「個人情報保護法」では、個人情報の種類がたくさんあり、種類ごとに規制内容が異なります。
これでは、皆さま混乱してしまいますので、種類ごとの法規制について、簡単にまとめました。
もくじ | |
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【凡例】
個人情報を「種類」で分類すると2種類(⑴氏名・生年月日その他の記述等、⑵個人識別符号)に分かれます。分かれますが、種類によって法規制が変わることはありません。
「内容」により分類すると「要配慮個人情報」と「それ以外の個人情報」に分かれます。
要配慮個人情報以外の個人情報 | 偽りその他不正の手段により、取得してはならない(法20Ⅰ) |
要配慮個人情報 | 法令で定められた例外を除き、あらかじめ本人の同意を得ないで、取得してはならない。(法20Ⅱ) |
要配慮個人情報以外の個人情報 |
原則=オプトイン 法令で定められた例外を除き、あらかじめ本人の同意を得ないで、第三者提供してはならない(法27Ⅰ) |
例外=オプトアウト 下記全ての要件を充たすときは、あらかじめ本人の同意を得ないで第三者提供できる(法27Ⅱ)
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要配慮個人情報 |
オプトアウト方式による第三者提供は認められない(法27Ⅱ但書)。 したがって、原則通りのオプトイン(事前本人同意)しか認められない。 |
規 制 の 内 容 |
利 用 目 的 の 特 定 |
利 用 目 的 に よ る 制 限 |
不 適 正 な 利 用 禁 止 |
不 正 手 段 に よ る 情 報 取 得 |
取 得 時 の 利 用 目 的 の 通 知 等 ※ ➊ |
利 用 目 的 変 更 時 の 本 人 へ の 通 知 又 は 公 表 |
デ | タ 内 容 の 正 確 性 の 確 保 |
安 全 管 理 措 置 |
従 業 員 の 監 督 |
委 託 先 へ の 監 督 |
漏 洩 時 の 委 員 会 へ の 報 告 |
第 三 者 提 供 の 制 限 |
外 国 に あ る 第 三 者 へ の 提 供 制 限 |
第 三 者 へ 提 供 し た と き の 記 録 作 成 |
第 三 者 提 供 を 受 け た と き の 確 認 ・ 記 録 |
保 有 個 人 デ | タ に 関 す る 事 項 公 表 |
開 示 ・ 訂 正 等 ・ 利 用 停 止 等 ・ 理 由 説 明 |
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法の条数 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21Ⅰ | 21Ⅲ | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 32 | 33~ | ||
個 人 情 報 |
個人データ | 保有個人データ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
上記以外の個人データ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ー | ー | ||
個人データ以外の個人情報 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー |
※➊要配慮個人情報については、「予め本人の同意を得ない」情報取得が禁止されていることに注意が必要です(法20Ⅱ)。
個人情報 | 仮名加工情報 | 匿名加工情報 | |
個人情報と匿名加工情報の中間に位置する情報。
それ自体で個人情報となるような情報は削除されているが、特異な年齢や稀少な病名等は削除する必要はなく、他の情報と照合することによって特定の個人を識別することができることとなる情報が残されている。【1】 ▼ 原則として個人情報の義務規定全般の適用がある。
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いわゆるビッグデータ。 ▼ 完全に匿名化した状態(その情報を他の情報と照合したり、復元しようとしてもできない状態)で、本人の同意を得ることなく、パーソナルデータの流通を可能とする。 |
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適正加工義務 |
あり(法41Ⅰ) 違反した場合、①適正加工義務に反するほか、②個人情報であるものを仮名加工情報として扱うことになるため個人情報に関する義務違反にもなりえる。 |
あり(法43Ⅰ) 違反した場合、①適正加工義務に違反するほか、②個人情報であるものを匿名加工情報として扱うことになるため個人情報に関する義務違反にもなりえる。 |
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安全管理措置義務 | あり(法23) |
あり(法41Ⅱ) |
あり(法43Ⅱ、46) |
通知・公表義務 | 取得又は利用目的変更したときは通知又は公表義務あり(法21) |
取得又は利用目的変更したときは公表義務あり(法41Ⅳ) |
作成したときは公表義務あり(法43Ⅲ) |
第三者提供 | 禁止(法27) |
個人情報である仮名加工情報につき禁止(法27、法41Ⅵ) 個人情報でない仮名加工情報につき禁止(法42) |
可能(法43Ⅳ、44) |
識別行為の禁止 | 本人を識別するために、仮名加工情報を他の情報と照合してはならない(法41Ⅶ) | 本人を識別するために、削除された記述等を取得したり、匿名加工情報を他の情報と照合してはならない(法45) | |
本人からの開示請求 | 対象(法32~39) | 対象外(法41Ⅸで法32~39の適用を排除) |
対象外 |
利用目的変更 | 不可能(法17Ⅱ) | 可能(法41Ⅸで法17Ⅱの適用を排除) | 可能 |
【1】石井夏生利・曽我部真裕・森亮二編著/個人情報保護法コンメンタール/勁草書房/2021年/52頁
個人情報保護法第31条(個人関連情報の第三者提供の制限等)
情報取扱事業者は「情報の保管・管理方法」で4つに分かれます。すなわち・・・
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個 人 情 報 取 扱 事 業者 |
仮 名 加 工 情 報 取 扱 事 業者 |
匿 名 加 工 情 報 取 扱 事 業者 |
個 人 関 連 情 報 取 扱 事 業者 |
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行 政 罰 |
個人情報保護委員会による立入、調査、質問、帳簿などの閲覧等(法143) | ○ | ○ | ○ | ○ |
個人情報保護委員会による事業者への指導及び助言(法144) |
○ | ○ | ○ | ○ | |
個人情報保護委員会による事業者への勧告、措置命令、社名公表(法145) |
○ | ○ | ○ | ○ | |
刑 事 罰
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個人情報保護委員会の措置命令(法145)違反をした者に対して1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(法173) | ○ | ○ | ○ | ○ |
事業者の役員、従業員又はこれらであった者がその業務に関して取り扱った個人情報データベース等(その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。)を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金(法174) | ○ | ? | ? | ? | |
個人情報保護委員会の調査に対する妨害(資料提出をしない、虚偽報告など)に対して50万円以下の罰金(法177) | ○ | ○ | ○ | ○ | |
法173及び法174違反をした会社に対して1億円以下の罰金(法179Ⅰ①) | ○ | ○ | ○ | ○ | |
法177違反をした会社に対して50万円以下の罰金(法179Ⅰ②) | ○ | ○ | ○ | ○ | |
第三者提供を受ける際の確認を怠った者は10万円以下の過料(法180①) | ○ | ? | ? | ○ | |
認定個人情報保護団体でない者が、この名称を使用したときは10万円以下の過料(法180②) | ○ | ○ | ○ | ○ | |
不正手段で、法85Ⅲに規定する開示決定に基づく保有個人情報の開示を受けた者は10万円以下の過料(法180③) | ○ | ○ | ○ | ○ | |
民 事 罰 |
個人情報を不適切に扱われた本人(顧客、従業員や取引先)から損害賠償請求を受ける可能性 | ○ | ○ | ○ | ○ |