メルマガなどを配信する場合には『特定電子メール法』に注意が必要です。この法律は正式名称を「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」といい、いかにも難しそうな名前ですが、簡単にいうと「特定の種類の電子メールを規制する法律」です。
これは「特定の種類の商取引を規制」する『特定商取引法』と同じようにネーミングされた法律であることがわかりますよね。この特定商取引法にも電子メール送信に関するルールがありますので、一緒に押さえておきましょう。
もくじ | |
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〔凡例〕この記事では、次のとおり省略記載します。 | |
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規制の対象となる「特定の電子メール」は、特定電子メール法に定義されています。
特定電子メール法第2条(定義) | |
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
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この定義からわかることは次のとおりです。
特定電子メール法が規制するのは・・・
【1】特定電子メールの送信等に関するガイドライン(総務省・消費者庁/H23.8/最終アクセス211026)がさらに詳しく説明しています。
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メールの内容によっては、両方の法規制を受ける可能性があります。
法律名 | 適用される場面 |
特定電子メール法 | 広告宣伝メールを送信する場合 |
特定商取引に関する法律(特定商取引法) | 通販の電子メール広告を個人に送信する場合 |
あらかじめ同意した者に対してのみ「広告宣伝メール」を送信できるルールのことを「オプトイン方式」といいます。
同意しなかった者に対して送らないことを「オプトアウト方式」といいます。
日本の法律は「オプトイン方式」を採用しています。
原則 | あらかじめ同意した者に対してのみ「広告宣伝メール」を送信できる(法3Ⅰ①)。 | |
例外 | 以下の場合のみ、あらかじめ同意なくても「広告宣伝メール」を送信できる。 | |
1 | 取引関係にある者に送信する場合(法3Ⅰ③)【1】 | |
2 | 名刺などの書面により自己の電子メールアドレスを通知した者に対して送信する場合(法3Ⅰ②、規則2Ⅰ)【1】 | |
3 |
自己の電子メールアドレスを通知した者に対して、以下の広告宣伝メールを送る場合
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4 | 自己の電子メールアドレスをインターネットで公表している者(個人の場合は、商売をしている個人に限る。)に送信する場合(法3Ⅰ④、規則3)【2】 |
【1】送信される電子メールが通信販売などの電子メール広告の場合には、特定商取引法が適用されるため、請求・承諾なしに送信できません。
【2】メールアドレスの公表と併せて、「広告宣伝メールの送信をしないように求める」旨が公表されている場合は、同意なく送信できません。
広告宣伝メールを送信する者は、同意を得た記録を保管する義務があります(法3Ⅱ、規則4)
通常 |
最後の送信から1か月(法3Ⅱ、規則4Ⅱ) 【1】 |
特商法上の通信販売電子メール広告に該当する場合 | 3年間(特商法) |
特定電子メール法7条の措置命令を受けた場合 |
最後の送信から1年間(法3Ⅱ、規則4Ⅱ②) 【1】 |
【1】反復継続して広告宣伝メールを送信している間は、ずっと保存する必要があることも意味しています。
下記パンフレット抜粋をご参照のうえ、必要な情報がすべて記載されているか確認ください(法4、規則7)。
「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント・広告宣伝メールに係るオプトイン方式の規制などについて/総務省・消費者庁・一般財団法人日本データ通信協会/パンフレット4頁」より抜粋
なりすましメールアドレスから広告宣伝メールを送信することが禁止されています(法5)。
プログラムにより作成された電子メールアドレスで、利用者がいないアドレスに大量送信することは禁止されています(法6)
次のとおり重い刑罰が予定されています。
送信者情報を正確に表示する義務違反 | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金(法34①)【1】 |
架空アドレスへの送信 |
命令 + 命令に従わない場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金(法34②)【1】 |
受信拒否者への送信 | |
同意のない者への送信 | |
表示義務違反 | |
同意記録保存義務違反 | 命令に従わないとき100万円以下の罰金(法35)【2】 |
【1】法人の場合は行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金(法37①)
【2】法人の場合は行為者を罰するほか、法人に対して100万円以下の罰金(法37②)
請求・承諾のない者への電子メール広告の提供 | 100万円以下の罰金 |
拒否者に対する電子メール広告の提供 | |
請求・承諾があった旨の記録保存義務違反 | |
同意ない者・拒否者への電子メール広告において虚偽・誇大広告 | 1年以下の懲役または200万円以下の罰金(またはこれらの併科) |
同意ない者・拒否者への電子メール広告において表示義務違反 |