✔ 経営者親族中に後継者がいないとき・・・
✔ 経営者親族がまだ若く、中継ぎ後継してもらう必要がある
そんなときには、役員や社員の中で、後継者候補を探します。
役員・従業員への承継で大切なことは何か?
もくじ | |
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経営者の親族が若いなどの理由により、臨時(中継ぎ)で、役員・従業員に承継させるのか?
経営者の親族には、後継者がいないから、役員・従業員に会社を丸ごと譲ってしまうのか?
によって、譲渡するものが異なります。
譲渡するもの | |
臨時(中継ぎ)の承継 | 経営権のみ |
終局的な承継 | 経営権+自社株 |
臨時の承継なのか、終局的な承継なのか、経営者と後継者の間で、絶対に、誤解が発生しないようにします。
以下では、終局的な承継について、お話しします。
現経営者が保有している自社株を、後継者に移すには、次のような方法があります。
方法 | 問題点 |
A)現経営者が後継者に株式を贈与する。 | なかなかタダで株をあげようとはならない。 |
B)後継者が現経営者から株式を買い取る。 | 後継者の資金力が不足していることが多い。 |
C)後継者が会社を設立し、その会社が金融機関やファンドから融資や出資を受けて、現経営者から株式を買い取る。 | 融資を受けると、負債が増え、経営を圧迫しがち。 |
現経営者が保有している自社株を、後継者に移すには、次のような方法があります。
後継者が買収(お金を使って株式を取得)する(B)(C)のような方法のうち、
後継者が、当該会社の会社役員であるときをMBO(Management Buy-Out)といい、
後継者が、当該会社の従業員であるときをEBO(Employee Buy-Out)といいます。
方法 | 役員による買収 | 従業員による買収 |
B)後継者が現経営者から株式を買い取る。 | MBO | EBO |
C)後継者が会社を設立し、その会社が金融機関やファンドから融資や出資を受けて、現経営者から株式を買い取る。 |
メリット |
〇会社をよく理解している人に譲渡できる。 〇従業員や取引先を見捨てて会社を売却したというマイナスイメージがない。 〇時間をかけて経営者教育を行える。 〇時間をかけて引き継ぎできる。 〇後継者を能力本位で選べる。 〇後継者は過去に囚われず経営できる。 〇頑張れば自分も社長になれるかもと、従業員が仕事に励むインセンティブになる。 〇オーナー経営者の老後資金確保可能 〇事業承継税制は、親族外の承継でも使える。【1】 |
デメリット |
×社員に反発されると、生産性が落ちる。 ×取引先や金融機関から不信を買うと、後の企業経営が難しくなる。 ×個人保証の承継が問題となりやすい。
×後継者に株式取得資金に乏しいのが一般的 ×資金調達を外部の融資や出資に頼ると、経営介入されることがある。 ×ビジネスライクに高く株を譲渡するか、義理人情で安く株を譲渡するかが、オーナー経営者との関係性・後継者の交渉力にかかっている。
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【1】親族外の後継者である役員・従業員などに対しての自社株式の贈与や遺贈について、贈与税や相続税の納税猶予を受けることができる。
但し、次のデメリットにも注意
①現経営者の相続人の相続税負担増の可能性、
②相続税申告を通じて後継者に現経営者の個人資産が知られる。
現経営者が、役員・従業員のことをどんなに大切に考えていても、親族に対するそれとは違います。
それが顕著に表われるのが株式の譲渡価格【1】でしょう。
【1】譲渡の総額は、会社の規模によって異なりますが、ここで言うのは、一株あたりの譲渡価格です。
親族への譲渡 | 役員・従業員への承継 | 第三者への売却・M&A |
贈与(無償)又は安価 |
・義理人情で安く譲渡するか ・ビジネスライクに時価で譲渡するか |
時価 |
後継者に対する義理人情で安く譲渡するのか、それともビジネスライクに時価で譲渡するのか、それは、
✔ オーナー経営者と後継者の関係性
✔ オーナー経営者と後継者の交渉力の差
にかかっています。
高く売却すると、当然、後継者の体力(資金力)は落ちてしまいます。体力が落ちているときに、会社で何等かの問題が発生すれば、せっかく経営者が産み育てた会社が倒産という憂き目にあうことも考えられます。そして、事業承継直後は、色々な問題が発生しやすいのです。
このあたりを慎重にご検討いただければ幸いです。
後継者が未熟だから、まだ心配で辞められないと言ってみても、ヨチヨチ歩きに見えても、手を離してあげないと、後継者の社長としての成長はないのです。
また、事業承継が進むにつれて、現経営者の仕事内容が変わってきます。頭を悩ませながら、陣頭指揮をとっていたトップの仕事を後継者がやってくれることになり、現経営者は次第にそれを後ろで見守るという仕事に変わってくるのです。
仕事内容が変わると、人間誰しも楽しくなってしまいます。
楽しくなると、辞めたくなくなるのです。
これが、後継者にとっては困ったことです。
発表していた承継時期がずれ込むことで、後継者に対する世間の信用が落ちかねません。
退任時期は、決してずれ込むことのないよう、
✔ 周囲に周知したり、
✔ パーティを開く(予め予約しておく)などして、
ずらしたくても、決して、ずらせないように致しましょう。
事業承継へ関与していると、これは「あるある」です。
特に、現経営者が当初言っていたことが変わってしまうのです。
✔ 現経営者の退任時期
✔ 株式の譲渡価格
✔ その他の条件
などなど
本当によくあるお話しで、後継者が変更を飲み込めれば良いのですが、そうでないときは、事業承継は失敗に終わります。後継者は、退社してしまうこともあり、大問題になりかねません。
これを防止するためには、
✔ とにかく決定事項は、書面化して蒸し返しを防ぐ
✔ 十分なコミュニケーションを頻繁にとっておく
必要があります。