マンション管理組合も法人になることができます。
などについて解説します。
もくじ | |
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〔凡例〕この記事では下記のとおり略記します。
区:建物の区分所有等に関する法律
区分所有法:建物の区分所有等に関する法律
戸建ての場合には、一棟と敷地すべてをお一人が所有しています(親子共有、夫婦共有などを除きます。)。
一方、マンションなどの集合住宅の場合には、マンションオーナーのお一人は、一棟の建物の一部の号室を所有し、敷地を共有しています。マンションの所有・管理を規定している「建物の区分所有に関する法律」でも、号室ごとの所有を認めています。
建物の区分所有に関する法律第1条(建物の区分所有) | |
一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。 |
そして、この号室ごとの所有権を「区分所有権」、区分所有権を有する方のことを「区分所有者」と定義しています。
建物の区分所有に関する法律第2条(定義) | |
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少し話は変わりますが、皆さんが何等かの団体(町内会でも、組合でも、会社でも)を作るときには、団体を設立したい方々が集まって話し合い、ルールを決め、設立を発表して、さらに参加者を募ったりすると思います。
ところが、マンションに関しては、このような協議などを必要とせず、マンションであること自体によって、法律で強制的(法律上当然)に「区分所有者全員を構成員とするマンション管理組合」という団体が成立することになっています(区分所有法3)。
建物の区分所有にする法律第3条(区分所有者の団体) |
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区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。 |
すなわち、
これらは、一棟の建物(戸建て)を区分して区分所有建物とした場合でも同じです。
マンションは、各号室の間にある内壁、外壁そして敷地を共有しているため、区分所有者同士で協議して、修繕計画などを決定する必要があるからです。
マンションであれば、法律によって強制的に「管理組合という団体」が設立され、区分所有者は全員が強制的に「管理組合という団体」の構成員になると申し上げました。
さらに、この「管理組合という団体」は、「法人」となることができます(区分所有法47Ⅰ)。
法人になっている場合には、法人名義で登記されますので、権利関係も明確になります。
法人になっていない場合には、次の2つの方法で登記することになりますが、それぞれデメリットがあります。
方法 | デメリット |
理事長個人名義で登記する。 |
理事長個人の財産と区別がつかない。 理事長が勝手に処分することもありえる。 理事長交代するたびに登記する必要がある。 理事長在任のまま死亡した場合、その相続人の協力が必要になる。 |
組合員全員名義で登記する。 |
組合員が交代する(区分が売買される)ごとに登記する必要がある。 |
マンション管理費を滞納し、その全額を一括で支払うことができない区分所有者もおります。
そんなときには、滞納者の専有部分に抵当権を設定することをオススメしています。
この抵当権ですが、法人化していない場合には、理事長個人を抵当権者として登記する必要がありますが、理事長が変更する度に抵当権者の変更登記を要するうえ、万一、理事長が死亡した場合にはその相続人に手続への協力を依頼するという手間が生じます。
一方、法人化した場合には、管理組合を抵当権者として登記できるので、これらの手間がかかりません。
理事長個人の精神的な負担を軽減することができます。
訴訟を係属中に、理事長が交代しても、スムーズに引き継げます。
法人になっていない場合には、規約や理事長選任の議事録を提出して証明する手間がかかります。
法人住民税などがかかりますが、自治体によっては一定の手続を行なうことで免除を受けることもできます。
理事長が交代する場合には、変更登記が必要で一定のコストがかかる。
規約で定めた理事長の任期(1~3年)ごとに登記費用(数万円)が掛かります。
また、登記を忘れると最大20万円の過料を科されることがあります(区71⑦)。
例えば、滞納者の区分建物を競売して組合名義で買受けたいときなど、財産を取得するときです。
管理組合が法人でなくても訴訟することは可能です。
管理組合法人は、すでに存在している管理組合を、その中身を変えることなく法人化するものですから、通常の法人設立と比べると簡単に設立することができ、定款の作成や、設立の許認可は必要ありません。
区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で次の事項を決議します(区分所有法47Ⅰ)。
このほか規約に「管理者に関する定め」がある場合には、管理組合法人では代表理事が管理者となります(区分所有法47Ⅺ)ので、「管理者に関する定め」を削除する規約の変更を行ないます。
決議するだけではなく、主たる事務所の所在地において「登記」をすることによつて法人となります(区分所有法47Ⅰ)。
マンション管理組合法人において「登記すべき事項」は次のとおりです。(組合等登記令2Ⅱ) | |
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お声を掛けていただいてから、完了までの目安は次のとおりです。
総会などがキッチリと完了している場合 | 1か月 |
総会などが未了である場合 |
2か月 |
司法書士の仕事内容 | 司法書士報酬 | 実費 |
マンション管理組合法人の設立登記
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220,000円 |
数千円 (登録免許税は掛かりません。) |
管理規約の改定をご要望の場合は、別途下記の料金区分で申し受けます。
司法書士の仕事内容 | 司法書士報酬 | 実費 |
(ワードデータをいただける場合) 管理規約の改定 |
110,000円 | ー |
(ワードデータがない場合) 管理規約の改定 管理規約の再入力 管理規約のワードデータのご提供 |
165,000円 | ー |
総会への立会などもご要望の場合には、対応可能ですので、別途お問い合わせください。