仮差押決定書には、必ず仮差押解放金の額が定められています。
仮処分決定書にも、仮処分解放金の額が定められることがあります。
定められた額を「債務者」が供託すれば、「保全処分の執行」が取り消されます。
仮差押解放金 | 仮処分解放金 | |||
条文 | 民保22 | 民保25 | ||
付すことができる対象 | 仮差押の性質上、当然充足する。 | 保全すべき権利の基礎に金銭債権があり、この金銭の支払いを受けることにより、保全すべき権利の満足を得たのと同様の経済的効果がある場合に限られる。 | ||
解放金の必要性 | 必要的に付す | 任意的に付す | ||
付すに際し | 債権者の意見を聞く必要なし | 債権者の意見を聞く必要あり | ||
供 託 手 続 |
種類 | 一般型仮処分解放金 | 特殊型仮処分解放金 | |
意義 |
右以外を保全 例)占有移転禁止の仮処分 |
詐害行為取消権を保全 | ||
供託物 | ○金銭、×有価証券 | |||
管轄 |
発令裁判所又は執行裁判所の所在地を管轄する地裁の管轄区域内の供託所【1】 (民保22Ⅱ、民保25Ⅱ→民保22Ⅱ)
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供託者 |
○債務者、×裁判所の許可を得た第三者は不可 |
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供託通知書 | 添付不要∵弁済供託じゃない。 | |||
被供託者 | 空欄(記載不要) | 仮処分債権者 | 詐害行為の債務者 | |
供託の効果 | 執行の必要的取消し(供託書正本を示して、債務者が証明。民保51、民保57)【3】 | |||
仮差押債務者が取得する取戻請求権に対して仮差押の効力が及ぶ。 →他の債権者も、この取戻請求権を(仮)差押できる。【2】
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仮処分債権者は、本案の勝訴判決確定を停止条件とする還付請求権を取得する。 | 詐害行為の債務者は、本案の勝訴判決確定を停止条件とする還付請求権を取得する(民保65)。 |
【1】供託所管轄の補足
【2】事情届の要否
【3】解放金の供託によって取り消されるのは、あくまでも「保全処分の執行」です。
保全処分自体を取り消すためには、保全異議や保全取消しを申し立てる必要があります。
保全異議や保全取消しについては、下記をご参照ください。