DMするときに気をつけるべきオプトイン(特定電子メール法)の解説


メルマガなどを配信する場合には『特定電子メール法』に注意が必要です。この法律は正式名称を「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」といい、いかにも難しそうな名前ですが、簡単にいうと「特定の種類の電子メールを規制する法律」です。

これは「特定の種類の商取引を規制」する『特定商取引法』と同じようにネーミングされた法律であることがわかりますよね。この特定商取引法にも電子メール送信に関するルールがありますので、一緒に押さえておきましょう。

もくじ
  1. 規制される「特定の種類の電子メール」とは?!
  2. 規制する法律と適用関係
  3. 規制の内容
    1. 広告宣伝メールの送信規制=オプトイン方式とは?
    2. 同意を得た記録の保存義務
    3. 表示義務
    4. 送信者情報を正確に表示する義務
    5. 架空アドレスへの大量送信の禁止
  4. 罰則
    1. 特定電子メール法上の罰則
    2. 特定商取引法上の罰則
  5. 人気の関連ページ
〔凡例〕この記事では、次のとおり省略記載します。
  • 法:特定電子メール法
  • 規則:特定電子メールの送信の適正化等に関する法律施行規則(平成14.6.21総務省令66)

規制される「特定の種類の電子メール」とは?


規制の対象となる「特定の電子メール」は、特定電子メール法に定義されています。

特定電子メール法第2条(定義)
  

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 

  1. 電子メール 特定の者に対し通信文その他の情報をその使用する通信端末機器(入出力装置を含む。以下同じ。)の映像面に表示されるようにすることにより伝達するための電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。)であって、総務省令で定める通信方式を用いるものをいう。 
  2. 特定電子メール 電子メールの送信(国内にある電気通信設備(電気通信事業法第二条第二号に規定する電気通信設備をいう。以下同じ。)からの送信又は国内にある電気通信設備への送信に限る。以下同じ。)をする者(営利を目的とする団体及び営業を営む場合における個人に限る。以下「送信者」という。)が自己又は他人の営業につき広告又は宣伝を行うための手段として送信をする電子メールをいう。
  3. (略)
  4. (略)
  5. (略)

この定義からわかることは次のとおりです。

特定電子メール法が規制するのは・・・

  • 広告宣伝メール全般を対象。【1】
  • 電話番号にメッセージを送受信する方法(ショートメール、SMS)も対象。
  • 他人の商売のために送信する電子メールも対象。
  • 海外から送信され日本で受信する電子メールも対象。
  • 日本から送信され海外で受信する電子メールも対象。
  • 非営利団体が送信する電子メールは対象外。
  • 商売していない個人が送信する電子メールは対象外。

【1】特定電子メールの送信等に関するガイドライン(総務省・消費者庁/H23.8/最終アクセス211026)がさらに詳しく説明しています。

  • 営業上のサービス・商品等に関する情報を広告又は宣伝しようとするウェブサイトへ誘導することがその送信目的に含まれる電子メールも対象。
  • SNSへの招待や懸賞当選の通知、友達からのメールや会員制サイトでの他の会員からの連絡などを装って営業目的のウェブサイトへ誘導しようとする電子メールも対象。
  • 取引上の条件を案内する事務連絡や料金請求のお知らせなど取引関係に係る通知であって広告又は宣伝の内容を含まず、広告又は宣伝のウェブサイトへの誘導もしない電子メールは、対象外。
  • 単なる時候の挨拶であって、広告や宣伝の内容を含まず広告又は宣伝のウェブサイトへの誘導もしない電子メールは対象外。
  • 政治団体・宗教団体・NPO・労働組合等の非営利団体が送信する電子メールは対象外。
  • 特定電子メール法で規制対象となる「特定電子メールとは広告宣伝メールのこと」です。
  • 取引上の用件を伝えるメールの署名欄に自社HPのURLを貼付けた程度であれば「特定電子メール」には当たらない。

規制する法律と適用関係


メールの内容によっては、両方の法規制を受ける可能性があります。

法律名 適用される場面
特定電子メール法 広告宣伝メールを送信する場合 
特定商取引に関する法律(特定商取引法) 通販の電子メール広告を個人に送信する場合

規制の内容


広告宣伝メールの送信規制=オプトイン方式とは?

あらかじめ同意した者に対してのみ「広告宣伝メール」を送信できるルールのことを「オプトイン方式」といいます。

同意しなかった者に対して送らないことを「オプトアウト方式」といいます。

日本の法律は「オプトイン方式」を採用しています。

原則 あらかじめ同意した者に対してのみ「広告宣伝メール」を送信できる(法3Ⅰ①)。
例外 以下の場合のみ、あらかじめ同意なくても「広告宣伝メール」を送信できる。
  取引関係にある者に送信する場合(法3Ⅰ③)【1】
名刺などの書面により自己の電子メールアドレスを通知した者に対して送信する場合(法3Ⅰ②、規則2Ⅰ)【1】

自己の電子メールアドレスを通知した者に対して、以下の広告宣伝メールを送る場合

  1. 同意の確認のために送る1通だけの電子メール(法3Ⅰ②、規則2Ⅰ②)
  2. 契約や取引の履行に関する事項を通知する電子メールであって、付随的に広告宣伝が行われているもの
  3. フリーメールサービスを用いた電子メールであって、付随的に広告宣伝が行われているもの
自己の電子メールアドレスをインターネットで公表している者(個人の場合は、商売をしている個人に限る。)に送信する場合(法3Ⅰ④、規則3)【2】

【1】送信される電子メールが通信販売などの電子メール広告の場合には、特定商取引法が適用されるため、請求・承諾なしに送信できません。

【2】メールアドレスの公表と併せて、「広告宣伝メールの送信をしないように求める」旨が公表されている場合は、同意なく送信できません。

同意を得た記録の保存義務

広告宣伝メールを送信する者は、同意を得た記録を保管する義務があります(法3Ⅱ、規則4)

通常

最後の送信から1か月(法3Ⅱ、規則4Ⅱ)

【1】

特商法上の通信販売電子メール広告に該当する場合 3年間(特商法)
特定電子メール法7条の措置命令を受けた場合

最後の送信から1年間(法3Ⅱ、規則4Ⅱ②)

【1】

【1】反復継続して広告宣伝メールを送信している間は、ずっと保存する必要があることも意味しています。

表示義務

下記パンフレット抜粋をご参照のうえ、必要な情報がすべて記載されているか確認ください(法4、規則7)。

「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント・広告宣伝メールに係るオプトイン方式の規制などについて/総務省・消費者庁・一般財団法人日本データ通信協会/パンフレット4頁」より抜粋

送信者情報を正確に表示する義務

なりすましメールアドレスから広告宣伝メールを送信することが禁止されています(法5)。

架空アドレスへの大量送信の禁止

プログラムにより作成された電子メールアドレスで、利用者がいないアドレスに大量送信することは禁止されています(法6)

罰則


特定電子メール法上の罰則

次のとおり重い刑罰が予定されています。

送信者情報を正確に表示する義務違反 1年以下の懲役または100万円以下の罰金(法34①)【1】
架空アドレスへの送信

命令

命令に従わない場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金(法34②)【1】

受信拒否者への送信
同意のない者への送信
表示義務違反
同意記録保存義務違反 命令に従わないとき100万円以下の罰金(法35)【2】 

【1】法人の場合は行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金(法37①)

【2】法人の場合は行為者を罰するほか、法人に対して100万円以下の罰金(法37②)

 

特定商取引法上の罰則

請求・承諾のない者への電子メール広告の提供 100万円以下の罰金 
拒否者に対する電子メール広告の提供
請求・承諾があった旨の記録保存義務違反
同意ない者・拒否者への電子メール広告において虚偽・誇大広告 1年以下の懲役または200万円以下の罰金(またはこれらの併科) 
同意ない者・拒否者への電子メール広告において表示義務違反

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