。
業務内容 | 司法書士の報酬 | 費用 |
権利行使のため端緒となる書面作成(内容証明郵便) | 11~22万円(税込) | 内容証明実費 |