同じ「雇う」といっても、雇い方は色々あります。
例えば、
従業員を雇って仕事をさせる。
大工の棟梁を雇って家を建ててもらう。
司法書士を顧問として雇う。
同じように見えるかもしれませんが、これらは全く別の契約、すなわち「雇用」「請負」「委任」に分類されます。
そして、雇い方によって適用される法律も異なります。
ここでは、雇うとはどういうことなのか?雇い方によって異なる法制度を図表で説明します。
法律 | 契約の目的 | 労務供給の態様 | 保護 | 例 | |
雇 用 |
民法623~ 労基法 労働契約法 |
労働力の供給 | 使用者の指揮命令 | 労働者として保護される |
サラリーマン 工場労働者 |
請 負 |
民法632~ 下請法 労働契約法 |
仕事の完成 | 受託者の裁量権あり |
労働者としての保護なし 【1】 |
大工 |
委 任 |
民法643~ 労働契約法 |
専門的労働力の供給 | 受任者の裁量権あり |
労働者としての保護なし 【1】 |
司法書士 医師 |
【1】「請負」「委任」又は非典型契約で労務を提供する者であっても、契約形式にとらわれず実態として使用従属関係が認められる場合には、労働契約法第2条第1項の「労働者」に該当します。
たくさんの労働に関する法律がありますが「労働法」という法律があるわけではありません。
労働に関する法律は、大きく次の3つに分類されます。
定めている内容 | 主な法律 | |
❶個別的労働関係を規定する法律 |
企業と個々の労働者との関係を規定する |
労基法 |
❷集団的労働関係を規定する法律 |
企業と労働組合との関係を規定する |
労働組合法 労働関係調整法 |
❸労働市場を規定する法律 |
健全な労働市場の構築のためのルールを規定する |
職業安定法 |
法律の名前 | 定めている内容 |
労働基準法 |
労働条件に関する最低基準を定める。労働三法の一つ。
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最低賃金法
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国が賃金の最低額を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならない
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労働安全衛生法 |
事業場における安全衛生管理体制の確立
事業場における労働災害防止のための具体的措置
その他関係法律に、じん肺法や作業環境測定法がある。
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労働者災害補償保険法 |
業務上の事由や通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡などに対して必要な保険給付などを行う その他関係法律に、石綿による健康被害の救済に関する法律がある。 |
労働契約法 |
労働契約に関する民事ルールを定める。
「請負」「委任」又は非典型契約で労務を提供する者であっても、契約形式にとらわれず実態として使用従属関係が認められる場合には、労働契約法第2条第1項の「労働者」に該当します。 |
男女雇用機会均等法 |
正式名称「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」 |
育児・介護休業法 |
正式名称「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」 |
パートタイム・有期雇用労働法(2020.4.1パートタイム労働法から名称変更) |
正式名称「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」 (2020.4.1「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」から法律名変更) |
労働者派遣法 |
正式名称「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」 |
賃金の支払の確保等に関する法律 |
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個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律 |
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労働契約承継法 |
会社分割が行なわれる場合における労働契約の承継等に関し会社法の特例を定める。 正式名称「会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律」 |
法律の名前 | 定めている内容 |
労働組合法 |
日本国憲法28条が保障する団結権について具体的に定める。労働三法の一つ。
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労働関係調整法 |
労働争議を予防・解決するための手続を定める。労働三法の一つ。
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【1】不当労働行為として禁止される行為
1号
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労働者が、
を理由に解雇やその他の不利益な取扱いをすること。 |
労働者が労働組合に加入せず、又は労働組合から脱退することを雇用条件とすること(いわゆる黄犬契約)。 |
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2号 |
正当理由なく団体交渉を拒否すること。 |
3号 |
労働組合の結成・運営を支配し介入すること。 |
労働組合運営のための経費を援助すること。 |
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4号 |
労働委員会への申立て等を理由とする不利益を与えること。 |
法律の名前 | 定めている内容 |
職業安定法 |
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労働施策総合推進法
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国・地方公共団体の施策のほか事業主の義務を定める。
正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」 2018.7.6「雇用対策法」から法律名変更 |