株主総会を無かったことにしてしまう三つの手続です。
よく似た名前の訴訟ですが・・・別のものです。
分かりやすく表にまとめました。
株主総会決議 不存在確認の訴え |
株主総会決議 無効確認の訴え |
株主総会決議 取消の訴え |
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会社法830Ⅰ | 会社法830Ⅱ | 会社法831 | |
訴えの原因 |
①株主総会【1】が開催されていない ②決議がなされていない |
株主総会【1】の決議内容が法令違反【2】 |
株主総会【1】の ①招集手続・決議方法の法令定款違反・著しく不公正【4】 ②決議内容の定款違反 ③特別利害関係人の議決権行使により著しく不公正な決議となった【5】 |
提訴 期限 |
いつでも可能 |
いつでも可能 |
株主総会決議から3か月以内 |
訴外の主張 | 可能 | 可能 | 不可 |
原告 | 利害関係人【3】 | 利害関係人【3】 |
株主 取締役 監査役 執行役 清算人 |
被告 | 会社(会834⑯) | 会社(会834⑯) |
会社(会834⑰) |
管轄 | 被告会社の本店所在地を管轄する地方裁判所(会社835Ⅰ、834) | ||
原告の立担保 【6】 |
要(会836、834) | 要(会836、834) | 要(会836、834) |
併合 | 要(会837、834) | 要(会837、834) | 要(会837、834) |
判決の対世効 | 〇(会838、834) | 〇(会838、834) | 〇(会838、834) |
判決の遡及効 | 〇(会839) | 〇(会839) | 〇(会839) |
敗訴原告 | 悪意・重過失で提訴し、敗訴した場合には、被告会社に対して連帯して損害賠償をする義務を負う(会846、834) |
【1】株主総会、種類株主総会、創立総会、種類創立総会(会830)
【2】たとえば、株主の追加出資義務を定める決議、株主平等原則に反する決議
【3】株主、取締役、監査役、執行役は当然に含まれる。
【4】裁判所は、次の要件を全て満たす場合には、裁量棄却をすることができる。
①招集手続・決議方法の法令又は定款違反 | |
②重大でない瑕疵である | |
③決議に影響を及ぼさない瑕疵 |
【5】特別利害関係人たる株主の決議への参加
原則 |
参加してよい →その者が議決権行使をしたことにより著しく不当な決議がなされたときは、決議取消の原因となる。 |
例外 |
会社が特定株主から株式を有償取得する株主総会決議を行う場合の当該特定株主は、 株主総会決議に参加してはならない(会社法160Ⅳ) |
【6】立担保が命じられる要件
①被告会社が裁判所に「原告に担保提供を命じるよう」申立て(会836Ⅰ) | |
②被告会社が原告の会社に対する害意の疎明(会836Ⅲ) | |
③原告が取締役・監査役・執行役・清算人でないこと(会836Ⅰ) |