選任・選定・互選の意味~互選は過半数ではない


会社の代表者は、会社の種類(株式会社・合同会社・士業法人など)に応じて定められた機関(取締役会、株主総会など)で選びます。

ところが、代表者を選ぶ場面では、インターネットや書籍によって、色々な言葉が使われていることに気づくと思います。「選任」「選定」「互選」です。

 

このコラムでは、一般の方でも分かるよう簡単に、これら3つの言葉を説明したのち、「互選」の定義について考えます。 

 

※令和3年5月14日現在、敬愛する先輩司法書士から「本記事の結論の妥当性について疑問」が呈されております。また、他の司法書士の方々からも多数の資料及びご意見を頂戴しております。更に研究を進め、必要に応じて修正いたします。それまでの間、本記事のご利用は慎重になさいますようお願いいたします(本記事執筆担当者、司法書士佐藤大輔)。

もくじ
  1. 「選任」と「選定」の違い
  2. 取締役会設置会社における代表取締役の選定
  3. 取締役会非設置会社における代表取締役の選定・持分会社における代表者の選定
  4. 互選の意味(検討)
    1. 一般的な「互選」の意味
    2. 法令における「互選」の扱い
    3. 裁判例・学説における「互選」の扱い
    4. 登記実務における「互選」の扱い
  5. 互選の意味(結論)
    1. 「互選」の定足数
    2. 「互選」の決議要件
    3. 「互選」のその他の要件
  6. 定款で定めるべき「互選の定義規定」
  7. 金子登志雄先生から寄せられた反対意見

「選任」と「選定」の違い


「選任」とは、不特定多数の中から選び出すことをいいます。

 

「選定」とは、特定多数の中から更に選び出すことをいいます。

たとえば、代表取締役の選任の場合には、取締役という特定多数の中から代表取締役を選び出すので、「選定」という言葉が使われます。代表取締役を株主総会で直接選ぶ場合にも「選定」といいます(会社法349Ⅲ)。

取締役会設置会社における代取の「選定」


「取締役会設置会社における代表取締役の『選定』」の方法は、次のとおりです。

  • 取締役会は、代表取締役の選定及び解職の職務を行なう(会362Ⅱ③)。
  • 取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない(会362Ⅲ)

そして、取締役会の決議をどうやって行うのかについては、会社法369条1項に規定があります。

  1. 取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。

ところで、会議を開くために最低限出席しなければならない人数のことを「定足数」

出席した人数のうち何人の賛成を得られれば議案が承認されるかを「決議要件」といいます。

 

取締役会の「定足数」「決議要件」は、会社法369条1項によると次のとおりです。

定足数 議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席
決議要件 その(出席した取締役)の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)

取締役会非設置会社における代表取締役の選定

持分会社の代表者選定


取締役会非設置株式会社や合同会社等における「代表者の選定」では、この「定足数」や「決議要件」はどうなっているのでしょうか?

  • 取締役会のない株式会社における代表取締役の選定方法は、①定款に直接定める、②株主総会で選定する又は③定款による取締役の互選のいずれかである(会349Ⅲ)とされています。
  • 持分会社における代表社員の選任方法は、①定款に直接定める又は②定款の定めに基づく社員の互選によって定める(会599Ⅲ)とされています。

「①定款に直接定める」「②株主総会で選定する」はその方法が会社法に規定されています。

では「③取締役の互選」とは何なのか。それが本コラムのメインテーマです。

 

取締役会決議の方法が会社法369条に規定されているのとは異なり、「互選」が何なのか会社法には定義規定がありません(会社法2条参照)。それどころか、日本の法令を検索できる「e-Gov法令検索」によっても、「互選」を定義した規定をもつ法令は見当たりません。

互選の意味(検討)


ここでは互選という言葉には「お互いの中から、お互いに選ぶ」という以上の意味はないのではないかという仮説をたてて、検討していきたいと思います。

一般的な「互選」の意味

私は司法書士になるまでは「互選」という言葉を聞いたことはありませんでした。もっとも「互選」という言葉が一般的な用語であれば、法令に定義規定がないことも当然といえるでしょう。

●新総合国語辞典/旺文社/1978(一般的な国語辞典代表として。当事務所にあったもの)

特定の人びとがその範囲内の人について互いに選挙し合うこと。また、その選挙。

●広辞苑(第5版)/新村出編集/岩波書店/1998

お互いの中から選挙して選び出すこと。

●新版新法律学事典/我妻榮編集代表/有斐閣/1967/420頁

選挙権の要件と被選挙権の要件とが一致する選挙

一般的な日本語の意味としては、やはり「お互いの中から、お互いに選ぶ」という意味しかなさそうです。

法令における「互選」の扱い

「互選」という言葉を使っている法令は多数あります。いくつか抜粋します。

●衆議院規則第101条第2項

特別委員長の互選は、無名投票でこれを行い、投票の最多数を得た者を当選人とする。得票数が同じときは、くじでこれを定める。

●参議院規則第31条第2項

理事は、委員の中から無名投票でこれを互選する。但し、投票によらないで、動議その他の方法により選任することができる。 

●参議院規則第75条第2項

各分科会は、無名投票で、主査及び副主査各々一人を互選する。但し、投票によらないで、動議その他の方法により選任することができる。 

●参議院規則第80条第1項

特別委員長の互選は、無名投票でこれを行い、投票の最多数を得た者を当選人とする。得票数が同じときは、くじでこれを定める。但し、投票によらないで、動議その他の方法により選任することができる。

●中央選挙管理会規程第1条

  1. 委員長の互選は、無記名投票でこれを行い、最多数を得た者を当選者とする。得票同数の者が二人以上あるときは、くじで当選者を定める。
  2. 中央選挙管理会(以下管理会という。)は、委員に異議がないときは、前項の選挙について指名推選の方法を用いることができる。 
  3. 指名推選の場合においては、被指名者をもつて当選者と定むべきかどうかを会議に付し委員全員の同意を得た者をもつて当選者とする。

●農業委員会等に関する法律施行令第6条

  1. 農業委員会の部会の委員の互選は、当該農業委員会が定める互選の時期、方法及び手続に関する規程に従い行わなければならない。 
  2. 前項の互選の時期、方法及び手続に関する規程の制定及び変更は、当該農業委員会の総会(法第二十七条第一項に規定する総会をいう。)の議決を経なければならない。

●日本学術会議会則第4条

  1. 法第八条第二項の会長の互選は、他の案件に先立って総会で行うものとする。 
  2. 前項に規定するもののほか、会長の互選に関する事項は、総会が定める。

これらの法令では、わざわざ「互選の具体的方法」や「互選方法の決定方法」を規定しています。規定しているということは・・・

「互選(するとの定め)」だけでは決議要件が明らかにならないからだと思われます。

裁判例・学説における「互選」の扱い

判例検索エンジンWestlawJapanで「互選」の意味について検索するも、明確な定義付けを行なった裁判例は見つけられませんでした。

東京高裁平成29年10月11日判決

寄附行為【1】は6条1項で,理事の構成について,学長1名,学部長2名,評議員のうち評議員会において選任した7名,学識経験者のうち理事会において選任した2名以上4名以内と規定している。寄附行為は,6条1項3号で,評議員理事7名の選任について,「評議員会において選任」することのみを規定し,その選任方法について規定を置いていないが,施行細則【2】2条1項で,選任された評議員により遅滞なく理事を互選する旨が規定されている。施行細則は,同項の「互選」の定義規定を置いていないけれども,通常の用語例では,互選とは,構成員の中から互いに選挙して選ぶことをいう。本件選任方法は,評議員4票のみで評議員理事を選任する内容のもので,評議員全員による選挙をしない方法であるから,通常の用語例でいう「互選」とは質的に異なるものである。そうすると,本件選任方法を決議するには,施行細則2条1項の決議施行規則を制定するとか同項の改正ないし変更の手続を経ることを要するというべきである。

【1】「寄附行為」とは、定款のこと

【2】ここでの「施行細則」とは、寄付行為(定款)施行細則を指すと思われます。

 

互選についての解説記事を見つけましたので、ご紹介します。

判例タイムズ690号177頁(京都地裁昭和63年 8月 3日判決

農業委員会の会長は互選によるべきことは、農地法五条二項に法定されているところであるが、この互選がどのような要件、手続きでなされ、それによりどの時点で会長に就任するのかについては、これまでこれを論じた判例学説はない。互選については、①「互選とは、選挙権者が同時に被選挙権者として相互に選挙を行うことをいう」から「投票によって行うのが原則である」とし、「互選は選挙であり、会議の議事ではないから、多数決による互選というものはありえない」との解説があるのをみるにすぎない(全国農業会議所・農林水産省監修・農業委員会法の解説七七頁、同旨―安橋=土田・新訂農業委員会法の解説五四、五五頁)。本判決(京都地裁S63.8.3)は、公職選挙法の適用がない農業委員会会長の互選について(ちなみに、農業委員の選挙については同法の適用がある)、農地法五条二項の「互選した者をもって充てる」との規定のうち互選の他この「充てる」との要件を農業委員会会長の就任に必要とするものと解している。投票が行われたからといって自動的に投票の結果が明らかになるものとはいえず、その結果のみによって何らの決議を要せず当然にその当選者が会長に就任するものとはいえない。互選そのものは選挙で多数決によることはできないが、互選された特定の者を会長に充てるという互選による選任は、特別の定めがない限り事の性質上、農業委員会総会が決定すべき事項であるから、投票の結果の報告を受けて総会が投票の疑義等があればこれを審議判定し、投票の結果に基づき互選された者を会長に充てる旨を宣言する決議を経て初めて会長の選任が完成し、その者が会長の地位に就くと論じている。そして、本件では原告を会長に充てる旨の農業委員会総会の宣言ないし決議がないから、原告は会長の地位にあるとはいえないとして、請求を棄却したものであり、新判例として注目される。

判例タイムズ722号236頁(大阪高裁平成元年11月30日判決

農業委員会等に関する法律5条2項は、農業委員会の「会長は、委員が互選した者をもって充てる。」と定めるのみで具体的手続規定は定めていない。互選とは選挙権の要件と被選挙権の要件とが一致する選挙とされており(我妻ほか・新版新法律学辞典420頁など)、右5条2項の「互選」もそれ以上の意味を持つとは解されないし、同項に「充てる」とあるからといって選出手続以外に「充てる」行為が当然に予定されているとはいえないのではなかろうか。本判決(大阪高裁H1.11.30判決)はこのような点を考慮して一審(京都地裁S63.8.3)の理由を採用しなかったものと思われる。

裁判例や学説でも、「互選」の意味を「相互に選ぶ」以外の意味は有さないと解しています。

また「多数決による互選はありえない」との説明もなされています。

登記実務における互選の扱い

味村治著/新訂詳解商業登記(下)/民事法情報センター/1996/55頁

取締役の互選の方法としては、旧有限会社法の解釈と同様に取締役の過半数の一致による方法

松井信憲著/商業登記ハンドブック第3版/2015/612頁

 一般に、互選という言葉は、選任母体と被選任資格とが一致する状況を意味しており 

金子登志雄著/事例で学ぶ会社法実務〔全訂版〕/東京司法書士協同組合/中央経済社/224頁

取締役の互選については、…「協議のうえで決定」 というニュアンスがありますが、単に、会社法348条2項【1】の「取締役の過半数をもって決定する」を代表取締役の選定の場面で表現しただけで、協議は不要ですし、1か所に集まることも不要

 

【1】会社法348Ⅱ

取締役が二人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。 

西尾努司法書士事務所/取締役の互選/http://www.sihoshosi24.com/a12496.html/最終アクセス2021.4.5

取締役の互選(ごせん)とは、取締役会を設置していない株式会社(取締役会非設置会社)等において、取締役が2名以上いる場合の代表取締役の選定方法のこと。取締役の過半数の賛成によって選定されます。

優司法書士法人/互選の意味/https://www.you-office.com/blog/commercial/post-5022//最終アクセス2021.4.5

社会福祉法人などの理事長の選任について、理事の互選によるとの定めがよくございます。

理事会の決議は、過半数出席の過半数承認によりますので、それよりもきつい規定となります。

汐留パートナーズ司法書士法人/代表取締役の選定をする方法にはどのようなものがあるか(株主総会?取締役の互選?)/https://shiodome.co.jp/js/blog/4324/最終アクセス2021.4.5

取締役の互選とは、取締役の過半数の賛成・決定のことをいいます。

「過半数」が要件ですので、取締役の数が2名のときは両者の意見の一致が必要となります。

松井先生を除き「互選」を過半数の賛成を指すと解している登記実務家が多いように思われます。

互選の意味(結論)


一般的な意味でも、法令でも、裁判例・学説でも「お互いの中から、お互いに選ぶ」という以上の意味はないとされる中で、どうやら登記実務家のみが「互選=過半数の賛成」と解しているように思われます。これは危険なことです。代表者互選の有効無効を判断するのは、登記所ではなく裁判所だからです。

例えば、定款に「代表取締役は取締役の互選によって選定する」旨の規定がある会社で、取締役ABC3名の互選をもって代表取締役を1名選任する場面で、ABはAを代表取締役にしたいと表明した一方で、CはCを代表取締役にしたいと表明した場合について考えてみましょう。

登記実務家の「互選とは過半数」とする説であればAは代表取締役に選定されます。

ところがCがAを代表取締役に選定した前記互選の無効を訴えた場合、裁判所は「互選の方法が定まっていない」として会社側を敗訴させる可能性があるのです。

 

そこで、当職としては、互選の意味を次のように定義づけたいと思います。 

互選の「定足数」

互選は会議ではないので、定足数はありません。

  1. 「定足数がない」ということは、集合して議決する必要はない全員の賛成がなくても会議を開催しなくてもよい)ことを意味しています。Cf.取締役会書面決議
  2. 互選のために会議を開く場合であっても、出席する必要がありませんので、議決権行使を他人に委任することは不可であることも意味しています。
  3. 「定足数がない」ということは、議案が承認される要件を厳しくしています。出席していない者も含めて議決権者全員のうち何割かの承認(又は全員の承認)を得る必要があることを指しているからです。

互選の「決議要件」

法律は何等定めていません。

定款で「互選の決議要件を緩和していない」場合には、議決権者全員の賛成を要すると解すべきでしょう。

互選について検討すべき「その他の要件」

  • 投票か、動議か、指名推選された者を全員で承認するのかといった互選の具体的方法
  • 投票なら、(投票者の指名を記載する)記名投票か、(記載しない)無記名投票か
  • 選任する人数は一人か複数か

対処方法

  1. 各社はその定款に「互選」とは何かを具体的に定めた条項(定義規定)を設けるべきです。
  2. 互選についての定義規定がない場合には、代表者の選定は全員一致で行なうべきです。
  3. 定款に「取締役の互選をもって、代表取締役1名を選定し・・・」と規定している場合は、選任人数を定めたものとして、互選の方法を一部定めたことになります。一方「取締役が2名以上ある場合には、取締役の互選をもって、そのうち1名以上を代表取締役に選定し・・・」と規定している場合には、選任人数が何等定まっていないことになります。

定款で定めるべき「互選の定義規定」


互選の具体的な方法については、公証人や法務局と調整をしながら、OKをもらった分について、コチラで発表していきたいと考えています。

金子登志雄先生から寄せられた反対意見


2021.05.14(金)【取締役の互選の意味】(金子登志雄)

本欄閲覧者(司法書士)から、下記につきどう思うかと情報の提供がありました。有名な内藤先生のブログで紹介されていた見解のことです。

 https://blog.goo.ne.jp/tks-naito/e/fddc9625488b2fa0beb18cecc43ff335

さっそく「選任・選定・互選の意味~互選は過半数ではない by あなたのまちの司法書士事務所グループ」を閲覧してみました。

「よく調べたなぁ」「表現ぶりからして書き手は司法書士とは思えない」というのが当初の感想でしたが、HPによると、兵庫県内の8司法書士事務所グループさんのようですね。投稿は代表の司法書士S先生でしょうか。もし、本欄をみていらっしゃいましたら、はじめまして。論争相手の登場は歓迎です。

以下、当ESGグループを代表して反論します。情報提供者や名指しされた司法書士もそれを期待しているでしょうから・・・。もし、以下に失礼な内容がございましても、20歳以上の年長及び業界の先輩に免じてお許しください。

その前に、「松井先生を除き『互選』を過半数の賛成を指すと解している登記実務家が多いように思われます」とありましたが、松井さんは、全員一致とも過半数とも一言も著書で触れていません。最近はお会いすることもなくなりましたが、たぶん過半数説だと思いますよ。

さて、取締役会のある会社では代表者は出席取締役の過半数で選定します。取締役会のない会社でも、同じことをできるようにするため、旧有限会社法の規定を受けて会社法349条3項に「定款の定めに基づく取締役の互選」を設けたとみるのが自然な解釈だと思いませんか。

そもそも全員一致というのは各々が拒否権を持つのと同様であり、代表取締役を選定することができなくなります。資本多数決の株式会社では派閥も生じやすく、全員一致を定めるとは思えません。よって非営利の農業委員会等の判例を根拠に、営利法人の取締役の互選を論じるのはいかがなものでしょうか。

また、選任・選定の「選」は、一般に多数決を前提にしていると思いませんか。ちなみに、取締役会、監査役会・・・と「会」がつくと、3人以上が必要です。偶数だと2派に分かれて決着がつかないためです。 

株主総会で議長がいないときは、出席株主の「互選」で議長を選任しますが、全員一致では、総会が始まらないと思いますが、いかがですか。

互選が曖昧だから定款で定めよと主張なさっていますが、互選は会社法用語です。その意味を探るのが先行するはずです。会社法340条には「監査役の全員の同意」と「監査役の互選」とあるが、なぜ、後者には「全員」とないのかなどと検討するのが先行するはずです。

商登法47条には「発起人全員の同意又は【ある発起人の一致】」とありますが、この後者については過半数の同意と解されています。頭数か議決権基準の多数かの争いはあっても、過半数の意味であることは古くからの定説であり、貴グループさんもよくご存じのはずです。

であれば、同46条1項の「株主全員の同意又は【ある取締役の一致】」も取締役全員のうちの一部の賛成者を「ある取締役」と表現しているのであり、その一部とは過半数のことだと思いませんか。取締役の互選もこの1つなのに、「ある取締役」は取締役全員といえますか。なお、同法には略式合併の承認などでは「取締役の過半数の一致」という表現を使っています。これは46条よ

りあとに規定されたためでしょう。意味は同じだと思います。

ちなみに、『商業登記法逐条解説』(平成17年加除出版)に有限会社についてですが、「取締役の互選をもって会社を代表すべき取締役を定めた場合には、取締役の過半数の一致があったことを証する書面の添付が必要となるわけである」とありました。

なお、情報提供者の司法書士から、平成27年の登記研究810号33頁以下の法務省の方2名の共同論考に、医療法人の理事長選任の理事の互選は理事総数の過半数の同意だと明記されているとの情報をもらいました(同39頁)。

また、全員一致で選定した後の解任も全員一致かという疑問が寄せられましたので、併せて、情報提供します。

(以上、ESG法務研究会「徒然日誌」/http://www.esg-hp.com/最終アクセス210515)

人気の関連ページ