企業の不正行為は、利用者・取引先などの利益を害し、企業の競争力も奪います。そこで内部から通報させる公益通報者保護法が平成18年施行されました。
しかし不正行為は無くならず不正が長年に渡っていた事例もあります。そこで同法は改正され令和4年6月1日から施行されます。
この法律によって内部通報される可能性があるのは「全事業者」です。
この記事では、内部通報制度について分かりやすくご紹介します。
もくじ | |
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〔凡例〕この記事内では、次のとおり略記します。
公益通報ハンドブック/消費者庁/H29.9版/最終アクセス220503
上記公益通報ハンドブックは少し古いので、詳しい情報は「公益通報者保護制度」/消費者庁HP/最終アクセス220503でご確認ください。
次のとおり定義されています。
つまり適用される(内部通報を受ける可能性がある)のは、全事業者です。
内部通報できる人の範囲が改正により拡大します。
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一定の対象となる法律【1】に違反する犯罪行為または最終的に刑事罰又は行政罰につながる行為である必要があります(改正法2Ⅲ①②)。
【1】対象でない法律に違反している事実を通報しても、その通報者は公益通報者保護法による保護の対象になりません。
対象となる法律(改正法別表〔第2条関係〕) | |
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【2】公益通報者保護法別表第8号の法律を定める政令
各士業法をはじめ約450の法律が挙げられています。
・事業者内部
公益通報者保護制度では、事業者が内部に公益通報に関する相談窓口や担当者を置くことを求めています。そうした事業者内の窓口や担当者、事業者が契約する法律事務所などが通報先の例です。また、管理職や上司も通報先になります。
※中小事業者(従業員数300人以下)は努力義務(改正法11Ⅲ)
・行政機関
通報された事実について、勧告、命令できる行政機関が通報先になります。一般には、通報対象事実に関連する行政機関と考えてもよいでしょう。
もし通報しようとした行政機関が適切でなかった場合、その行政機関は適切な通報先を通報者に紹介することになっています。
・その他
一般的には報道機関や消費者団体、労働組合などで、そこへの通報が被害の発生や拡大を予防するために必要であると認められるものです。
(通報先について引用元:「組織の不正を未然に防止!通報者も企業も守る『公益通報者保護制度』」/内閣府大臣官房政府広報室/最終アクセス220503)
内部通報に適切に対応するために必要な体制の整備等(窓口設定、調査、是正措置等)が義務づけられました(改正法11Ⅰ)。
事業者は、従事者を定める際には、書面により指定をするなど、従事者の地位に就くことが従事者となる者自身に明らかとなる方法により定めなければならない(指針第3従事者の定めⅡ。窓口担当者は秘密を漏らすと罰金刑に処せられる可能性もあるため、書面で指定することによりハッキリと認識させる必要があるためです。)。
※中小事業者(従業員数300人以下)は努力義務(改正法11Ⅲ)
全事業者は、公益通報者の保護を図るとともに、公益通報の内容の活用により国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図るため、第三条第一号及び第六条第一号に定める公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとらなければならない(改正法11Ⅱ)。
こちらの義務については、中小事業者(従業員300人以下)も措置をとる義務があります。
公益通報対応業務従事者又は公益通報対応業務従事者であった者は、正当な理由がなく、その公益通報対応業務に関して知り得た事項であって公益通報者を特定させるものを漏らしてはならない(改正法12)。
遺漏した場合には、遺漏した窓口担当者自身が、30万円以下の罰金が処せられる可能性があります(改正法21)。