設立する会社の本店は、どこに置けば良いの?バーチャルオフィスとかどうですか?


どうせ会社を設立するなら、都心部の一等地に、事務所を借りたい。本社所在場所は、皆がうらやむような好立地にしたい。そう思って賃料を調べて(ビックリするほど高額で)諦めた。そのお気持ち、分かります。私たちも司法書士事務所をそれぞれ起業してきたわけですから。

ところが、近年では、都心部の一等地の住所をバーチャルオフィスとして借りることができます。また、シェアオフィスというものもあります。

司法書士から見て、バーチャルオフィスやシェアオフィスはどうなのか?解説しました。

もくじ
  1. どんな場所を本店所在場所にすれば良いの?
    1. シェアオフィス
    2. バーチャルオフィス
    3. 複合型
    4. 司法書士がお薦めする本店所在場所
  2. 本店所在地と本店所在場所
  3. 本店移転の決議機関
  4. 人気の関連ページ

どんな場所を本店所在場所にすれば良いか?


シェアオフィス

シェアオフィスは、実際に物理的なオフィススペースを提供します。

完全独立の個室を借りるものから、机一つ分を借りるものまで様々な種類があります。

 

シェアオフィスのメリット

  • 賃料が安いのが特徴です。
  • 事業に必要な設備(Wi-Fi、プリンター複合機など)が整っているものも多いです。
  • 他の入居している事業者との情報交換・意見交換が活発に進みます。
  • 一人では仕事に集中できないような方にも、向いているかもしれません。
  • 「本店」として登記するには、追加料金が必要な場合があります。
  • 「会社名の表札」をあげるには、追加料金が必要な場合があります。

(注)自宅住所を公開せずにすむことを「シェアオフィス」のメリットとしているインターネット上の記事もありますが、法人を設立した場合には、代表者の住所は登記事項として公開されます。

 

シェアオフィスのデメリット

  • シェアオフィス自体には、デメリットはないと思いますが、次に紹介する「バーチャルオフィス」と勘違いされる可能性があります。 

バーチャルオフィス

バーチャルオフィスは、物理的なオフィススペースを提供しません。

単に本店所在場所としての住所を貸すだけです。

 

バーチャルオフィスのメリット

  • 賃料が安いのが特徴です。
  • 都心部やビジネス街など、知名度の高い場所を本店とできれば、企業イメージ向上の可能性があります。

(注)自宅住所を公開せずにすむことを「バーチャルオフィス」のメリットとしているインターネット上の記事もありますが、法人を設立した場合には、代表者の住所は登記事項として公開されます。

 

バーチャルオフィスのデメリット

  • 業種制限:専門家士業や宅建業その他一部の業種ではバーチャルオフィスでは業務が行えません。
  • 他社住所と同じ: 複数の事業者と同じ住所になるため、顧客に不信感を与える可能性があります。
  • 銀行口座開設の困難さ: 銀行では法人口座開設を断られる可能性があります。
  • 融資審査の厳しさ: 法人の実態を確認しづらいため、融資を受けにくくなる場合があります。
  • 郵便物受取の遅延: バーチャルオフィスを経由するため、郵便物の受け取りが遅くなる可能性があります。
  • 令和6年10月1日以降、代表取締役の住所を非表示にする措置を選択できるようになりましたが、本店所在場所をバーチャルオフィスにしたうえ、代表取締役住所の非表示措置を採用すると、所在の掴めない会社となってしまいます。このような会社は、日常取引や融資を受ける際に、支障を生じることが予想されます。詳細は、コラム「代表取締役住所の非表示措置の是非」をご参照ください。

複合型

複合型のオフィス、つまり「シェアオフィス」も「バーチャルオフィス」も、どちらも提供しているテナントは多いです。

どちらのサービスも提供しているテナントに「シェアオフィス」として入居しても、外部からでは「バーチャルオフィス」との見分けがつきにくいのが難点です。つまり「シェアオフィス」の筈が「バーチャルオフィス」のデメリットを受ける可能性があるのです。

司法書士がお薦めする本店所在場所

銀行口座開設や融資を受けることを考えるなら、バーチャルオフィスは止めておいた方が無難です。また、シェアオフィスも、バーチャルオフィスと間違えられる可能性があるため、銀行口座開設や融資を受けることを考えるなら避けた方が無難かもしれません。

 

したがって、司法書士がお薦めする本店所在場所については『最初は、小汚いアパートの一室から始めたって良いじゃないか。』です。

本店所在地と本店所在場所


会社法には「本店所在地」と「本店所在場所」という法律用語が出てきます。

わざと違う用語を使っているので、別の意味です。

  本店所在地 本店所在場所
意味 

会社の住所の途中まで(最小行政区画まで)のことです。

定款で、最低限定めておくべき事項とされています。

会社の住所(最後まで)のことです。
登場する条文 会社法27条 会社法911条3項3号
具体例

東京都内なら:東京都世田谷区

東京以外なら:神戸市

神戸市灘区鹿ノ下通二丁目4番15号
手続き

定款で最低限定めておけばよい。

定款で住所の最後「本店所在場所」まで定めることも可能ですが、通常は「本店所在地」までしか定めません。

登記する必要がある。

本店移転の決議機関


まず、現在の定款をご確認ください。

定款に本店住所の最後まで記載されていた場合には、隣のビルへの引っ越しでも定款変更になります。定款変更にあたれば、株主総会を招集する必要があります。

この面倒を避けるため、定款に記載する本店所在地は「最低行政区画まで」で止めましょう。

    移転先の住所
   

最小行政区画内

(同じ区内)
最小行政区画外
    同じ登記所管轄内 異なる登記所管轄

当社は、本店を兵庫県神戸市灘区鹿ノ下通二丁目4番15号に置く。

株主総会

取締役会

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当社は、本店を兵庫県神戸市に置く。

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