種類株主総会って定時総会と臨時総会があるの?!
定時株主総会・取締役会・種類株主総会の開催の順序は?!
などなど種類株主総会の運営についてご説明します。
もくじ | |
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種類株主総会とは、種類株式を発行している会社が開催する必要のある「ある種類の株主だけの総会」のことです(会社法2⑭)。参加できる株主が「ある種類の株式を所有している株主だけ」に制限されている株主総会だと考えていただければ結構です。
ある会社が種類株式を発行しているか否かは、登記簿をご覧になると分かります。
種類株主総会は、①会社法が定める一定の事項と②定款で定めた事項に限って、決議することができます(会社法321)。
さらに①会社法が定める一定の事項であっても、その一部の事項は、定款で種類株主総会決議を要さないと定めることができます(会社法322、323)。
以上をまとめると次表のようになります。
会社法が定める一定の事項 【1】 |
定款で定めても種類株主総会の決議を省略できないとされている事項 →種類株主総会の決議が必要 |
定款で定めることにより種類株主総会の決議を要さないとできる事項 | |
定款で定めた事項 |
定款で種類株主総会の決議が必要とされている事項 →種類株主総会の決議が必要 |
【1】加藤政也司法書士編集/Q&A商業登記と会社法/新日本法規/36pの表を参照
種類株主総会の運営については、会社法第325条が株主総会に関する規定を準用しています。
会社法第325条(株主総会に関する規定の準用) | |
前款(第295条第1項及び第2項、第296条第1項及び第2項並びに第309条を除く。)の規定は、種類株主総会について準用する。この場合において、第297条第1項中「総株主」とあるのは「総株主(ある種類の株式の株主に限る。以下この款(第308条第1項を除く。)において同じ。)」と、「株主は」とあるのは「株主(ある種類の株式の株主に限る。以下この款(第318条第4項及び第319条第3項を除く。)において同じ。)は」と読み替えるものとする。 |
会社法第325条で「前款」といっているのは会社法295条から320条のことです。
ほとんど準用されているので、準用されていない条文を確認しましょう。
295条1項 |
株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。 →種類株主総会の議案とすべき事項については321条に規定されているため、準用されていません。このコラムの「種類株主総会の議案とすべき事項」もご参照ください。 |
295条2項 |
前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。 →種類株主総会の議案とすべき事項については321条に規定されているため、準用されていません。このコラムの「種類株主総会の議案とすべき事項」もご参照ください。 |
(295条3項) | 「この法律の規定により株主総会の決議を必要とする事項について、取締役、執行役、取締役会その他の株主総会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めは、その効力を有しない。」は、種類株主総会にも準用されています。 |
296条1項 |
定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない。 →種類株主総会には定時総会・臨時総会という概念がないため、準用されていません。 |
296条2項 |
株主総会は、必要がある場合には、いつでも、招集することができる。 →種類株主総会には定時総会・臨時総会という概念がないため、準用されていません。 |
(296条3項) | 「株主総会は、次条第四項の規定により招集する場合を除き、取締役が招集する。」は、種類株主総会にも準用されています。 |
309条 |
株主総会の決議方法(普通決議・特別決議など) →種類株主総会の決議方法については324条に規定されているため、準用されていません。 |
株主総会の規定であって、種類株主総会には規定が見当たらないものの背景色をグレーにしています。
決議機関 (決議の種類) |
定足数(出席率) | 決議要件 | ||
総株主同意 会322Ⅳ |
なし | 原則 | 総株主の同意 | |
例外 | なし | |||
株主総会 (特殊決議2型) (特別特殊決議) 会309Ⅳ |
なし |
原則 | 総株主の半数以上(頭数)かつ、総株主の議決権の3/4以上 | |
例外 | 前段・後段とも、定款で加重のみ可 | |||
種類株主総会 (特殊決議) 会324Ⅲ |
なし |
原則 | 議決権行使可能株主の半数以上(頭数)かつ、議決権行使可能株主の2/3以上 | |
例外 | 前段・後段とも、定款で加重のみ可 | |||
種類株主総会 (特別決議) 会324Ⅱ
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原則 |
議決権行使可能株主の議決権の過半数を有する株主出席 |
原則 | 出席株主の議決権の2/3以上 |
例外 |
定款で「議決権行使可能株主の議決権の1/3以上を有する株主の出席」と緩和可能 |
例外 | 定款で加重のみ可 | |
種類株主総会 (普通決議) 会324Ⅰ |
原則 |
その種類株式の総株主の議決権の過半数を有する株主出席 |
原則 | 出席株主の議決権の過半数 |
例外 |
定款で「定足数を排除、緩和、加重」いずれも可能 |
例外 |
定款で加重のみ可【1】 |
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株主総会 (特則普通決議) 会341 |
原則 |
議決権行使可能株主の議決権の過半数を有する株主出席 |
原則 |
出席株主の議決権の過半数 |
例外 |
定款で「議決権行使可能株主の議決権の1/3以上を有する株主の出席」と緩和可能 |
例外 |
定款で加重のみ可【1】 |
【1】決議要件(過半数)を緩和すると、相反する二つの議案が成立してしまいかねないため。
通常の株主総会を開催後、種類株主総会を開催することが多いと思われます。
加藤政也司法書士編集/Q&A商業登記と会社法/新日本法規/43p以下では、これは可能としたうえ、議事録例・株主リスト例も掲載されていますが、次の規定との整合性はどうなっているのだろうか?
会社法第322条(ある種類の種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合の種類株主総会) | |
種類株式発行会社が次に掲げる行為をする場合において、ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該行為は、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会。以下この条において同じ。)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。 (以下略) |
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