2015年のグループ創設以来、着実に会員事務所を増やしてきた「あなたの街の司法書士事務所グループ」。このインタビューでは、これまで、あまり語られることのなかった
インタビュアーは、当グループ会員の大庭清子司法書士がつとめます。
(2020/09/09公開)
インタビュア
本日は宜しくお願いいたします。
佐藤大輔
こちらこそ、急なインタビュアのお願いを快諾いただきまして、ありがとうございます。
インタビュア
概要は聞いていますが、このインタビューはどういう趣旨でご質問していけば宜しいでしょうか?
佐藤大輔
実はある方から、ある方というのはグループに勧誘している司法書士さんなんですけれども、その方から「司法書士がグループに加盟することで、私佐藤大輔個人や株式会社に何等かのメリットがあるのでしょうか?単に加盟する司法書士に対して集客等の貢献をするボランティア事業ではないでしょう。このあたりを説明してください。」と、言われまして。
インタビュア
なるほど!なかなか鋭いですね。
佐藤大輔
そうでしょ。鋭いでしょ!こんな鋭い質問をする司法書士には是非ともお仲間になっていただかないと。
インタビュア
本当にそうですね。是非仲間になってください(笑
さてと、では始めますね。
佐藤さんご自身には、あまり得がなさそうに見えるこのような事業を、会社を立ち上げてまで、やっているのはどうしてですか?!
佐藤大輔
私が加盟している専門家団体「こうべ企業の窓口」というのがあります。ここには色んな士業が所属しているんですけれど、とある日の飲み会で「司法書士って節税とか、別法人とか作っている人少ないですよね」という話しになって周りに聴くと確かに税理士も弁護士も社会保険労務士もみんな別法人を作ったりしてるんですよね。ですけど、法人設立と運営の大変さっていうのを司法書士なんで分かっていました。設立とその後のメリットを見比べると、節税のためだけに法人を作るのって、面倒なだけだとその時は思いました。
インタビュア
それでも、その言葉が頭の片隅にあって?
佐藤大輔
そうですね。その時の言葉が、株式会社設立の契機の一つにはなりました。
まぁ実際に株式会社の設立登記を申請したのは、そこから2年後になりましたけれど・・・
インタビュア
2年も考えて作った会社ということですか・・・
先程、契機の一つとおっしゃいましたが、契機は他にもあるということでしょうか?
佐藤大輔
はい。契機はたくさんあります(笑)
インタビュア
たとえば?
佐藤大輔
私の地元に小さな電気屋さんがありまして、大手量販店の波に飲み込まれてしまうのでは?!と思っていました。でも、久々に里帰りすると、何と沢山の電気屋さんとチェーン店化し、共同仕入れなどで提携して今も繁盛している姿を見て、これだ!と思いました。
インタビュア
街の電気屋さんが契機の二つ目ですね。
法人化して支店をたくさん出店すれば良かったのではないですか?
佐藤大輔
顧問税理士の指導で、司法書士法人化を考えたこともありました。ですけど、人が増えれば管理コストも大変だと思い、断念しました。
司法書士って不動産取引とか相続とか、スポット仕事が多いですよね。スポット仕事の売上が顧問契約などの定期的収入よりも大きいと、組織を大型化するのはリスクが大きいんです。人件費は、不景気などでスポット仕事が少なくなっても減ってはくれませんから。
その点、小さな事務所であっても沢山集まって業務を行なっていれば、皆さんが生き残りを掛けて智恵を出し合うので、小さくても多少の景気の山は乗り越えられると考えています。
それに法人化するよりも、すでに開業している同業の方と緩やかなタッグを組んで、ハイレベルなサービスを提供した方が、市民や同業司法書士のためになると思っているんですよ。
これは私見ですけど、法人の従業員司法書士って迫力がない気がするんですよね。開業している司法書士の方が圧倒的な迫力がある。これは何でかは分からないンですけど、最終自分一人が責任を負うという重責を日々感じながら執務なさっているからじゃないかと思います。
インタビュア
支店出すよりも、迫力のある開業司法書士を仲間に引き入れた方が早いと考えたということですね(3つ目の契機)。
佐藤大輔
そうです。それに、小さな事務所だと、一度受けた特殊な案件を再度受託することは数年後ということもあります。それは勿体ない。勿体ないから他の事務所にも使って貰おうと思ったのも契機の一つですね。
ノウハウ晒しすぎとか、先輩司法書士に言われることありますけど同業司法書士は敵じゃないし、僕の事務所だけでは、助けられる人数や地域に限度があるし、僕の試して巧くいったノウハウが少しでも同業の役に立てば嬉しいし。
インタビュア
勿体ないと思ったことが4つ目の契機ですね。
他にも、まだありますか?
佐藤大輔
良い仕事をする司法書士が集客も上手いことはマレで、逆に集客が上手い司法書士が良い仕事をするとは限らないことに気付いたことです。
良い仕事をする司法書士を応援することは、市民ひいては司法書士全体のために利益になることだと考えています。
どうせ自分一人で困ってる法人・市民を全員助けられる訳でもなし、だから、この方は!という方に声を掛けて、集客のお手伝いをする。
この仕事をしていると「どこに相談すれば良いか分からなかった」と言われることが、結構あるじゃないですか?「決して断わらない司法書士のグループ」を作って、皆で同じロゴを使用して、決して断わらないを誠実に実行する。そうすることで、市民は「ロゴ」を信用してくれるようになる。
そして何か相談事があれば「ロゴ」がある司法書士事務所を訪問してくれるようになる。これは当グループに所属している大きなメリットになりつつあると思います。それぞれの事務所の存在が、それぞれ各事務所の広告になっていると思いますね。
その意味ではコンビニフランチャイズであるセブンイレブンを研究して、ドミナント戦略を知ったことも大きいですね。
インタビュア
ドミナント戦略を知ったことが5つ目の契機ですね。
他には、もう・・・
佐藤大輔
TKC全国会を設立した税理士・故・飯塚毅(いいづかたかし)先生を主人公とした映画「不撓不屈」を見たことも契機(6つ目の契機)かもしれません。このインタビューのためにググると2006年の映画でした。何と最早14年も前のお話しですね。
インタビュア
その映画を見てどう感じたというか、ご感想は?
佐藤大輔
なんで司法書士には、TKCみたいな業務を支援する団体はないのだろうか?
インタビュア
私はまだその映画を拝見していませんが、おそらく
全然、映画の中身とは違うような・・・
佐藤大輔
そうですね・・・。でも、良い映画なので是非ご覧いただきたいです。
インタビュア
それに司法書士には、司法書士会があるじゃないですか?!
佐藤大輔
税理士にも税理士会はあります。
税理士会とTKCとの役割は違います。
税理士会の役割は、税理士に対する指導・監督です。
一方、TKCの業務は、業務標準化のための会計ソフトの提供や、税理士業務の経営ノウハウの提供です。
インタビュア
な、なるほど!
佐藤大輔
今、TKC全国会のHPを拝見してもやはり共感できますね。
「自利利他」の理念、「職業会計人の職域防衛と運命打開」そして「職域防衛」は職業エゴではないということ。
司法書士会の役員もさせていただいたんですけれど。
司法書士会は大切だけれど、大きすぎて素早く動けないことがある。
株式会社であれば皆さんの承認のもと色んなことがスグに出来るのが大きいです。
それに会員の指導・監督よりも、司法書士向けソフト・雛形の提供とか、司法書士向け経営ノウハウの提供の方が楽しいです。
インタビュア
確かにコロナ蔓延が始まったときの全会員事務所へのテレビ電話システムの配備も早かったですもんね。
さて、設立の契機になった話しは、もう十分すぎるほどおうかがいしました。
次に、株式会社を立ち上げたことによる佐藤さん個人または個人事務所の得っていうのは何かあるんでしょうか?
佐藤大輔
夢の実現のために、皆さんからいただいた会費の一部を使わせていただけることはありがたいです。
想定外のメリットは、やはり私が見込んだことだけあって(笑)、グループ内はいずれ劣らぬ司法書士ばかり。私が相談いただくことも多いですが、私が相談してもスコーンと答えてくれる先生が多いことですね。
インタビュア
「決して依頼を断わらない」ことだけ共通で、皆さん別々の強みをもっているということですね。
佐藤大輔
そうです。
それから、個人事務所のメリットとしては、やはり「ロゴ」を冠した司法書士事務所の一員になっているということで、信頼度は増していると思いますし、それぞれの事務所の存在自体が、それぞれ各事務所の広告になっていると思いますね。
インタビュア
その他に個人的なメリットはありませんか?
佐藤大輔
特にないですね。今は、同じ考えを持つ仲間が広がっていくのが楽しくて仕方がないというところでしょうか?
インタビュア
分かりました。
それでは最後に、これからどんな事業を手掛けていきたいですか?
佐藤大輔
グループとして、街全体、市全体、国全体に広がって、市民が困ったらすぐに相談できる仕組みを作りたいと思います。新しいインフラを作り出すことですね。街のインフラになることが出来れば、司法書士という資格が消滅することはありません。
それを実現するために、まだまだやりたいことはありますが、これまで通り、新しい取り組みを始める前には、取締役である司法書士の皆様にお諮りしたいと思います。
インタビュア
参加を検討されている方に、最後に一言ありますか?
佐藤大輔
単に社保に安く入るための仕組みだとは思って欲しくないですね。
インタビュア
社保への参加については、副次的な効果に過ぎないということですね。
それでは、本日はどうもありがとうございました。
佐藤大輔
コチラこそ、急なお願いだったのに、ありがとうございました。
今後とも宜しくお願いします。