最近、医療機関を(医療法人ではなく)一般社団法人として法人化する例が増えてきました。
一般社団法人として設立すれば、法人設立のための認可が不要であるため、多くのメリットがあります。
この記事では、一般社団法人として設立する医療機関を「医療一般社団法人」と名付けてご説明いたします。
もくじ | |
|
「医療法に基づく医療法人」ではなく、「一般社団法人」の仕組みを使って医療法人を設立することも可能です。
「医療一般社団法人」と「医療法人社団」の比較を行っていますので、ご参照ください。
医療一般社団法人 | 医療法人社団 | |
法人設立 |
(都道府県による認可は不要) ▽ 公証人による定款認証(審査は1日) ▽ 設立登記 || ○ 短時間で設立が可能 |
都道府県による認可(審査は数か月) ▽ (公証人による定款認証は不要) ▽ 設立登記 || × すごく時間がかかる |
診療所・病院開設 |
保健所による開設許可 |
保健所による開設許可 |
名称 |
一般社団法人○○ ○○一般社団法人【1】 |
自由【2】 |
純資産額の登記 | 登記事項ではない。 | 毎年1回の登記が必要 |
役員の最低人数 |
理事会非設置:理事1名 理事会設置:理事3名、監事1名【3】 |
理事会が必要:理事3名、監事1名 |
【1】一般社団法人又は一般財団法人は、その種類に従い、その名称中に一般社団法人又は一般財団法人という文字を用いなければならない(一般法人法5)。
【2】医療法人の商号は比較的自由で、医療法人社団などと入れる必要もありません。
コラム「医療法人を設立する際、正式名称に「社団」「財団」は必要なのか?!」を参照ください。
【3】医院開設を目的とする場合には、非営利徹底型の一般社団法人を設立する必要がございます。その場合には、他にも要件がございます。詳しくは「非営利型一般社団法人の設立」をご参照ください。
医療法人設立の認可が不要であることには、つぎの3つのメリットがあります。
医療法人で設立しようとすると総額80~90万円のコスト(行政書士の許認可+司法書士の登記)が掛かります。
一般社団法人で設立した場合には総額60~70万円(司法書士の登記+行政書士の許可)で可能となります。
医療法人の場合には、行政が主催する設立説明会への参加から始まり、多数の書類を行政に提出し、審査が完了し、認可書が交付されるまで数か月待ち時間が発生します。
一方、一般社団法人の場合には、行政主催の設立説明会への参加もなければ、多数の書類を行政に提出する必要もございません。また、待ち時間
医療法人に必要な認可申請書の提出時期は、年に1、2回しか認められていません。容易が整ってもこの時期が来るのをお待ちいただくことになります。
一方、一般社団法人の場合には、公証人による定款認証は平日であればいつでも認証を受けることができ、審査も1日で終わります。公証人による認証を受けたその日に登記申請を行うことも可能です。
一般社団法人の設立手続は複雑です。
以下では当グループにご依頼いただいた場合に、「クライアント様にご注意いただきたい点」を抜粋して記載しています。
最寄りの当グループ事務所にご予約ください。
当グループ定型の「ご要望お問い合わせ」シートをお渡しいたします。
ご記入のうえ、どのような法人にするのかご相談ください。
ご相談は、法人設立とは関係しない未収医療費等に関する問題についてもお伺い可能です。
まず、公証人に対して「実質的支配者の届け」を行ないます。その際に必要ですので、代表理事様の本人確認書類(運転免許証など)と印鑑証明書をあらかじめ司法書士に交付ください。
せっかく設立した法人の名称が、後日、類似商号だ、不正競争だと言われないために、しっかりと調査します。
法人印の発注代行を当グループが承ることも可能です。
看板・名刺などは、当グループの顧客企業をご紹介することも可能です。
定款は、法人の憲法にあたる重要な書類です。司法書士が案を作成しますので、法人様において内容をご確認いただき、ご不明点は司法書士にご質問ください。
司法書士が公証役場で定款認証を受けます。
テレビ電話による定款認証も可能になりました【1】。
司法書士が登記申請を行います。この日が会社の誕生日となります。
1週間程度で、登記が完了します。司法書士が登記事項証明書・印鑑証明書を取得し、正確に登記・登録できているかを確認のうえ、お引渡しいたします。
提携している行政書士が担当します。
登記事項証明書、定款謄本、公証人認証済みの実質的支払者の届出書、会社印鑑証明書、社長の本人確認書類(運転免許証など)をお持ちください(金融機関によっては他の書類を要求されることもございますので、念のため事前に電話でご確認ください)。
主たる業務内容などについて聞かれますので、ご回答ください。
▼約2週間後
銀行から口座開設の可否について電話連絡がありますので、指示に従ってください。
●会社設立後に必要な諸手続のご案内を行います。税務署、県、市、年金事務所、労基署などへの手続が必要ですが、マイナンバーカードがあれば、マイナポータルから一括手続をすることが可能です。
●必要に応じて、おすすめの税理士・社会保険労務士などの専門家をご紹介します。
【1】テレビ電話による定款認証
定款認証は、これまでは公証役場に出頭して行なう必要がありましたが、現在ではテレビ会議による定款認証を受けることができるようになりました。
テレビ認証の手順は、次のとおりです。
①司法書士が公証人に対して、定款認証委任状、印鑑証明書などを郵送します。
②公証人から司法書士に連絡があるので、定款認証日と公証人費用の入金方法を調整します。
③公証人は入金確認後、司法書士に対して、テレビ会議用のURLを送ります。
④認証日に、公証人と司法書士がテレビ会議で定款認証を受けます。
詳細は、コチラ(公証人連合会HP)を参照ください。
司法書士業務の内容 | 所要時間 |
打合わせ・類似商号調査 | 1週間程度 |
書類作成 | 1~2週間程度 |
登記申請~登記完了 | 1~2週間程度 |
登記が正確に完了しているかのチェック | 3日程度 |
合計 | 4週間弱 |
特急料金加算(5割増し)をいただくことで、納期を短縮することが可能です。
司法書士による法律顧問サービスを締結いただいている場合、割引きがございます。
業務の種類 | 司法書士の手数料 | 実費 | |
非営利徹底型の一般社団法人設立 | |||
|
440,000円(税込) 【1】 |
120,000円ほど | |
(法人について)診療所開設許可申請、(個人について)診療所廃止届【2】 | |||
(法人について)診療所開設許可申請 (個人について)診療所廃止届 |
66,000円~(税込) 【3】 |
【1】概ね1~2時間程度で打合せが完了する場合を想定しております。それ以上のご説明をご要望の場合には、別途お見積りをご用意いたします。
【2】保健所に対する許可申請は、提携の行政書士が行います。
【3】一般社団法人による診療所開設が必要である旨の理由書を求められたときは別途。
医療機関に関する法人登記(独自の論点)
全ての法人に共通