合同会社の計算


「合同会社の計算」は、会社法第3編第5章以下に記載されていて、

⑴会計原則

⑵会計帳簿

⑶計算書類

⑷資本金の額の減少

⑸利益の配当

⑹出資の払戻し

⑺合同会社の計算等に関する特則

で構成されています。

 

司法書士試験でも出題が少ないため、苦手な司法書士が多いとされますが、M&Aなどを行なうためには必須の知識です。

当グループでは、10を超える税理士・公認会計士から様々な依頼を受け、多種多様な登記の実績がございます。

合同会社の貸借対照表


貸借対照表は、ある一定時点の会社の財産・負債の状態を表わした表です。すなわち、ある一定時点において、①会社はどんな資産を持っていて〔資産の部〕、②その財産を築くための元になるお金をどこから調達したか〔負債の部・純資産の部〕が、ひと目でわかるようになっています。一年に一度、決算期に作成され、社員の承認を得ることになっています。

貸借対照表は、バランスシート(BS)とも言われ、表の左右の数字(資産=負債+純資産)が必ず一致します。

一段下がって表記された項目(たとえば、資産の部の「現金預金」は「流動資産」から一段下がっています)は、内訳であること表現しています。

「金額が0と表示されている項目」は、単位以下の数字があることを表現しています。

「金額が-と表示されている項目」は、0円(その項目に該当する数字がない)ことを表現しています。(平成30年3月・あなまち司法書士事務所・司法書士佐藤大輔)

 

合同会社の貸借対照表は、株式会社のそれと殆ど変わりません。

「純資産の部」を除いては・・・

合同会社の貸借対照表(会社計算規則73)

資産の部(会社計算規則74) 負債の部(会社計算規則75)

調

流動資産 流動負債    
  現金預金    支払手形  
  受取手形    買掛金   
  売掛金    前受金   
  商品    引当金   
  製品、副産物及び作業くず    未払金   
  原料及び材料    未払費用   
  売買目的有価証券    前受収益   
  消耗品  固定負債    
固定資産    社債  
 

有形固定資産

  長期借入金   
    建物   引当金   
    構築物   退職給付引当金   
    機械   のれん   
    自動車      
    土地 純資産の部(会社計算規則76)

    リース(している)上記資産 社員資本    
 

無形固定資産

  資本金  
    特許権などの知的財産権   新株式申込証拠金   
    借地権(地上権を含む)   資本剰余金   
    リース(している)上記資産   利益剰余金 
    のれん       任意積立金
 

投資その他の資産

      繰越利益剰余金
    関係会社株式(子会社株式など) 評価・換算差額等
    出資金         
    長期貸付金        
繰延資産          
  開発費         

合同会社の純資産の部


資本準備金の項目がありません。

利益準備金の項目もありません。

株式会社では認められている自己株式の取得(出資持分の取得)が合同会社では認められていませんので、自己株に関する項目もありません。

新株予約権の発行も認められていませんので、当該項目もありません。

合同会社の純資産の部

(会社計算規則76Ⅰ③)

 

株式会社の純資産の部

(会社計算規則76Ⅰ①)

社員資本(76Ⅲ)    株主資本(76Ⅱ)
  資本金【1】     資本金
  出資金申込証拠金     新株式申込証拠金
  資本剰余金【2】     資本剰余金(76Ⅳ)
    × (合)に資本準備金はなし【3】       資本準備金
            その他資本剰余金
  利益剰余金【4】     利益剰余金(76Ⅴ)
    × (合)に利益準備金はなし【5】       利益準備金
            その他利益剰余金
              任意積立金
              繰越利益剰余金
  × (合)に自己持分はなし【6】     自己株式
      自己株式申込証拠金
評価・換算差額等(76Ⅶ)   評価・換算差額等(76Ⅶ)
× (合)に新株予約権はなし【7】   新株予約権(76Ⅷ)

【1】資本金に計上すべき額(会社計算規則30)

【2】資本剰余金に計上すべき額(会社計算規則31)

出資金のうち資本金に組入れなかった額など

【3】株式会社に適用される次の規制は、合同会社には適用されません。

  • 株式発行に際して株主が払い込んだ額の1/2を超えない額を資本金に計上しないことができ、計上しない額は資本準備金に計上しなければならない(会社法445Ⅰ~Ⅲ)。
  • 剰余金配当する際には1/10を資本準備金又は利益準備金に計上しなければならない(会社法445Ⅳ)。

合同会社は出資を受けたとしても、資本金に組入れず、全額を資本剰余金に計上することも可能です(会社計算規則30Ⅰ、31Ⅰ)。通常は、資本金の大きさ=会社の大きさのように捉えられているので、全額を資本金に入れたいという社長様が多いです。

資本剰余金は登記されていませんので、資本剰余金が増えても登記する必要がないというメリットがあります。

【4】利益剰余金に計上すべき額(会社計算規則32)

当期純利益金額が生じたときの当期純利益金額

【6】合同会社は自己持分(株式会社でいう自己株式)を取得できないとされているため。

【7】合同会社は新株予約権を発行できないため。

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