そもそも組合とは何か?!


組合とは何か?

簡単にいうと、「2人以上」で「一つの目的に向かって」活動する「団体の一つの形」です。

団体には、組合と社団があります。

組合は、社団と比較してみることで、より明確にその姿をとらえることができます。

もくじ
  1. 組合と社団の違い
  2. 組合成立の要件
  3. 組合=法人格がないメリット
  4. 法人=法人格があるメリット
  5. 組合から組合員への利益分配・損失負担
  6. 組合員の対外的な責任の範囲
  7. 組合からの脱退
  8. 人気の関連ページ

組合と社団の違い


組合は、数人が協力して共同目的のために結成する団体の一種です。

組合と名前がついていても、法人格のある社団であったりもします。つまり、名前だけで法人格の有無を判断することはできません。

原則、組合には法人格はありません。ただし、法律で「法人とする」と規定されていれば法人格のある社団になるものだと整理いただければ結構です。

 

団体

組合

社団

 

法人格を有さない。

組合員相互の権利義務・契約。

組合員は独立の存在を有し、ただ共同目的達成のために必要な限度で統制され、そこに団体性を取得しているに過ぎない。

法人格を有する。

構成員は、対外関係において、独立の存在を失っている。

  • 民法上の組合(民法667)
  • 匿名組合【1】(商法535)
  • マンションの共用部分【2】の共有する場合(区分所有11)
  • 講【3】
  • 数人の士業が事務所施設を共同利用する場合
  • 有限責任事業組合 (LLP)【4】
  • 投資事業有限責任組合【5】
  • 登記していない労働組合(労働組合法11)
  • 株式会社、合同会社
  • 公益社団法人、一般社団法人
  • 登記された労働組合
  • 事業協同組合【6】
  • 企業組合【7】
  • 保険組合

現代契約書式要覧・新日本法規・契約法研究会編8353p以下を参照

【1】「匿名組合」とは、当事者の一方が相手方の営業の為に出資をして、その営業により生じる利益を配分することを約する契約

【2】マンションの骨格・廊下・階段・エレベーターなど

【3】「講」とは

「宗教的講」同一の信仰を持つ人が遠路参拝のために旅費を積み立て、交代交代で参拝するもの。

「経済的講」会員が一定の少額金額を払い込み、毎回会員から少人数が選ばれて受け取る仕組み。

いずれも会員全員が受け取った段階で解散する。

【4】有限責任事業組合契約に関する法律

【5】投資事業有限責任組合契約に関する法律

【6】中小企業等協同組合法9条の2

【7】中小企業等協同組合法9条の10、9条の11

組合が成立するための要件


どの組合でも、組合として成立するためには、最低限次の要件を充たす必要があります。

2人以上の組合員

組合員全員が出資して共同事業を行う合意

  1. 共同事業には制限がない。公益OK、私益OK、一時的OK、継続的OK
  2. 全組合員が出資する必要がある。「出資」は財産的価値のあるものすべてを含む。金銭・地上権・知的財産権・債権・労務(民法667Ⅱ)・製造技術・信用でもよい。
  3. 全組合員は業務執行権、少なくとも業務執行監督権を有さなければならない。
  4. 利益が生じるときは、全組合員が利益の分配を受けなければならない(民法674)。
  5. 一方、損失を負担しない組合員を定めても組合の性質に反しない。

組合=法人格が「ない」メリット


パススルー課税

損失が発生したときに、組合員本体の損益と通算ができる。

社団=法人格が「ある」メリット


土地・建物などを購入した場合に組合名義で登記できる

法人格のない組合の場合には、組合代表者個人名義で登記をすることになりますが、次のようなデメリットがあります。

  1. 代表者が交代するたびに不動産登記簿を変更する必要がある。
  2. 代表者が死亡した場合には、代表者の相続人の協力を得る必要がある。

組合として有価証券等の投資が可能である

組合から組合員への利益分配・損失負担


民法674条(組合員の損益分配の割合)
 
  1. 当事者が損益分配の割合を定めなかったときは、その割合は、各組合員の出資の価額に応じて定める。
  2. 利益又は損失についてのみ分配の割合を定めたときは、その割合は、利益及び損失に共通であるものと推定する。
民法673条(組合員の組合の業務及び財産状況に関する検査)
  各組合員は、組合の業務の決定及び執行をする権利を有しないときであっても、その業務及び組合財産の状況を検査することができる。

組合員の対外的な責任の限度


民法組合

組合員は、対外的に無限責任を負います(最判S36.7.31民集15.7.1982)。

民法675条(組合の債権者の権利の行使)
 
  1. 組合の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができる。
  2. 組合の債権者は、その選択に従い、各組合員に対して損失分担の割合又は等しい割合でその権利を行使することができる。ただし、組合の債権者がその債権の発生の時に各組合員の損失分担の割合を知っていたときは、その割合による。

投資事業有限責任組合

無限責任組合員(業務執行を行う組合員)と有限責任組合員(出資額を限度に責任を負う組合員)が存在します(投資事業有限責任組合契約に関する法律9)。

有限責任事業組合(LLP)

組合員は出資額限度の有限責任(有限責任事業協同組合契約に関する法律3Ⅰ)

事業協同組合

組合員は出資額限度の有限責任(中小企業等協同組合法10Ⅴ)

労働者協同組合

組合員は出資額限度の有限責任(労働者協同組合法9Ⅴ)

組合からの脱退


民法681条(脱退した組合員の持分の払戻し)
 
  1. 脱退した組合員と他の組合員との間の計算は、脱退の時における組合財産の状況に従ってしなければならない。
  2. 脱退した組合員の持分は、その出資の種類を問わず、金銭で払い戻すことができる。
  3. 脱退の時にまだ完了していない事項については、その完了後に計算をすることができる。

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