「これまで身内だけでやってきたけれど、今後は、外部の者(親族以外や従業員)を取締役に入れてバリバリやっていきたい。外部の者を入れるに当たっては、法令遵守でやっていきたいから、色々教えて欲しい」というご依頼を多く受けます。
そんなとき最初にご説明するのが「取締役会を実体のあるもの、意義あるものにすること」です。
ここでは、
に取締役会を意義あるものにするためのノウハウをお伝えします。
もくじ | |
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複数人数で経営することによるメリットは次のとおりです。
良い点ばかりのように見えますが、このままでは、会社は業務分掌によってバラバラになります。
そこで、業務分掌によってバラバラになった各部門を連携させるための仕組みが必要です。その仕組みが取締役会です。取締役会は、会社の経営を複数で行なうことによるメリットを十分に発揮できるようにするための会社経営の仕組みです。
全取締役が集まって、取締役会で行なう業務(取締役会の権限)は次の4つです。
これらの権限を通じて、取締役会は、代表取締役や業務執行取締役の監督を行ない、適切なブレーキ役をも果たすのです。
会社法第362条(取締役会の権限等)
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取締役会によるアクセル機能とブレーキ機能を十分に働かせるためには、定期的に会議を開くことが重要です。
会社法では「業務執行を行なう取締役は、3か月に1回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない。」との規定があり(会社法363条2項)、これが「取締役会の開催頻度は最低3か月に1回以上」とされている理由です。
私の経験によれば、法律が定めるのは最低限ですので、定期的な取締役会は、少なくとも月一回以上は開くべきだと考えます。人は場に慣れることによって、自由に発言することができるようになるからです。
また、緊急事態が発生したときに、臨時の取締役会を開催できることは当然です。
リアルに集まって開催する取締役会は、次のとおりです。
会社法第366条(招集権者)
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通知は書面で行なう必要はなく、電話やメールで通知しても問題ありません。
取締役全員に通知する必要があります。
業務監査権限ある監査役の場合には、監査役にも通知が必要です。
会社法第368条(招集手続)
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取締役会の議事については、法務省令(会社法施行規則101Ⅳ)で定めるところにより、議事録を作成する必要があります(会社法369Ⅲ)。
議事録の回覧を受けた取締役は、ご自身が反対した議案に反対取締役としてご自身の名前が記載されているかチェックし、場合によっては修正を依頼します。取締役会の決議に参加した取締役であって議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定され(会社法369Ⅴ)、その議決が後日問題となった場合には、取締役個人として責任追及を受ける可能性があるからです。
取締役会議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければなりません(会社法369Ⅲ)。
取締役会設置会社は、取締役会の日から10年間、会社本店に取締役会議事録を保管する必要があります(会社法371Ⅰ)。
株主、債権者から取締役会議事録の閲覧を受けたときは、適切に対応する必要があります(会社法371Ⅱ~Ⅵ)。こちらの記事「会社が書類の提出を求められたときの対応(はじめに)」もご参照ください。
出来るだけストレスなく、開催することを目指して、次のような方法をご提案します。
次回の取締役会開催日時は、一般的には、会議の最後に決めたり、開催直前になってから決めることが多いですが、これは無駄なことで、ストレスになります。
よって、月一度開催するならば、第1月曜日午前8時からなど開催日時を固定してしまいましょう。
取締役会メンバーが、会議が始まってから、議題(何について話し合うか)や議案(こうしたいという案)を知るようでは、各自議案に対して検討する時間が足りません。
そうなってくると、会議は空転してしまいます。
議題や議案は、○日前までに通知するようルール作りをしましょう。
次のような形式の議事録を推奨しています。
積み残し課題の担当者欄・期限欄を設けることで、実効性は抜群です。
取締役会議事録 | ||||||
日時 | 令和3年5月10日午前8時~午前9時30分 | |||||
場所 | 当社本店社長室 | |||||
出席 | A社長、B取締役、C取締役、D取締役、E監査役 | |||||
議 事 | 担当取締役 | 期限 | ||||
報告事項1:○○○○ | ||||||
(発言者名) | (発言概要) | |||||
議題1:定時株主総会招集の件 | ||||||
議案:当社第○回定時株主総会を次の要領で開催する。 日時:令和○年○月○日午前○時 場所:当社本店大会議室 |
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(発言者名) | (発言概要) | |||||
多数決結果 | 全員一致で可決確定 | |||||
議題2:定時株主総会に提出する決算に関する件 | ||||||
議案:添付の決算書のとおり | ||||||
A社長 | 思っていたよりも○○の数字が大きいが? | |||||
B取締役 | 顧問税理士に確認し、追って報告します | B取締役 | 5/13 | |||
A社長 | 回答あるまで審議は延期してよいか? | |||||
全員 | 異議なし | |||||
議案3:○○に関する件 | ||||||
議案:・・・・・ | ||||||
C取締役 | これを進めるには○○という問題点がある。 | |||||
A社長 | ・・・ | |||||
D取締役 | ・・・ | |||||
多数決結果 | C取締役を除く全取締役の承認により可決 | |||||
あなまちサムライサポート株式会社・取締役会 | ||||||
令和3年5月10日 | ||||||
議長代表取締役 A (法人印) | ||||||
(議事録作成者) | ||||||
出席取締役 B ㊞ | ||||||
出席取締役 C ㊞ | ||||||
出席取締役 D ㊞ | ||||||
出席監査役 E ㊞ | ||||||
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