商業登記における登録免許税の課税根拠表(税率表)


商業法人登記では、登記申請書に記載する「登記の事由」ごとに課税根拠・登録免許税の計算方法が異なります。

 

同じ課税根拠分類(カタカナが付されています。)であれば、登記の事由が別であっても登録免許税は加算されません。

例えば、登記の事由①目的の変更と、②監査役設置会社の定めの登記を一枚の申請書に記載して行なう場合、登記の事由①②はともに(ツ)その他の事項に該当するため、登録免許税は3万円です(3万円×2件=6万円にはなりません)。

 

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このページは、当司法書士事務所グループに、新しく就職した新人向けの説明を公開したものです。

皆様のご参考になれば幸いです。

もくじ
  1. (一) 会社・相互会社・一般社団法人・一般財団法人の登記
  2. 旧(二) 支店所在地の登記
  3. 新(二) 外国会社の登記
  4. 新(三) 清算の登記
  5. 非課税になる場合

(一)会社・相互会社・一般社団法人・一般財団法人の登記((三)に掲げる登記を除く。)


登録免許税法「別表第一」の24(一)に規定されています。

登記の事由 根拠条文 課税価格 税率

株式会社の設立の登記

(ホ及びトを除く。)【1】

資本金の額 7/1000
(計算した税額が15万円未満なら15万円)

合名会社の設立登記

合資会社の設立登記

一般社団法人の設立登記

一般財団法人の設立登記

申請件数 1件につき6万円

合同会社の設立登記

(ホ及びトを除く。)

資本金の額 7/1000
(計算した税額が6万円未満なら6万円)

株式会社の資本金増加の登記(増資)

合同会社の資本金増加の登記(増資)

(ヘ及びチを除く。)

増加資本金の額 7/1000
(計算した税額が3万円未満なら3万円)

新設合併による株式会社の設立

組織変更による株式会社の設立

種類の変更による株式会社の設立

新設合併による合同会社の設立

組織変更による合同会社の設立

種類の変更による合同会社の設立

【2】

資本金の額

1.5/1000(登録免許税法施行規則12に規定する金額を超える部分は7/1000)

(計算した税額が3万円未満なら3万円)

吸収合併による株式会社の資本金増加の登記

吸収合併による合同会社の資本金増加の登記

増加資本金の額

1.5/1000(登録免許税法施行規則12に規定する金額を超える部分は7/1000)

(計算した税額が3万円未満なら3万円)

新設分割による株式会社設立

新設分割による合同会社設立

資本金の額 7/1000
(計算した税額が3万円未満なら3万円)

吸収分割による吸収分割承継株式会社の資本金増加の登記

吸収分割による吸収分割承継合同会社の資本金の増加の登記

増加資本金の額 7/1000
(計算した税額が3万円未満なら3万円)
相互会社の設立(新設合併又は組織変更による設立を含む。)の登記 申請件数 1件につき30万円
新株予約権の発行による変更登記 申請件数 1件につき9万円
支店又は従たる事務所の設置の登記 支店又は従たる事務所数 1か所につき6万円

本店移転

支店移転

主たる事務所移転

従たる事務所移転

本店・支店の数 1か所につき3万円

取締役会の設置・廃止

監査役会の設置・廃止

監査等委員会の設置・廃止

指名委員会等【3】の設置・廃止

理事会の設置・廃止

申請件数 1件につき3万円

会社の役員変更登記【4】

相互会社の役員変更登記

一般社団法人の役員変更登記

一般財団法人の役員変更登記

申請件数

1件につき3万円

(資本金1億円以下の会社・一般社団法人・一般財団法人は1万円)

支配人の選任登記

支配人の代理権消滅登記

申請件数 1件につき3万円

役員の職務執行停止の登記

役員の職務代行者選任の登記

社員の業務執行権消滅の登記

社員の職務執行停止の登記

社員の職務代行者選任の登記

理事・監事・代表理事・評議員の職務執行停止の登記

〃 の職務代行者選任の登記

申請件数 1件につき3万円

会社の解散登記

相互会社の解散登記

一般社団法人の解散登記

一般財団法人の解散登記

申請件数 1件につき3万円

会社継続の登記

一般社団法人の継続の登記

一般財団法人の継続の登記

合併無効判決確定時の合併消滅会社の回復登記

〃 相互会社の回復の登記

〃 一般社団法人の回復の登記

〃 一般財団法人の回復の登記

会社設立無効の登記

〃 相互会社の設立無効の登記

〃 一般社団法人の設立無効の登記

〃 一般財団法人の設立無効の登記

会社設立取消の登記

相互会社の設立取消の登記

一般社団法人の設立取消の登記

一般社団法人の設立取消の登記

申請件数 1件につき3万円

登記事項の変更・消滅・廃止の登記

(イからソを除く。)すなわち

・商号変更

・目的変更

・公告する方法の変更

・発行可能株式総数の変更

・発行済株式の総数並びに種類及び数の変更

・取得条項付株式の定めの設定

・株券を発行する旨の定めの変更

・資本金の額の減少

・株式譲渡制限に関する規定の変更

・株式併合、株式分割

・単元株式の設置・変更・廃止

・役員の責任免除規定の変更

・監査役設置会社の定め設定・廃止

・会計参与設置会社の定め変更

・会計監査人設置会社の定め変更

・支店廃止

・支配人を置いた営業所の移転

・支配人の氏名・住所の変更

・株主名簿管理人の氏名住所変更

・解散の事由の抹消

・吸収分割会社の変更登記

・新設分割会社の変更登記

申請件数 1件につき3万円
更正登記 申請件数 1件につき2万円
抹消登記 申請件数 1件につき2万円

【1】株式移転による株式会社設立もこの類型に含まれます。

【2】組織変更、種類の変更、商号変更をまとめると次のとおり

変更行為 会社法上の正式名称
株式会社→持分会社(合同・合資・合名) 組織変更(会社法2条26号)
持分会社→株式会社 組織変更(会社法2条26号)
持分会社→別の種類の持分会社 種類の変更(会社法638)
有限会社→株式会社 商号変更(整備法45Ⅰ)
株式会社→有限会社 不可

【3】会社法第二条第十二号(定義)に規定する指名委員会等をいう。

【4】「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定め」の設定・廃止は、この分類です。したがって、通常の役員変更登記と同時に登記申請する場合には、追加の登録免許税は必要ありません。

旧(二) 支店所在地の登記


令和4年9月1日施行の会社法改正により「支店所在地(法務局)」における登記が廃止されたため、登録免許税法からも本項は削除されました。

登記の事由 根拠条文 課税価格 税率

(一)イからツまでの登記

申請件数

1件につき9,000円

(役員変更登記で資本金1億円以下の会社・一般社団法人・一般財団法人の場合は6,000円)

更正登記

抹消登記

申請件数 1件につき6,000円

新(二) 外国会社の登記((三)の登記除く)


こちらをご参照ください。

新(三) 清算に関する登記


会社・相互会社・一般社団法人・一般財団法人の本店・支店における登記

外国会社・外国相互会社の清算に関する登記を含む。

登記の事由 根拠条文 課税価格 税率

清算人・代表清算人の登記

申請件数

1件につき9,000円

清算人・代表清算人の職務執行停止・停止の取消

清算人・代表清算人の変更

清算人・代表清算人の職務代行者の選任・解任・変更

申請件数 1件につき6,000円
清算結了登記 申請件数 1件につき2,000円

登記事項の変更・消滅・廃止(ロを除く)

更正登記

抹消登記

申請件数 1件につき6,000円

非課税になる場合


次の四種類です(登録免許税法第4条、第5条)。

国・別表第二の法人の登記(登録免許税法第4条第1項)

次のような法人と根拠法が並んでいます。

沖縄振興開発金融公庫/港務局/国立大学法人/大学共同利用機関法人/地方公共団体/地方公共団体金融機構/地方公共団体情報システム機構/地方住宅供給公社/地方道路公社/地方独立行政法人/独立行政法人(その資本金の額又は出資の金額の全部が国又は地方公共団体の所有に属しているもののうち財務大臣が指定をしたものに限る。)/土地開発公社/日本下水道事業団/日本司法支援センター/日本中央競馬会/日本年金機構/福島国際研究教育機構(最終アクセス231201)

 

イーガブで最新の条文を確認しましょう。ただし、登録免許税法別表はずっと下の方にありますので「別表第二 非課税法人の表」でページ内検索すると素早くたどり着けます。

課税根拠がない法人の登記

「課税根拠がないから非課税」・・・法人登記はこれがあるから厄介なのですが・・・主なものは次のとおりです(経験するたびに少しずつ増やしていきますね。)。

  • 医療法人
  • 中小企業等協同組合(事業協同組合、事業協同小組合、信用協同組合、協同組合連合会、企業組合)
  • 専門家法人(税理士法人、弁理士法人・・・)

別表第三の第一欄の法人が第三欄の登記をするとき(登録免許税法第4条第2項)

第四欄に財務省令で定める書類の添附があるものに限る旨の規定がある登記等にあつては、当該書類を添附して受けるものに限る。

特定の種類の登記(登録免許税法第5条)

次に掲げる登記等(第4号又は第5号に掲げる登記又は登録にあつては、当該登記等がこれらの号に掲げる登記又は登録に該当するものであることを証する財務省令で定める書類を添付して受けるものに限る。)については、登録免許税を課さない。

  1. 国又は別表第二に掲げる者がこれらの者以外の者に代位してする登記又は登録
  2. 登記機関(登記官又は登記以外の登記等をする官庁若しくは団体の長をいう。以下同じ。)が職権に基づいてする登記又は登録で政令で定めるもの
  3. 会社法第二編第九章第二節(特別清算)の規定による株式会社の特別清算(同節の規定を同法第822条第3項(日本にある外国会社の財産についての清算)において準用する場合における同条第1項の規定による日本にある外国会社の財産についての清算を含む。)に関し裁判所の嘱託によりする登記又は登録
  4. 住居表示に関する法律第3条第1項及び第2項又は第4条(住居表示の実施手続等)の規定による住居表示の実施又は変更に伴う登記事項又は登録事項の変更の登記又は登録
  5. 行政区画、郡、区、市町村内の町若しくは字又はこれらの名称の変更(その変更に伴う地番の変更及び次号に規定する事業の施行に伴う地番の変更を含む。)に伴う登記事項又は登録事項の変更の登記又は登録
  6. (不動産登記に関するものであるため、省略。以下、省略の理由は同じ。)
  7. (略)
  8. (略)
  9. (略)
  10. (略)
  11. (略)
  12. 登記機関の過誤による登記若しくは登録又はその抹消があつた場合の当該登記若しくは登録の抹消若しくは更正又は抹消した登記若しくは登録の回復の登記若しくは登録
  13. 相続又は法人の合併若しくは分割に伴い相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立する法人若しくは分割により設立する法人若しくは事業を承継する法人が、被相続人又は合併により消滅した法人若しくは分割をした法人の受けた別表第一第33号から第160号までに掲げる登録、特許、免許、許可、認可、認定又は指定を引き続いて受ける場合における当該登録、特許、免許、許可、認可、認定又は指定
  14. 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第9条第1項(名称等)又は第29条第5項(公益認定の取消し)の規定による一般社団法人若しくは一般財団法人又は公益社団法人若しくは公益財団法人の名称の変更の登記

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