会社法違反事件(選任懈怠・登記懈怠)の『過料』を支払わなかったらどうなる』のでしょうか?!
過料相場や異議申立の手続については、記事「会社法違反事件の過料相場と異議申立手続」をご参照ください。
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会社法違反事件の過料は、行政上の秩序罰ですので「行政上の秩序の維持のために違反者に制裁として金銭的負担を課すもの」であり、「刑罰ではないので、刑法総論や刑事訴訟法の適用はなく、国の法律違反については、非訟事件手続法(119条以下)に基づき裁判所によって科され」ます(中原茂樹(2018)『基本行政法』日本評論社224頁)。
非訟事件手続法第121条(過料の裁判の執行) | |
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刑事訴訟法第507条 | |
検察官又は裁判所若しくは裁判官は、裁判の執行に関して必要があると認めるときは、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。 |
刑法に違反して刑罰として罰金や科料を課せられたときに、それらのお金が支払えないと労役場に留置されます(刑法第18条)。
刑法第18条(労役場留置) | |
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過料の裁判の執行は、民事執行法の手続きに従う(民執121Ⅱ)とされており、刑法上の刑罰とは異なるため、過料を完納することができなかった者が労役場に留置されることはありません。
また、地方公共団体の条例や規則違反に対して地方公共団体の長が科す過料の場合と異なり(地方自治法14条3項・231条の3)、延滞金が徴収されることもありません。
地方自治法第14条 |
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地方自治法第231条の3(督促、滞納処分等) |
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過料の支払いがなかったからといってすぐに強制執行がなされることはありませんが、会社代表者の住所や会社の本店所在地に督促状が届いても長期間対応できないような特殊な事情がある場合は、前もって管轄の検察庁に連絡をいれておくと配慮してもらえることがあるようです(R4.2.20東京地方検察庁確認)。
平成22年司法書士登録
不動産登記・商業登記を勤務する10年間に多数経験。
独立後(司法書士みなみ事務所)、誰もが一度は直面する相続・後見・遺言にかかわる業務に特化。
現在、中小企業の社長様から「ご家族のご相談」から「会社法務のご相談まで」困りごとをいつでも相談できる「かかりつけ」として信任を得ている。