日本国外にある会社が、日本国内で活動しようとするときには、日本の法務局で登記を行なう必要があります。
この記事が、これから日本での活動を考えている会社の参考になれば嬉しいです。
もくじ | |
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日本国外にある会社が、日本で活動しようとするときには、登記が必要になります。
活動の内容 | 行うべき登記 |
日本に駐在員・連絡員を置く。【1】 | 不要【1】 |
営業所(支店)を設置 | 外国会社の営業所設置の登記 |
営業所を設置せず日本における代表者選任【2】 | 外国会社の日本における代表者選任登記 |
日本に支社を設立したい | 株式会社設立 |
【1】単なる連絡要員を置く場合には、登記は不要です。外国会社は、登記をするまでは、日本で取引できません(会社法818I)。
【2】日本に営業所を設けていない外国会社の「日本における代表者の住所地」は、「営業所の所在地」とみなす(商業登記法127)。そのため、営業所設置の登記がない外国会社の代表者が住所移転した場合、日本国内の株式会社が本店を移転した場合と同様の登記が必要になります。
次のとおりです。
シチューエーション | 行うべき登記 |
はじめて営業所(支店)を設置 |
代表者住所地:営業所設置の登記 営業所所在地:外国会社の登記 |
2人目の日本における代表者選任 | 新代表者住所地:外国会社の日本における代表者選任登記 |
日本における代表者が住所移転【1】 |
旧住所地:移転の登記 新所在地:外国会社の登記 |
【1】 日本に営業所を設けていない外国会社の「日本における代表者の住所地」は、「営業所の所在地」とみなす(商業登記法127)。そのため、営業所設置の登記がない外国会社の代表者が住所移転した場合、日本国内の株式会社が本店を移転した場合と同様の登記が必要になります。
次のとおりです。
シチューエーション | 行うべき登記 |
2個目の営業所(支店)を設置 | 外国会社の営業所設置の登記 |
営業所を移転 |
旧住所地:移転の登記 新住所地:外国会社の登記 |
次のとおりです。
シチューエーション | 行うべき登記 |
全ての営業所を廃止するが、日本における代表者は残す |
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日本における代表者も全員退任させる【完全撤退】 |
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登記内容を確定させるために、ご相談の際には、次の書類をお持ちください。
1.本国法人の定款(原文、和文)
2.本国法人の株主名簿(原文、和文)
3.本国法人のの登記事項証明書(原文、和文)
※ 原文が英文である場合には、ご相談のときは、和文は不要です。実際の手続きの際には、和文に翻訳したものを提出いただきます。
※こちらに記載のない登記につきましても、全ての登記に対応可能です。
※別途翻訳料が必要な場合がございます。
※手数料には、基本的な議事録などの作成報酬を含みます。
※顧問契約を締結いただいている場合、割引きがございます。
※手数料改定のお知らせ
平成28年10月から添付が必要になりました株主リスト(株主名簿)作成費用5,500円を手数料に加算いたしました。ご理解くださいますようお願いいたします。
業務の種類 | 当事務所の手数料 | 実費※1 | |
外国会社の支店(営業所)を日本に設置 | |||
220,000円(税込) |
100,000円ほど | ||
日本における代表者選任 | |||
支店(営業所)を置かない場合 | 220,000円(税込) | 70,000円ほど | |
日本法人設立 | |||
外国人・外国会社が株主となって株式会社を設立する場合 | 330,000円(税込) | 300,000円ほど | |
日本撤退 | |||
日本での営業活動を廃止する(全ての営業所廃止・全ての代表者退任) | 220,000円(税込) | 120,000円ほど |
外国法人の権利や義務については、民法と会社法(817~823条)が定めています。
外国法人の登記手続については会社法(933~936条)と外国法人の登記及び夫婦財産契約の登記に関する法律が定めています。
これらをまとめてご説明したのが、ここまでの記事です。
条文にも若干の解説を加えていきます。
民法第35条(外国法人) | |
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【1】「日本法人であることにはつぎの2要件を必要とする。(イ) 日本に住所を有することを要する。・・・(ロ)しかし、日本に住所を有する法人がすべて日本法人なのではない。そのうち、日本法に準拠して設立されたものだけが、日本法人である。・・・外国法人とは、右の標準による日本法人でない法人である。(我妻栄著『民法講義I 新訂民法総則』(岩波書店、1965年)195頁)」 【2】「『認許する』とは、新たに法人格を与えるのではなく、個別的な手続を要せず、一般的に日本において法人として行動することを認めるという意味である(我妻榮 有泉亨 清水誠 田山輝明 著『我妻・有泉コンメンタール民法[第8版] 総則・物権・債権』(日本評論社、2022年)127頁)。」 「外国法人が日本法人となるという意味ではない。(我妻栄 著『民法講義I新訂民法総則』(岩波書店、1965年)196頁)」
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法第36条(登記) | |
法人及び外国法人は、この法律その他の法令の定めるところにより、登記をするものとする。 | |
民法第37条(外国法人の登記) | |
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会社法第817条(外国会社の日本における代表者) | |
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会社法第818条(登記前の継続取引の禁止等) | |
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会社法第819条(貸借対照表に相当するものの公告) | |
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会社法第820条(日本に住所を有する日本における代表者の退任) | |
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会社法第821条(擬似外国会社) | |
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会社法第822条(日本にある外国会社の財産についての清算) | |
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会社法第823条(他の法律の適用関係) | |
外国会社は、他の法律の適用については、日本における同種の会社又は最も類似する会社とみなす。ただし、他の法律に別段の定めがあるときは、この限りでない。 |
会社法第933条(外国会社の登記) | |
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会社法第934条(日本における代表者の選任の登記等) | |
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会社法第935条(日本における代表者の住所の移転の登記等) |
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会社法第936条(日本における営業所の設置の登記等) |
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かつては「(旧)非訟事件手続法」という名前の法律でした。
平成25年1月1日(新)非訟事件手続法の施行に伴って「(旧)非訟事件手続法」は「外国法人の登記及び夫婦財産契約の登記に関する法律」と法律の題名が改正されました。
外国法人の登記及び夫婦財産契約の登記に関する法律は、(旧)非訟事件手続法の抜け殻だから、「外国法人の登記」と「夫婦財産契約の登記」という風変わりな組合せで構成されています。
外国法人の登記及び夫婦財産契約の登記に関する法律第1条 | |
民法(明治二十九年法律第八十九号)に規定する外国法人の登記及び夫婦財産契約の登記については、他の法令に特別の定めがある場合を除き、この法律の定めるところによる。 | |
外国法人の登記及び夫婦財産契約の登記に関する法律第2条 | |
日本に事務所を設けた外国法人(民法第35条第1項ただし書に規定する外国法人に限る。第4条において同じ。)の登記の事務は、その事務所の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所(略)が、登記所としてつかさどる。 | |
外国法人の登記及び夫婦財産契約の登記に関する法律第3条 | |
登記所に、外国法人登記簿を備える。 | |
外国法人の登記及び夫婦財産契約の登記に関する法律第4条 | |
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第2条から第5条まで、第7条から第15条まで、第17条、第18条、第19条の2、第19条の3、第21条から第23条の2まで、第24条(第14号及び第15号を除く。)、第26条、第27条、第128条、第129条、第130条第1項及び第3項、第132条から第137条まで並びに第139条から第148条までの規定は、日本に事務所を設けた外国法人の登記について準用する。 |
全ての法人に共通
登記以外