取締役会がある会社のことを「取締役会設置会社」といい(会2⑦)、取締役会がない会社のことを「取締役会非設置会社」といいます。
取締役会設置会社と非設置会社で、どんな違いがあるのでしょうか?
取締役会設置のタイミング、取締役会廃止のタイミングについてもお知らせします。
もくじ | |
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〔凡例〕この記事では、次のとおり略記します。
会327Ⅰ①:会社法第327条第1項第1号
概要は次のとおりです。
左に取締役会設置会社/右に非設置会社について書いています。
もう少し詳しく説明しますと下表のとおりです。
取締役会設置会社 | 取締役会非設置会社 | |
取締役会 |
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業務執行の決定 |
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取締役へ決定を委任できる事項 |
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監査役 |
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必要人数 |
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株主総会の招集 |
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株主総会の権限 |
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株主提案権 |
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【0】会社が各取締役に決定を委任できる事項=○、できない事項=×
取締役会 設置会社 |
取締役会 非設置会社 |
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会362Ⅳ | 会348Ⅲ | |
重要な財産の処分及び譲受け | × | ○ |
多額の借財 | × | ○ |
支配人その他の重要な使用人の選任及び解任(支配人の選任及び解任) | × | × |
支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止(支店の設置、移転及び廃止) | × | × |
第676条第1号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項=社債に関する事項 | × | ー |
第298条第1項各号(第325条において準用する場合を含む。)に掲げる事項=株主総会の日時・場所・目的事項ほか |
× 会298Ⅳ |
× |
取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備 | × | × |
第426条第1項の規定による定款の定めに基づく第423条第1項の責任の免除 | × | × |
【1】株主提案権については、次のとおり
取締役会設置会社 | 取締役会非設置会社 | ||
公開会社 | 非公開会社 | 非公開会社 | |
議題提出【2】 |
(会303Ⅱ) |
(会303Ⅲ) |
(会303Ⅰ) |
議案提出【3】 |
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【2】「議題」とは、話合うテーマです。
【3】「議案」とは、予め決められた議題(テーマ)に関して、会社提案への対案を示すことです。
株主提案権についての詳細は、記事「株主提案権と修正動議」や、記事「株主総会で出た『株主提案』『動議』への適切な対応方法」をご参照ください。
次の場合には、取締役会の設置が強制されます。
取締役会を設置して、定期的に各部門を統括する取締役から報告を受けるという形で、大きな会社は運営されています。
事業の多角化が進んだ、又はこれから進めようという会社には有効です。
取締役会非設置では、重要事項の決定が株主総会の決議事項となっています。したがって、次のような場合には、情報漏れを防ぐために、取締役会を設置することが多いです。
株主総会での株主からの不意打ち質問を予防すべき場合
取締役会を廃止することで、コストを減らすことが可能です。
株主から不意打ち(株主総会当日の議題提案等)を受ける可能性がなくなりますので、動機の一つになります。