スタートアップの資本政策「総論」をご覧いただいたスタートアップ経営者の方に、このコラムでは、次の段階、より具体的な「資本政策の作り方」と「投資を受け入れるまでの具体的な流れ」についてお話ししたいと思います。
もくじ | |
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投資家からお金を出してもらうのですから、貴社はまず投資家に対して「お金を何に使うことによって、どう成長をし、投資家にいつ・どれくらいの金額を儲けさせることができるか」を説明し、納得してもらう必要があります。
この「お金を何に使うことによって、どう成長をし、投資家にいつ・どれくらいの金額を儲けさせることができるか」を表にしたものが事業計画だと考えていただければ結構です。
●必要な資金をすべて株式(エクイティ・ファイナンス)で調達すると、創業者の持株比率が希薄化してしまいます。
そこで、最初期の資金としては、次のものも検討します。
これらをバランス良く使いこなすことが重要です。
●どれくらいの資金を集めれば良いのか
「どれくらいの資金を集めれば良いのか」については、現在の預金残高から毎月の出費を引き算していき、資金がゼロになるまでに最低でも1年半~2年以上分の資金を確保する必要があります。(スタートアップの法律相談/青林書院/59頁)
(預金残高+調達資金)÷毎月の出費=18か月~24か月 |
となる必要があります。
資本政策ができたら、次はいよいよ投資を受けます。
希望バリュエーション | 調達方法 | 調達時期 | |
シード期 アーリー期 |
需要と共有のバランス、VC等との交渉で決定され、明確なロジックはありません。 | みなし優先株かJ-KISSか | ピッチから着金まで3か月 |
ミドル期 レイター期 |
上場が近いため、類似企業比較法など種々の計算方法があります。 | 優先株 | ピッチから着金まで6か月 |
リード投資家とは、資金調達において、中心的な役割(スタートアップとの条件交渉、必要に応じてデューデリジェンスなど)を担う投資家のことです。
自社の事業ドメイン、事業ステージに応じたVCや担当者をリスト化します(リストから選びます。)。
VC、CVCの特長については記事「投資家の種類」も参照ください。
選定したリード投資家候補へアポをとり、プレゼンをします。
スタートアップは、投資家に詳細資料を開示する前には必ず秘密保持契約書(NDA)を締結するように求めましょう。資料開示後、投資家の親会社が、資料を参考に同種事業を開始するのを阻止する必要があるためです。
下記のような投資条件が記載された「タームシート」を期限を切って提示してもらいます。
リード投資家のDDを受け入れ、リード投資家が投資する決定をした場合には、次のように進みます。
契約では、スタートアップ側、投資家側いずれが用意した契約書(雛形)を使うか(いわゆる「雛形の戦い」)も協議します。
フォロー投資家は、リードとスタートアップが締結した契約内容に乗ることができるか否かを決定します。