コロナ禍で盛んになったものの一つにWebセミナーがあります。
Webセミナーでは、集客をネット上で行なうのが通常です。Webセミナーをネット上で集客する場合の注意点をまとめました。
もくじ | |
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これだけの法律が関係します。
セミナー主催者はすべての法令に違反しないように注意する必要があります。
略称(あかさたな順) | 正式名称 |
割賦販売法 | 割賦販売法 |
景品表示法 | 不当景品類及び不当表示防止法 |
個人情報保護法 | 個人情報の保護に関する法律 |
資金決済法 | 資金決済に関する法律 |
通則法 | 法の適用に関する通則法 |
電子契約法 | 電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律 |
特定商取引法 | 特定商取引に関する法律 |
特定電子メール法 | 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律 |
独占禁止法 | 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 |
不正アクセス禁止法 | 不正アクセス行為の禁止等に関する法律 |
プロバイダ責任制限法 | 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 |
民法 | 民法 |
預金者保護法 |
偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律 |
シチュエーションごとに適用される法律はどうなっているのか?わかりませんよね。
でも、安心してください。経済産業省が作成した解説(電子商取引及び情報財取引等に関する準則)があります。ただ、解説なので、法律よりも分量が多いです。そこで、この記事では、セミナー募集だけを取上げて、法律にのっとったセミナー募集ができるようサポートいたします。
【1】電子商取引等に関する様々な法的問題点について、民法その他の法律がどのように適用されるのか、経済産業省の解釈を示したのが、この準則です(あくまで「法令」ではありません。)。
個別具体的な事例において現行法がどのように解釈適用されるのかを最終的に判断するのは裁判所ですが、この準則も一つの法解釈の叩き台として重要です。
準則のもくじは次のとおりですので、気になる項目をチェックしましょう。
Ⅰ章 電子商取引に関する論点
Ⅱ章 インターネット上の情報の掲示・利用等に関する論点
Ⅲ章 情報財の取引等に関する論点
Ⅳ章 国境を越えた取引等に関する論点 (国際裁判管轄及び適用される法規に関して)
無料セミナーである場合には、幾つかの法律は適用されません。
もっとも、無料であると安心して適当な勧誘をしていたら、思わぬ落とし穴から争いになる可能性もあります。そして、争いになると無用な出費を生じますので、無料セミナーの募集をする場合でも、有料セミナーに準拠した取扱いを心掛けるべきです。
セミナー受講生を事業者に限定した場合、特定商取引法・消費者契約法・割賦販売法など幾つかの法律は適用されません。
もっとも事業者性が争いになることもあり得ますし、争いになると無用な出費を生じますので、事業者に限定して募集をかける場合であっても、消費者に準拠した取扱いを心掛けるべきです。
特定商取引法11条、特定商取引に関する法律施行規則8条により次の表記が必要です。
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【1】次に該当する場合には、その事項も記載が必要です。
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キャンセル料に関する規定は、年14.6%を超過しないこと(消費者契約法9)。
クーリング・オフに関する規定は、法律どおり定めておかないと、クーリング・オフ期間が進行しない(申込者はいつまで経ってもクーリング・オフできる)という事態を招きますので、ご注意ください。
振込先金融機関を指定するのは、セミナー参加募集画面ではなく、申込者のみに表示される画面または応答メールにすべきです。
振込先金融機関は、貴社の取引銀行でしょうし、その情報は広く公開されるべき情報ではありません。募集画面は万人が見ることができる情報であり、ネット上に一旦広く公開してしまうと消すことができません。
料金を支払った場合には、領収書の交付を求めることができます(民法486)。この規定は任意規定ですので、領収書を発行しない場合には、次のように明示しておく必要があります。
領収書の発行は行ないません。お振込みされた時に受け取られた銀行からの「振込明細書」等をご保管ください。 |
セミナー参加者に後日DMなどを送りたいときには、申込画面に次のようなチェックボックスを設ける必要があります(オプトインの原則。特定電子メール法、特定商取引法)。
□ お知らせメールを送信して良い |
契約は、買いたいという「申込」と、売りたいという「承諾」が一致すれば、有効に成立します。
通信販売(インターネット上の取引)の場合、次のようなプロセスで契約が成立します。
①広告(事業者から消費者への契約申込みの誘引)
②消費者の申込み(消費者から事業者への申込み)
③事業者のレスポンスは「承諾=契約成立」又は「申込みの受領=契約は未だ成立せず」
契約が有効に成立した場合、事業者は消費者に対して商品・サービスを提供する義務が発生しますので、特に①受講人数に制限のあるセミナー、②数量限定の商品、③消費者の注文を確認してから製造する場合(発注する場合)などには、消費者が「注文するボタン」を押下げただけで契約が成立しないように注意が必要です。
具体的には、次のような対応を行ないます。
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電子消費者契約法は、事業者が注文内容を確認して訂正できる画面を設けるなど、事業者が操作ミスを防止するための措置(例えば、入力完了後、確認画面を設けるなど)を講じていないときは、消費者に数字の入力ミスなど重大な過失があっても契約を無効とすることができる旨規定しています(電子消費者契約法3)。
消費者であっても次のような場合には、電子消費者契約法の保護を受けられませんのでご注意ください。
DMの送信には「特定電子メール法」による規制があります。
そのため「今後もDMを送って良いかの確認」のチェックボックス□を用意し、チェック✔を入れてもらうようにしましょう。
特定電子メール法の詳しい解説については、こちらのコラム「DMするときに気をつけるべきオプトイン(特定電子メール法)」もご参照ください。
受講料をセミナー実施よりも先に貰うのか(通常は実施前です。)なども決定し、先払の場合には、次の事項を書面またはメールしなければなりません(特定商取引法13、特定商取引に関する法律施行規則12、13)。
お金を払ったけれども、座席数・商品が不足しており提供できないということを防止するための規定です。
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当グループが過去行なった司法書士本職をターゲットとした広告では、運営の便宜のために次のような一文を入れておきました。
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受講者にも発言してもらう形式のセミナーである場合には、「ふりがな(お名前の読み方)」も入力いただくべきです。
セミナー当日までに、参加者を整理する必要があります。
司法書士本職をターゲットとしたセミナーでは、所属司法書士会(都道府県)を問いました。
セミナー参加者側からすれば面倒なメールアドレスですが、主宰者側になると意外と打ち間違いが多いことに気づきます。
二回入力式にしましょう。
受講生は個人情報の入力を嫌がる傾向がありますが、ZOOMセミナーなどリアル開催でない場合には、電話によるフォローも必要かと思います。
後日、同種セミナーを開催するために必要になります。
〇 Twitter 〇 Facebook 〇 ホームページ 〇 ブログ 〇 紙チラシ 〇 主催者からの電話・DM 〇 その他_____________________ |
事前に質問を集めておくと、セミナーを盛り上げることができます。
自動返信メールには、送信上限が設定されていることもありますので、事前に確認しておきましょう。
せっかくの申込に対して、返信ができないようでは、申込された方が不安になります。
また、返信の内容については先払のときの送付書面に記載すべき事項にもご注意ください。
業務内容 | 司法書士の報酬 |
定型約款の作成 | 22万円(税込) |
セミナー参加者の募集をWeb上で行なう場合の 申込み画面・付属画面フォーマットの作成 |
11万円(税込)~ |