コロナ禍は先が見えません。
企業・事業主は、自らと雇用を死守するべく、
積極的に情報収集し、
自ら考え行動することが必要です。
皆様がこの非常事態を乗り越えていく一助になれば幸いです。
※ 4/19更新
公共交通機関よりも、感染リスクの低いマイカー通勤ですが、法律上の問題点もあります。
⑴ 事業主も事故の相手方に対して、法律上責任を負うことを理解する。
事業主が従業員のマイカー通勤を認めていて、従業員が通勤途中で人身事故を起こした場合、事業主も、運行供用者責任(自動車損害賠償保険法3条)、使用者責任(民法715条)によって損害賠償の責任を負います。
従業員の任意保険が十分であることが大前提ですが、事業主も賠償責任保険に加入しておく必要があります。
⑵ 従業員がケガをして労災認定された場合、労災認定に基づく遺族から会社への損害賠償請求を担保する使用者賠償責任保険(災害総合補償責任保険)の契約も必要となります。
マイカー通勤中の事故で、従業員がケガをして労災認定され、後遺障害が残ったり死亡した場合、労災認定に基づく遺族から会社への損害賠償請求では、事業主の賠償責任保険は免責とされているので、使用者賠償責任保険(災害総合補償責任保険)の契約も必要となります。
⑶ 従業員の保険証などのコピーを取得し、すべて有効期限を確認する。
①運転免許証
②車検証
③自賠責保険証
④任意保険の保険証券
・利用目的が通勤通学となっているか?
・保障範囲が、対物・対人ともに無制限になっているか?
⑷ マイカー通勤させる従業員と後日トラブルにならないよう書面を作成する。
①通勤使用だけでなく業務試用も認めるか
②通勤経費の負担(事業主・従業員間)
など
●時差出勤とは
始業、終業の時刻を労働者の決定に委ねる制度として、フレックスタイム制があります。
この制度は、1日の労働時間帯を、必ず勤務すべき時間帯(コアタイム)と、その時間帯の中であればいつ出社または退社してもよい時間帯(フレキシブルタイム)とに分けるものです。
なお、コアタイムは必須ではなく、全部をフレキシブルタイムとすることもできます。
フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き(厚労省パンフレット)
●就業規則変更の要否
就業規則の定めがなくても、個別合意で可能
●導入の可否
派遣労働者についても、派遣先が自ら雇用する労働者と同様に、テレワークを実施できる。
●就業規則変更の要否
導入のための就業規則変更の要否 | |
労働時間・労働条件変更なし | 不要 |
従業員が通信費・情報通信機器の費用負担なし | 不要 |
●適切な情報管理
テレワーク導入・活用に向けたテレワーク総合ポータルサイト
テレワーク実施のためのガイドライン(厚労省)
●助成金
働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)のコロナウィルス対策の特例
従業員が休業した場合の賃金・休業手当
原則:支払い義務なし(ノーワーク・ノーペイの原則)
例外:使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければなりません(労基法26)。
休業(欠勤)の理由 | 対応 |
コロナに感染した場合 | 休業手当を支払う必要はありません。 |
従業員の家族がコロナに感染した場合 従業員が濃厚接触者となった場合 |
一定期間出社させる訳にはいきませんが、従業員本人がコロナに感染しているとは限りません。 コロナ感染有無が確定するまでは・・・ 休業させ休業手当を支払うか 在宅勤務させ賃金を支払うか |
熱や咳がある場合があるが、就業可能な従業員を会社判断で休業させる場合 | 「使用者の責に帰すべき事由による休業」として休業手当を支払う必要がある。 |
体調が悪い従業員が自主的に休む場合 | 通常の病欠と同様、休業手当は不要です。 |
緊急事態宣言や行政からの要請や指示で事業を休止する場合 |
必ずしも休業手当を支払う必要性がないとはいえません【1】 |
パート、派遣労働者、有期契約労働者の場合 |
上記正社員と同様に取り扱う必要があります。 ∵同一労働同一賃金の原則 |
【1】不可抗力による休業とは、以下2つの要件をいずれも充たす必要があります。
要件❶ | 要件❷ |
休業原因が事業外部より発生した事故であること | 事業主が最大限の休業回避努力を尽くしたこと |
今回の緊急事態宣言や行政からの要請であれば要件を充たしている。
|
例えば
など休業させなくて良い方法を十分に検討し、それでも無理なとき |
労使の話し合いのうえ、就業規則等により休業させたことに対する手当を支払うことも可能だし、従業員の生活を守るためには支払ってあげることが望ましい。
有給の特別休暇制度を設ける場合にも、助成金がある。
助成対象事業者 | 都新型コロナウイルス感染症対策として、特別休暇の規定を新たに整備すること |
助成対象の取組 |
1 労務管理担当者に対する研修 2 労働者に対する研修、周知・啓発 3 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング 4 就業規則等の作成・変更 5 人材確保に向けた取組 6 労務管理用ソフトウェアの導入・更新 7 労務管理用機器の導入・更新 8 デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新 9 テレワーク用通信機器の導入・更新 10 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新 (小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など) ※研修には、業務研修も含みます。 ※原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。 |
事業実施期間 |
令和2年2月17日から同年5月31日まで |
申請受付締切 |
令和2年5月29日(必着) |
助成金上限 |
50万円 |
助成率 |
75% 80%(常時使用労働者数30名以下かつ6~10実施かつ所要額が30万円超) |
詳細は、働き方改革推進支援助成金(職場意識改善特例コース)(厚生労働省HP) |
コロナに罹患した従業員を休業させる場合、休業手当を支払う必要はありません。
従業員が被用者保険【1】に加入している場合 |
傷病手当金【2】が支給されます。 申請するよう指示してあげてください。 |
従業員が国保に加入している場合 | 国保には傷病手当金はありません。 |
従業員が業務又は通勤に起因して感染したと認められる場合 |
労災保険給付の対象となります。 労基署にご相談ください。 |
【1】次の4種類をまとめて「被用者保険」という。
全国健康保険協会(協会けんぽ) | 中小企業の従業員が加入 |
組合管掌健康保険(組合けんぽ) | 大企業の従業員が加入 |
共済組合 | 公務員が加入する |
船員保険 |
漁船乗員が加入する。 |
【2】傷病手当金の支給額
コロナで働けなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12カ月の平均の標準報酬日額の3分の2について、傷病手当金により補償されます。