「NPO法人」の「労働者協同組合」への組織変更


運営が難しい特定非営利活動法人(NPO法人)の救世主が現れました!

令和7年9月30日までであれば、特定非営利活動法人(NPO法人)を組織変更して労働者協同組合になることができます(労働者協同組合法附則第4条)。

組織変更とは、法人の種類自体を変えてしまうことです。法人の種類が変わると、適用される法律もかわり、制約される内容もかわります。

特定非営利活動法人の関係者の方で、これらの法人類型による組織運営に苦労なさっている方は、労働者協同組合への組織変更もご検討ください。

もくじ
  1. 徹底比較「NPO法人」と「労働者協同組合」
  2. NPO法人の「労働者協同組合」への組織変更の流れ
  3. 標準的な所要時間
  4. 司法書士の報酬・費用
  5. 人気の関連ページ

徹底比較「NPO法人」と「労働者協同組合」


  NPO法人 ほかの法人☛労働者協同組合
事業目的 法律で定められた特定非営利活動20分野【1】【2】に限定され、当てはまらないと設立できない。

制限なし(株式会社・合同会社・一般社団法人・一般財団法人)

設立費用

資本金・基金の拠出は不要

所轄庁の認証を取得するための費用がかかる

資本金・基金の拠出は不要(一般財団法人)

資本金などの拠出必要(株式会社)

設立所要時間

設立するには、所轄庁【3】の認証が必要で、その分時間が掛かる。

即日設立も可能(合同会社)

定款認証が必要だが、そんなに時間かからない(株式会社・一般社団法人・一般財団法人)

イメージ

公益のイメージが強く、社会的信用が高いため、人・資金を集めやすい。

商売のイメージ(株式会社など)

公益そのもののイメージ(公益社団法人・公益財団法人)

必要な人数

社員10名

理事3名

監事1名

役員の親族が役員に就任することの規制がある【4】

株主1名、取締役1名(株式会社)

社員2名、理事1名(一般社団法人)

評議員3名、理事3名、監事1名(一般財団法人)

役員報酬

制限あり

報酬を受ける役員が役員総数の1/3以下(法2Ⅱ①イ)

制限なし(株式会社・合同会社・一般社団法人・一般財団法人)

役員任期

理事2年、監事2年(法24)

※再任でも任期ごとに登記が必要

なし(合同会社)

最長10年(株式会社)

理事2年、監事4年(一般社団法人・一般財団法人)

社員・株主などの議決権

1人1票(法14の7)

1株1議決権(株式会社)

原則:1人1票(合同会社)

1人1票(一般社団法人・一般財団法人)

行政の監督

年度ごとに事業報告を所轄庁へ提出

改善命令(法42)

設立認証の取消(法43)

なし(株式会社・合同会社・一般社団法人・一般財団法人)

情報公開義務

事業報告などの情報公開義務

なし(株式会社・合同会社・一般社団法人・一般財団法人)

会計

特定非営利活動事業の他に「その他の事業」を行なう場合、特定非営利活動事業の会計と分ける必要があります(法5Ⅱ)。

 
税制優遇

あり(法70、71)【5】

なし(株式会社・合同会社)

非営利要件を充せばその事業は非課税(一般社団法人・一般財団法人)

あり(公益社団法人)

利益配当 不可

可能(合同会社、株式会社など)

不可(一般社団法人・一般財団法人)

組織変更の制限

株式会社・合同会社などへの組織変更不可

一般社団法人・一般財団法人への組織変更不可

株式会社⇔合同・合名・合資OK

 

 

合併の制限

他のNPO法人との合併可能(法33以下)

株・合同・合名・合資+株・合同・合名・合資⇒株・合同・合名・合資OK

 

一般社団+一般社団⇒一般社団法人OK

一般財団+一般財団⇒一般財団法人OK

一般社団+一般財団⇒一般社団・一般財団どちらもOK(例外あり)

解散時の財産帰属

以下のいずれに帰属させる(法32Ⅱ、11Ⅲ)。

国又は地方公共団体

公益社団法人又は公益財団法人

私立学校法3条の学校法人

社会福祉法22条の社会福祉法人

更生保護事業法2条6項の更生保護法人

株主(株式会社)

社員(合同会社)

定款で「残余財産は社員へ」と定めることは不可だが、解散後社員総会で「社員に帰属させる」は可能(一般社団法人・一般財団法人)

  NPO法人 労働者協同組合
法人格    
     

「労働者協同組合」への組織変更手続


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参考文献