2社以上の企業がお互いに相手会社の株式を所有している状態(お互いに株式を持ち合っている状態)のことを株式の持ち合い(相互保有株式)といいます。
会社登記を申請した場合に、登記官から「株式の持ち合い解消してくださいね」と言われることがあるそうです。どういう意味でしょうか?
この記事では、①株式持ち合いのメリット・デメリット、②株式持ち合いによって制限されること、③株式持ち合い解消のルールについて解説しています。
もくじ | |
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企業同士が株式持ち合いするメリット・デメリットは次の通りです。
メリット | デメリット |
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原則:制限されていません。
例外:子会社による親会社株式の保有は、禁止されています(会社法135ⅠⅡ)。
制限されていません。
下図のとおり株主総会での議決権行使ができなくなる場合があります。
下記条文の()書きの中が、株式持ち合いの場合に議決権行使が制限される場合です。
会社法第308条(議決権の数) | |
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抜粋すると、次のとおりです。
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【1】法務省令で定める株主(会社法施行規則第67条)とは次のとおりですが、相当細かいのでココでは読み飛ばしていただいて構いません。
会社法施行規則第67条(実質的に支配することが可能となる関係) | |
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この記事の冒頭にご紹介したように、登記官が「株式持ち合いを解消するように」と言うことがあるらしいですが、単なる「株式持ち合い」の場合に、これを解消せよというルールはありません。
では、登記官は何のことを言ったのでしょうか?
下記条文をご覧ください。
おそらく登記官は「子会社による親会社株式の取得・保有の禁止(会社法135)」のことを言っているのだと思います。
会社法第135条(親会社株式の取得の禁止) | |
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【1】子会社とは、会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社がその経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう(会社法2③)。
CF.完全子会社とは、ある会社に発行済株式の全部(100%)を所有されている会社のことです(会社法施行規則218の3)
【2】親会社とは、株式会社を子会社とする会社その他の当該株式会社の経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう(会社法2④)。
CF.完全親会社とは、ある会社の発行済株式の全部(100%)を所有している会社のことです(会社法施行規則218の3)
関係ない会社同士 | 子会社が親会社の株式を・・・ | |
取得すること自体 | 制限なし | 禁止(会135ⅠⅡ) |
取得した場合の制限 | 議決権行使が制限される場合がある(会308Ⅰ) | 議決権行使できない(会308Ⅰ) |
取得した場合の処分 | 必要なし | 相当の時期に処分必要(会135Ⅲ) |