事業者が理解しておくべき「リース契約」


リース契約が「レンタル契約とは全然違うもの」ってご存じですか?!

 

事業を始めるためにコピー機・複合機・ビジネスフォンなどのOA機器や、自動車、重機などの機械をリースやレンタルすることがあります。また、これらをローンを組んで買うこともあります。

レンタル(賃貸借契約)やローン(金銭消費貸借契約)は、事業を始めるまでにご経験があるので大体のところは理解なさっていると思います。例えば、レンタルではCDや借家、ローンでは親から金を借りるなどご経験なさっていると思います。

 

ところが、リース契約は事業者にならないと結ばないので、その特殊性を分かったうえで契約する必要があります。

もくじ
  1. ザックリ解説(リース・レンタル、ローン・割賦・所有権留保)
  2. リースとレンタルの違い
  3. リース契約の種類
  4. リース契約の特徴と注意点
  5. リース契約締結の流れ
  6. リース契約書に押印する前に
  7. 司法書士の報酬・費用

ザックリ解説(リース・レンタル、ローン・割賦・所有権留保販売)


事業用に物を使うためには、大きく分けて、物を「借りる」と「買う」に分かれます。

物を借りるときは「リース」か「レンタル」になります。

物を買うときには、「現金一括」を除いて「ローン」「割賦販売」「所有権留保販売」の種類があり、これらを組み合わせることも良くあります。さらに、契約の当事者も、皆さまと販売会社だけではなく、クレジット会社やリース会社が登場することもあります。

    別名 使用権 契約直後の所有権
物を借りる リース契約 (特になし) 借りた人 貸す会社
レンタル契約 賃貸借契約 借りた人 貸す会社
         
物を買う ローン契約 金銭消費貸借契約 買った人 買った人
割賦販売 売買契約の一種で、売買代金を分割で払うことを認めたもの 買った人 買った人
所有権留保販売  売買契約の一種で、売買代金を完済するまでは所有権を販売会社に留保しておくもの 買った人 販売会社 

リースとレンタルの違い


リース契約とレンタル(賃貸借)契約の違いは下表のとおりです。

違いは、➊維持管理費用の負担者と➋中途解約の可否です。

契約書のタイトルよりもこの二点についてどういう契約になっているのか、契約書の中身(各条項)で判断することが大切です。

  リース契約 レンタル(賃貸借)契約
  借主が欲しい物をリース会社に購入してもらって、リース会社から借りる 賃貸人が最初から持っている物を借りる
契約期間 比較的長期 短かいものもある
所有権 リース会社 貸主
使用権 ユーザー 借主

修繕維持管理

費用の負担者

ユーザー 貸主
中途解約

中途解約不可【1】

残リース料・違約金を支払う

解約予告のうえ中途解約可

違約金などは発生しない

法律上の根拠

民法521:契約自由の原則【2】

民法601以下

借地借家法など

【1】「リース会計基準」で、リース契約というためには「中途解約不可」とすることが要求されているためです。

【2】これまでの民法には「契約自由の原則」を定めた条文は有りませんでした。契約自由の原則とは、「契約内容は公の秩序(民90)や強行法規(民91)に反しない限り当事者間で自由に決められる」という原則のことを指していましたが、改正民法521条に明記されました。

(反対語:物権法定主義)

どんな契約を結ぶかは当事者の自由(=契約自由の原則)ですので、リース会社は様々なリース商品を提供しています。貴社にとってどんなリースがお得なのか、良く考えて契約しましょう。

リース契約の種類


様々なリースを分類すると次ようなものになります。

  リース契約
名称 ファイナンス・リース  オペレーティング・リース
意義  リース会社が物を購入してユーザーに貸与する。 ファイナンス・リース以外のリースのこと 
種類 所有権移転ファイナンス 所有権移転外ファイナンス
効用 
  • リース期間終了後には、物の所有権がユーザーのものになる。
  • 中途解約できない。
  • リース期間終了後には、物を返還しなければならない。
  • 継続使用するには、再リースか買取り。
  • 中途解約できない。
  • リース期間終了後に物を中古品として売却することを予定する短期間のリース契約。
  • リース会社が物を購入したときの購入費をユーザーが全額負担する必要がないため、リース料を安く抑えることが可能。
  • 中途解約も可能

リース契約の特徴と注意点


リースを購入と比較した場合、リースは、一括で大きな資金を必要としない等のメリットもありますが、次のようなデメリットも分かったうえで、契約してください。

1■ リース契約と売買契約は別

リース契約に特約があったとしても、その特約はメーカーを拘束しません。

反対に、売買契約に特約があっても、その特約はリース会社を拘束しません。

目的物に瑕疵があっても契約不適合責任をリース会社に追及できない。

2■ リース物件が使用できない場合であっても、リース料の免除・減額を請求できない。

3■ リース物件をリース会社に引き上げられても、リース料の支払い義務は残る。

4■ リース料に利息制限法の適用はない。

物件価格に比べて、法外なリース料を設定しているケースも報告されています。

物件を買い取った場合には、幾らなのかを、調べてから契約しましょう。

5■ リース物件の修繕義務はユーザーが負う

コピー機などは保守契約もセットで結ぶことで、販売会社が保守を担当してくれることもあります。

6■ リース物件の滅失毀損のリスク(危険負担)は、ユーザーが負担する。

7■ リース契約は途中解約できない。

「リース会計基準」で、リース契約というためには「中途解約不可」とすることが要求されているためです。

安易に途中解約をされてしまうと、リース会社に損害が生じることも理由です。

リース契約締結の流れ


通常のリース契約では、➊ユーザー(貴社)、➋メーカーと➌リース会社の三者間で契約することとなりますので、契約締結までのフローも次の通り複雑です。

ユーザー(貴社)が、自社の購入したい物品を選定

ユーザーが、メーカーとの間で価格・納期などを決定

ユーザーが、リース会社にリース申込み

リース会社が審査

ユーザーとリース会社がリース契約を締結

リース会社がメーカーと物品に関する売買契約を締結

ユーザーとメーカーが決めた条件を引き継ぐ

メーカーがユーザーに納品

ユーザーはメーカーが納品した物品を検収

ユーザーはリース会社に借受証を交付

リース契約が開始し、リース料の支払い開始

ユーザーとリース会社がリース契約を締結

リース会社がメーカーに売買代金を一括支払い

メーカーはユーザーに製品保証やアフターサービスを提供する

メーカーが倒産してしまい製品保証やアフターサービスを受けられないケースもあります。

リース契約書に押印する前に


リース契約では、次のようなトラブルも発生しています。

  • 営業マンの虚偽説明に騙されて契約してしまう。
  • 欲しい物の値段に比べて、法外なリース料が設定されている。
  • クーリングオフ制度は事業者間ですので適用されません。

 

したがって、リース契約書に押印する前に、司法書士にお見せください。

契約を急がせる事業者は、その時点で悪質であるといっても良いです。

理由を聞かれたときには、懇意にしている司法書士が「契約書に簡単に押印するな」とうるさくってと、おっしゃっていただいて結構です。

司法書士の報酬・費用


リース契約書のチェックは110,000円(税込)/1通です。

  • 顧問契約をいただいている場合には、契約書のチェックは月1通まで無料で承ります。

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