令和6(2024)年10月1日、会社登記事項のうち代表取締役、代表執行者、代表清算人(以下「代表取締役等」といいます。)の住所の一部を非表示にすることができるようになります(商業登記規則の改正です。)。
X(旧・Twitter)などでは、起業家からは歓迎する声が多いものの、司法書士、弁護士など士業からは会社代表者を特定できなくなるなどと反対の声も多い模様です。
このコラムでは問題点や手続きをざっと説明したうえ、現時点の私見を述べたいと思います。
※ 令和6年7月26日法務省民商第116号「商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて(通達)」が発出されましたので、記事を更新しました。特に、特例有限会社には、非表示措置は適用されない(通達2頁)とのことで修正しました。パブコメ31を読み違えていた模様です。申し訳ございません。
もくじ | |
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〔凡例〕このコラムでは、以下のとおり略記します。
スタートアップを支援する専門家団体BAMBOO INCUBATORで【代取住所非表示措置】の概要について、お話ししましたので、ご参照ください。
現在、株式会社の役員について登記されている情報は、次のとおりです。
そして、これらの登記事項は、誰でも【1】、閲覧することができます。
法務局に行き「登記事項証明書」を取得する方法【2】や、インターネット経由で「登記情報提供サービス」【3】を取得する方法があります。
【1】「誰でも」というのは、言葉どおりで、登記されている事項を確認するために「正当事由」や「利害関係」を証明する必要もありません。
【2】正確な商号と本店が分かっていれば、全国の会社の登記事項を、全国どこの法務局でも取得することが可能です。登記事項を取得するために必要な申請書も法務局にあります。
【3】登記情報提供サービスは、法務局が保有する最新の登記情報をインターネットを通じてパソコン等の画面上で確認できる有料サービスです。最初に利用登録が必要ですが、一度登録してしまえば法務局に行かずに確認できるので便利です。詳細は、登記情報提供サービスをご確認ください。
代表取締役等の住所が、商業登記簿に公示されていることは重要なことです。
もっとも悪意のある第三者が、正当な理由もないのに、代表者の住所にアクセスすることができるのも問題です。さらに登記情報はオンラインで公開されている(上記の登記情報提供サービス)ため誰でも容易にアクセスできます。これによって、ストーカー被害に遭ったり、無意味に住所をSNSに晒されたりするという被害も聞きます。
本改正は、代表取締役等の住所の役割と代表取締役のプライバシーの保護のバランスを図ったものです。
このようなニーズのもと、非表示措置は、令和6(2024)年10月1日(火)から施行されます。
なお、公布は、令和6(2024)年4月16日、商業登記規則等の一部を改正する省令(令和6年法務省令第28号)です。
非表示措置を「選択できる法人」は次のとおり
非表示措置を「選択できない法人」は次のとおり
非表示措置を採用した場合には、採用した会社自身にも多数のデメリットが生じます。
その点を指摘したパブコメへの回答で、法務省は非表示措置のデメリットを「法務省ホームページ等において周知」する(パブコメ24)とし、次のようなデメリットを伝えています。
以下、デメリットについて、一つずつ説明します。
会社の登記は、目に見えない「会社」と実在する「代表取締役個人」とを①代表取締役の氏名と②代表取締役の住所という2つの情報で紐付けています。同姓同名の人は多く存在しても、同姓同名の人が同じ住所に存在していることは、まず考えられないためです。そこで、ある個人の本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証など)と、会社登記に記載された①氏名と②住所が一致すれば、「ある個人」が「当該会社の代表取締役」であると証明できることになるのです。
同姓同名の方が、住所まで同じということは考えにくい。
|| したがって
容易に「登記事項証明書」と「運転免許証」が結びつく
|| したがって
「目の前にいる方が、A株式会社の代表取締役である」と容易に分かる。
一方、非表示措置を採用した会社は、会社印鑑証明書を登記事項証明書とセットで提出することで、登記事項証明書を補おうとすることが考えられます。しかし、会社印鑑証明書には代表取締役の生年月日の記載はありますが、住所の記載はありません。同姓同名の人が、生年月日も同じことはあり得ることです。
したがって、非表示措置を施された会社が、登記事項証明書と会社印鑑証明書を提出することで、代表取締役住所が全部記載された登記事項証明書の代替となるか否かは、取引相手次第ということになります。
【1】代取の生年月日は、登記事項証明書の記載事項ではありません。
【2】代取の自宅住所は、印鑑証明書の記載事項ではありません。
同姓同名の方が、生年月日も同じことは、十分あり得る。
|| したがって
「登記事項証明書」「印鑑証明書」「運転免許証」を提出されても結びつきが弱い。
|| したがって
まだこれだけでは「目の前にいる方が、A株式会社の代表取締役である」と判断が困難。
▼ そこで
別途次のような「証明書」に法人実印を押印して、提出することも考えられます。押印された印鑑が会社実印か否かは、会社の印鑑証明書で確認できます。
会社の実印は法務局に届け出られていますので、会社実印をも持参した方が、氏名、生年月日も一致していれば「目の前にいる方が、A株式会社の代表取締役である」と判断して良いと考えられるからです。
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令和年月日
○○司法書士事務所 御中
会社の本店
会社の商号
代表取締役の資格氏名(法人実印押印)
証明書
当社では、代表取締役のプライバシー保護のために、登記事項の代表取締役住所を非表示とする措置を採用しておりますが、当社代表取締役の住所は、代表取締役個人の運転免許証に記載された下記住所と相違ありません。
したがって、貴職の面前にいる者を当社代表取締役として扱っていただいて支障ございません。
記
代表取締役の住所 神戸市○○区○○○
以上
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なお、より厳格に行う場合には、本人確認する方が、管轄法務局に出向いて、登記簿附属書類である登記申請書等の閲覧をする方法も考えられます。この記事の「第三者が非表示の代表取締役住所を確認する方法」をご参照ください。
住所非表示措置を単体で申し出することはできず、下記の登記とともに非表示申出を行う必要があります(規31の3Ⅰ、通達1頁、パブコメ25)。
上記のような登記事由が発生しない限り、ずっと表示されたままになります。例えば、役員任期を10年としている会社が、役員就任登記した直後の場合には、役員が引っ越さない限り、当分の間この申出はできないことになります。
上記のような登記を資格者代理人(司法書士等)が代理して行う場合には、当該資格者代理人が非表示申出を代理して行うことが可能です。非表示措置の終了申出も同様です(通達4頁ほか、パブコメ34)。
オンラインによる申出も可能です(通達9頁)。
DV被害者である代表取締役の住所非表示措置申出の費用が、無料である(令和4年8月25日民商第411号通達)ことから、今改正の非表示措置も無料(登録免許税など不要)で実施されるものと予想しています(パブコメ4参照)。
下記区分に応じた添付書類が必要です(規則31の3Ⅰ)。
上場会社である株式会社 |
上場会社以外の株式会社 | |
最 初 の 申 出 |
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以下⑴から⑶までの書類すべて
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申 出 の 更 新 |
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代表取締役の住所が変更しない限り、重任登記の際には、自動更新。ただし ①既に代表取締役等住所非表示措置が講じられている代表取締役等の住所変更登記をする場合 ②代表取締役等住所非表示措置の対象となる代表取締役等を追加する場合 以下⑵の書類のみ要する。
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【1】具体例としては「上場に係る情報が掲載された金融商品取引所のホームページの写し等が該当」し「この書面の当該株式会社の代表取締役等による奥書等は不要」とされた(通達3頁)。
【2】次の書類のいずれかです。
【2-2】「配達証明書と併せて当該株式会社の商号及び本店所在場所が送付先として記載された郵便物受領証の添付を要し、当該配達証明書及び郵便物受領証に記載された当該株式会社の商号又は本店所在場所が登記記録と合致しない場合には、代表取締役等住所非表示措置を講ずることはできない(通達3頁(ア))。」
したがって、個人名を併記しないと郵便物が届かない状況であれば、【2-3】の資格者代理人方式による他ないと思われます。
【2-3】資格者代理人の法令に基づく確認の結果を記載した書面の記載例は、以下のとおりです(通達別紙様式1)。職印の押印が必要です(職印証明書の添付要否については通達に記載がありません。)。
【3】具体例として次のものが挙げられています(通達4頁)。
住民票の写し、住民票記載事項証明書、戸籍の附票の写し、当該代表取締役等の氏名及び住所が記載された日本国領事が作成した証明書、運転免許証や個人番号カード等の写しであって、当該代表取締役等が原本と相違ない旨記載し、記名したもの。
また、次の点に対する注意事項が挙がっています(通達4頁)。
「なお、これらの証明書が代表取締役等住所非表示措置の申出と併せて行う登記の申請書に添付されている場合には、当該申出のための改めての添付は要しないものとされているが、当該登記の申請で登記される代表取締役等の住所については、これらの証明書に記載されている住所と合致することを要する。」
【4】具体例として次のものが挙げられています(通達4頁)。
株式会社が一定期間内(申出と併せて行う登記の申請の日の属する年度又はその前年度)において、実質的支配者の保管の申出(商業登記所における実質的支配者情報一覧の保管等に関する規則187号)第7条に規定する実質的支配者情報一覧の写しの交付又は同告示第2条の申出)がされており、かつ、その旨が当該登記の申請書に記載されている場合には、本人特定事項を証する書面の添付は要しません(規31の3Ⅰ①ハ)。
実質的支配者本人特定事項を証する書面の添付提出を求める趣旨は、消費者被害対策として、会社の実質的支配者が本来の行為者である場合において、被害者等がその責任を追及することを可能とするためとのことです(パブコメ15)。
登記官は、非表示措置を講じるために必要であると認めるときは、株式会社の代表取締役等に対し、出頭を求め、質問をし、又は文書の提示その他必要な情報の提供を求めることができます(規31の3Ⅵ)。
補正の機会を付与することを想定しています(パブコメ30)。
登記官は、非表示措置の申出が適当と認めるときは、非表示措置を講じます(規則31の3Ⅱ)。
「申出が規則第31条の3第1項に規定する要件を満たしていることをもって、当該申出が適当と認めて差し支えない。(通達6頁)」
「住所非表示措置申出書類つづり込み帳」に申出書とその添付書類をつづり込みます(規34)。この「つづり込み帳」は、利害関係人による閲覧請求の対象となります。
「代表取締役等住所非表示措置の申出は、・・・登記の申請と同時に行うこととされたため、その添付書類については当該登記の申請書と併せて申請書類つづり込み帳につづり込むものとする。また、規則第31条の3第1項第1号ハただし書に基づき本人特定事項を証する書面の添付が省略さた場合には、登記官は、登記所に保管されている当該申出をした株式会社の実質的支配者情報一覧の写しを作成の上、併せて申請書類つづり込み帳につづり込むものとする(通達9頁「7書類の保存」)。」
この記事の「第三者が非表示の代表取締役住所を確認する方法」で詳しく説明します。
法務省HPで公開されているイメージは下記のとおりです。
役員に関する事項 | 取締役 甲 野 太 郎 |
東京都大田区東蒲田二丁目3番1号 代表取締役 甲 野 太 郎 |
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監査役 乙 野 次 郎 |
役員に関する事項 | 取締役 甲 野 太 郎 |
東京都大田区 代表取締役 甲 野 太 郎 |
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監査役 乙 野 次 郎 |
【1】市区町村まで(東京都と政令指定都市は区まで)記載されます。「行政区画を表示することにより、会社の事務所がないときの会社の普通〔裁判〕籍が明らかになるとともに、代表取締役等の特定に資するものと考え」たためです(パブコメ42。民事訴訟法4Ⅳ参照。〔〕はコラム筆者が付記。)。
下記は、法令パブコメを読み込んだ後に、私が作成したイメージです。
(通達別紙記録例にも、同様の記録例⑷が掲載されています。)
甲野太郎さんの重任前の住所が消えないことがポイントです(通達別紙記録例1⑷~⑹もご参照ください。)。
登記所は、非表示措置の申出を受けた場合には、従前登記された事項(重任前の住所)を閉鎖事項にする可能性があります。この場合「履歴事項全部証明書」を取得しても重任前の住所は当該証明書には表示されません。ただし「閉鎖事項全部証明書」を追加で取得すれば表示されます。そして、この「閉鎖事項証明書」も利害関係人でなくても誰でも取得可能です。
次の場合には、非表示措置が終了し(規則31の3Ⅳ)、代取住所が再度表示されます。
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【1】非表示措置終了の申出は、登記申請と同時である必要はなく、単独で行うことができます。
単独で行う場合の申出書は下記「別紙様式2」の通りです(通達別紙様式2)。
登記申請と同時に行う場合に限り、オンラインによる「非表示措置の終了申出」が可能です(通達9頁)
【2】非表示措置を希望しない申出書の注意事項(規31の3Ⅴ)
【3】「実在すると認められないとき」の具体的判断基準は、通達によって明らかにされます(パブコメ38)。この記事の「第三者からの情報提供を契機とする非表示措置の終了」をご参照ください。
【4】上場会社でなくなった場合、金融商品取引所を通じた会社情報の公開が担保されないことから、終了の要件としています(パブコメ43)。「上場会社でなくなったと認められるときとは、株式の譲渡制限の定款の定めの設定による変更の登記が申請されたとき等が該当する(通達8頁)。」
【5】「代表取締役等住所非表示措置が講じられた登記記録が閉鎖され、又は代表取締役等の登記事項が退任等により現に効力を有しないこととなった場合においても、代表取締役等住所非表示措置は終了させない。(通達6頁)」ところ、実務では清算結了後に財産が発見された等の理由から清算手続をやり直さなければならないこともあり、非表示措置会社が解散清算する場合に、非表示措置が講じられたままであると清算手続のやり直しに支障をきたしかねないという指摘を踏まえて、追加された条項とのことです(パブコメ17)。
「『閉鎖された登記記録について復活すべき事由があると認められるとき』とは、第三者から当該株式会社を所有権の登記名義人とする不動産の登記事項証明書等を添付した上で当該株式会社の清算が未了である旨の情報提供が登記官に対してあった場合などが該当する(通達8頁)」
第三者からの情報提供を契機として登記官が代表取締役等住所非表示措置を終了する場合の手続について、通達で明らかにされました(通達7頁)。
右以外の方からの情報提供 | 弁護士又は認定司法書士からの情報提供 |
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【1】当該弁護士等が「原本と相違がない」旨を記載した写しの提出でも差し支えない。
【2】資格証明書について原本が提示された場合には、登記官は、当該弁護士等の了解を得て、これらの書面の写しを作成し保存する。
「会社自身が非表示措置終了の申出をした場合」と「第三者申出による場合」とで差異はない。
登記簿からは判別できない。
この点も、安易に非表示措置を採用しない方が良い理由になりそうです。
「閲覧しようとする部分」について「利害関係を明らかにして」登記簿の附属書類の閲覧をすることによって確認できます(商業登記規則21)。
なお「閲覧」は言葉どおり見るだけであって、スマホやカメラで撮影することはできますが、閲覧した内容を何等かの証明書にしてもらうことはできません【1】。
閲覧を申請するのは、申請書類つづり込み帳であって、非表示措置申出等つづり込み帳ではありません【2・3】。
法務局は「当該住所が記載されている部分を塗抹するなどの特段の対応」はせず閲覧させます(通達9頁「8 登記簿の附属書類の取扱い」)。
商業登記規則第21条(附属書類の閲覧) | |
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商業登記規則第32条(閲覧) | |
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【1】したがって、非表示措置を採用した会社の社長が自ら閲覧をして、それを取引先等に提出しても証明力は低いものと言わざるを得ません。公証人に閲覧してもらい「事実実験公正証書」を作成してもらうことは可能かもしれませんが、それなりのコストが掛かります。
【2】「代表取締役等住所非表示措置の申出は、・・・登記の申請と同時に行うこととされたため、その添付書類については当該登記の申請書と併せて申請書類つづり込み帳につづり込むものとする。また、規則第31条の3第1項第1号ハただし書に基づき本人特定事項を証する書面の添付が省略さた場合には、登記官は、登記所に保管されている当該申出をした株式会社の実質的支配者情報一覧の写しを作成の上、併せて申請書類つづり込み帳につづり込むものとする(通達9頁「7書類の保存」)。」
【3】非表示措置申出等書類つづり込み帳につづられるのは、結局「非表示を希望しない」旨の申出書だけかもしれません。
「代表取締役等住所非表示措置を希望しない旨の申出に関する書類(添付書面を含む。)については、住所非表示措置申出等書類つづり込み帳につづり込むものとされた(規則第34条第3項第7号の2)。(通達9頁「7書類の保存」)」
代表取締役等住所非表示措置の申出に当たって添付された実質的支配者を証する書面等については、当該書面を閲覧することについて法律上の利害関係を有する者は、利害関係を有する部分を登記簿の附属書類として閲覧することが可能です(パブコメ15、26)。
もっとも「代表取締役等住所非表示措置を希望しない旨の申出に関する書類(添付書面を含む。)については、住所非表示措置申出等書類つづり込み帳につづり込むものとされた(規則第34条第3項第7号の2)。(通達9頁「7書類の保存」)」
代表取締役の住所変更登記が必要です。
「会社法第915条第1項に規定する登記の義務を免れるものではない(通達9頁)」
必要に応じて、非表示措置を再度申し出る必要があります(規則31の3Ⅲ)。
非表示措置は継続されるため、非表示措置の申し出は不要です(規則31の3Ⅲ)。
非表示措置は継続されないため、必要に応じて、非表示措置の申し出が必要です(規則31の3Ⅲ)。
パブコメ40を参照。
非表示措置は終了されるので、必要に応じて、再度非表示措置の申出が必要になります(規則31の3Ⅳ②)。
会社に対し、法律上の利害関係を有する者は、登記簿の附属書類の利害関係を有する部分を閲覧することによって代取住所の確認が可能となるものです(規則21、パブコメ8、15、26)。
業種や職種によって開示されるわけではありませんので、ご注意ください(パブコメ10,11,13)。
非表示措置を採用した会社自身が、自社の登記事項証明書等の交付請求をした場合においても、代表取締役住所が表示されるわけではありません(パブコメ16)
必要な書面が添付されるなど、規定された要件を充たしているかの観点から判断することを想定しており、登記官による恣意的な運用は想定されません(パブコメ14)。
「申出が規則第31条の3第1項に規定する要件を満たしていることをもって、当該申出が適当と認めて差し支えない(通達6頁)。」
代表取締役等住所非表示措置の対象は、併せて申請される登記において記録される住所に限られます(パブコメ8)とあり、商業登記規則31の3Ⅳ括弧書きからも、非表示にはなりません。
(パブコメ12、36)。
一方「いったん非表示措置が講じられた登記記録が閉鎖され、又は代表取締役等の登記事項が退任等により現に効力を有しないこととなった場合においても、代表取締役等住所非表示措置は終了させない(通達6頁)。」
代表取締役等住所非表示措置の対象は、併せて申請される登記において記録される住所に限られます(パブコメ8)とあり、商業登記規則31の3Ⅳ括弧書きからも、非表示にはなりません(通達別紙記録例。パブコメ36)。
当初「非表示措置申出後は、法務局自体が、代表取締役の住所を保持しなくなるから、代表取締役自身が請求しても登記事項証明書には、代表取締役住所が表示されないものだ」と考えておりました。大した根拠もなく。。。
そして、SNS上で「法務局も持っている情報は、過去の登記申請書だけになる模様です。」と呟いたところ・・・大先輩から「登記はされるから登記官だけは見られるが、登記官以外には表示されない、のではないですか?そうでないと、規則で法律を覆すことになりません?」と突っ込みを受けました。
再度調べてみると、大先輩がおっしゃる通りです。その根拠は次のとおりです。
私自身が経営する株式会社では非表示措置を採用しません。また、私の「顧問先企業」「関与先企業」が、非表示措置の申出を依頼してきた場合には、全力で止めると思います。
結局、実際に運用が始まってみないと、是非は分かりません。SNS等で非表示にした会社の阿鼻叫喚を見ることになるのか、ならないのか。令和6年10月1日の施行後、このコラムを追記していきたいと思います。