M&A手続の見積を依頼したら、専門家によって十数万円~数十万円(時には数百万円)まで大きな金額の開きがあった。そんなご経験ありませんか?!
その理由は「M&Aの見積」を同じ肩書の専門家に頼んでも、安かった方と高かった方とで仕事の内容を全く違うものと捉えたからです。
✔安い方は、登記手続だけの見積書を出したのかもしれません(M&Aにデューデリが必要なことを知らない専門家もいます)。
✔高い方は、貴社のリスクを減らすために必要なデューデリ費用を含んだ見積書を出したのかもしれません。
まずは、M&Aをする買主が負担する費用には「どんな費用」があるか見ていきましょう。
もくじ | |
買主のM&A予算とは?! 失敗したことがあります。 DDでは何を調査する必要があるのか?! 貴社のM&A予算はおいくらですか?! 予算にあわせて「ご提案」します。 人気の関連ページ |
専門家やM&A仲介会社によって用語は異なりますが、買主様がM&Aに関連して必要になる費用は次のようなものです。
用語 | 説明 |
❶売買代金【2】 |
売主企業(株主)に支払う費用 役員退職金などの名目で支払うこともあります。 |
❷仲介手数料 |
仲介会社にマッチングを依頼した場合、売買が成立したときに支払います。 売主と買主が決まっている場合には不要です。 |
❸デューデリジェンス費用【1】【2】 |
企業精査するために弁護士・司法書士・税理士などを雇った場合に発生する。 |
❹名義書換費用 | 登記簿の書換えに必要な司法書士報酬と実費。 |
❺M&A実行後にかかる ことがある費用 【1】【2】 |
デューデリが不十分であった場合に発生する不測の費用。 例えば ✔会社が別会社の保証をしていた場合に発生する保証債務 ✔テナントの保証金 ✔未払残業代、不当解雇の損害賠償 ✔過料や罰金、税務リスク ✔訴訟を起こされたときに発生する弁護士費用、損害賠償金 などなど…上げれば切りがありません。 |
【1】「❺M&A実行後にかかることがある費用」が発生することを防止するために「❸デューデリジェンス費用」を支払うという関係にあります。
【2】「❸デューデリ」の結果、「❺M&A実行後に費用」がかかる可能性が高いときには、「❶売買代金」の値下げや一部支払い留保を要請するという関係にあります。
以前は、M&Aの見積を依頼されると、「100万円からです」とお答えしていました。
ところがその後「別の司法書士は30万円でやってくれたよ。先生のとこ高すぎるねん。」と言われ、その司法書士の仕事内容を拝見したことがあります。
その司法書士は、A3一枚の株式譲渡契約書を作って役員変更登記をしただけでした・・・。
皆様は、中古自動車を買うときでさえ、事故歴・冠水歴がないことや、変な歪みやキズがないことを確認すると思います。
中古住宅を買うときにも、不動産会社から重要事項説明を受けますよね。不動産会社は後日トラブルにならないように、一生懸命買主のために調査を行ないます。そして、不動産会社は重要事項説明書に記載されていないこと以外に問題がないことをある意味、保障しているのです。
会社を購入するときも同様です。司法書士に株式譲渡契約書を作成してもらって、役員変更登記も終わったとしてもM&Aの外見だけ整っただけなんです。
M&Aで売買代金を支払った後になって、対象企業に欠陥が見つかった場合、代替品を求めても通常は同じ会社はありませんし、損害賠償を請求しても既に売買代金を他に使っていたり、逃げられてしまうと取り返しがつきません。
冒頭の「失敗したことがあります」は、私が「デューデリジェンス費用」と「名義書換費用」をハッキリと区別せずに100万円~と申し上げたために、「デューデリジェンス」が必要だという説明を一切受けることなくM&Aをしてしまった社長がいるということです。
車や不動産は、所有者が公的機関(陸運局や法務局)に登録されています。
ところが、通常これらよりも高額である「会社」の所有者である株主を公的機関に登録する仕組みはありません。会社自身が登録し、管理しているのです。
その会社の管理が悪かったら?杜撰だったら?最悪な場合には嘘をついているかも?
株主は他にいるかもしれません。
ですから、会社設立時からの株主とその変遷を調査して、今、売主だと名乗っている株主が真実の株主なのか調査しないといけないのです。
売買代金を支払ったとしても、売主が真実の株主ではなかったら・・・その支払いは意味がないからです。
✔業務内容にリスクはないか?
✔不当な従業員の解雇を行なっていないか?
✔適正相場とはかけ離れた取引条件のものはないか?
✔バックマージンが違法とされている業界で、その支払いはないか?!
などなど
✔売買対象の企業を保証人として、他社が取引をしていないか?!
✔後日、罰金・税務リスク・ペナルティが発生しうる取引などを行なっていないか?
などなど
100万円の売買で、100万円も費用をお支払いできないというのも良く分かります。
また、極近しい間柄での売買や、従業員が社長から買うM&A、売主が超大金持ちなどの場合には、デューデリのフルコースを行なう必要はないかもしれません。
私たちにご依頼いただいた場合には、リスクをご説明した上で、貴社の予算に応じたチェック項目のカットを行ないご予算の範囲内でDDとクロージングを実行します。
適正な見積のために、色々うかがったり、一部の書類を拝見したりすることもあります。
1時間ごとに2.2万円の時間制でいただいています。1時間5.5万円のところもありますので、この点でも当グループ事務所にご依頼なさるメリットがあります。