手形や小切手など有価証券を紛失したときには、その支払いをうけるためには、手形や小切手を一度無効にしないといけません。
そのための手続が「公示催告」です。
従来、公示催告手続は「公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律」で規定されていました。
現在、非訟事件手続法第4編公示催告事件(非訟99)以下に規定され、除権「判決」から除権「決定」への変更など大幅な変更がありました。
他にも「公示催告」次のようなときに、利用することが可能です。
手形や小切手で支払いをうけるためには、その手形や小切手を手許に持っている必要があります。
手形や小切手を紛失した場合には、そのままでは支払いを受けられません。
このような場合には、裁判所において公示催告手続を行ないます。
抵当権者が行方不明のため共同申請によって抵当権を抹消できないときは、公示催告を申立(不登法70Ⅰ)、除権決定(非訟事件手続法106Ⅰ)に基づき、所有者が単独で抹消登記することができます(不登法70ⅠⅡ)。
会社法上の「株券喪失登録制度(会221以下)」によるべきとされ、公示催告手続きの対象から除かれた。
最寄りの当グループ各事務所へご相談ください。
公示催告の手続をしている間に、手形が流通し、換金されてしまっては、あなたは支払いを受けることができなくなります。まず「警察」「振出人」「(振出人を通じて)支払銀行」に連絡する必要があります。
振出人に連絡して下記情報を伝えてください。
(振出人を通じて)支払銀行に連絡して下記情報を伝えてください。
申立人:手形小切手を紛失した方など
管轄:手形小切手の支払地を管轄する簡易裁判所(非訟100)
手数料:1,000円ほか、予納郵券、官報公告掲載料
裁判所が書面審査をし、申立に理由があると認めれば、「公示催告手続開始決定」と「公示催告決定」をします。
【1】最低2か月。裁判所によって定める期間が異なるので申立て前に問合せが必要です。
次の内容が官報という政府発行の新聞に掲載されます。
同時に裁判所の掲示板にも掲載されます。
公 示 催 告 | |
次の申立人から別紙目録表示の〇〇〇〇について公示催告の申立があったので、その所持人は、下記権利を争う旨の申述をすると同時に有価証券を提出してください。もし下記権利を争う旨の申述の終期までに申述及び提出がない場合には、その無効を宣言することがあります。 令和○年(ヘ)第○号 申立人の住所 申立人 ○○○○ 権利の届出の終期 令和○年○月○日 令和○年○月○日 ○○簡易裁判所 (別紙)目録 ○○○○ |
申立が不適法又は理由がないことが明らかになった場合、公示催告手続き終了の決定がなされる(非訟104Ⅰ)。
申立人はこの決定に対して、即時抗告ができる(非訟104Ⅱ)。
権利の届出期間内に、手形を添付して届出がないときには、手形・小切手の無効が宣言され(非訟118Ⅰ)、申立人に証券を所持しているのと同じ地位が与えられます(非訟118Ⅱ)。
除権決定がなされると、その告知をもって(確定を待たず)その手形・小切手は無効になります。
また、除権決定は官報に掲載されます(非訟107)。
除 権 決 定 | |
次の申立人の申立てによって別紙目録表示の有価証券について公示催告をしたところ、定められた下記権利を争う旨の申述の終期までに適法に権利を争う旨の申述をし、かつ、有価証券を提出する者がなかったので、前記の有価証券の無効を宣言する。 令和○年(へ)第○号 申立人の住所 申立人 ○○○○ 権利を争う旨の申述の終期 令和○年○月○日 令和○年○月○日 ○○○簡易裁判所 (別紙)目録 約束手形 1通 手形番号 ○○987971 金額 5,000,000円 支払期日 令和○年○月○日 支払地 神戸市 支払場所 ○○銀行神戸支店 提出日 令和○年○月○日 振出地 神戸市 振出人 株式会社○○ 代表取締役 ○○○○ 受取人 申立人 最終所持人 申立人 |
手形・小切手の代わりに、除権決定正本をその手形・小切手の債務者に示して、支払を受けます。
概ね半年ほどです。
手続 | 司法書士の報酬・手数料 | 実費 |
公示催告申立書作成・提出 | 110,000円(税込) |
合計35,000円ほど 収入印紙:1,000円 郵券:3,000円ほど【1】 官報費用:22,000円ほど |
【1】簡裁によって予納郵券額は異なります。