会社って何なんだろう?!商売を始めるなら、個人事業か会社かどちらが良いの?


お商売を始めるときは、「個人事業」から始めることも、「会社や法人を設立して」始めることも、どちらも可能です。

また「個人事業」としてスタートした後で「会社や法人」を設立することも可能です。

 

ビジネスを始めるあなたが➊個人事業として始めるか、➋会社法人を作って始めるかを選択するヒントになれば幸いです。

もくじ
  1. 法人って何?!
  2. 会社と法人の違い
  3. 個人事業主と法人の違い
    1. 法制度上の違い
    2. 会社法人代表者の感想
  4. まとめ
  5. 人気の関連ページ

法人って何?!


個人事業主と法人の違いをご説明する前に「法人」とは何なのか、サラッとご説明したいと思います。

 

私たち「ヒト」は出生(出産)によって、その名前で権利を得る(物を買って自分の物にする)ことができるようになり、義務を負担する(お金を支払う)ことができる(権利義務の主体となる)ようになります。

「法人」も「法の人」と書き表されるように、法によって「人」として認められ、法人の名前で権利や義務の主体となることができます。

 

ところが「ヒト」は目に見えますが、「法人」は目で見ることができません。立派な本社ビルを建てたら目に見えますが、それは本社ビルという「不動産」が見えているだけで「法人そのもの」が見えるわけではありません。

 

目に見えない「法人」を権利義務の主体とするからには、目に見えるものが必要です。その目に見えるものが「会社・法人の登記」であり、法人を作って開業するためには「その会社法人の登記をすること」が必要とされています。

そして「法人を作る」プロが、私たち司法書士です。

会社と法人の違い


会社と法人の何が違うかといいますと、単に種類の違いです。

(広義の)

法人

会社 営利法人である株式会社・合同会社・有限会社などを意味します。

(狭義の)

法人

非営利法人である一般社団法人・NPO法人などを意味します。

個人事業主と法人の違い


法制度上の違い

個人で開業するか、法人を設立して開業するかの法制度上の違いは、下表のとおりです。

 

もっとも個人で開業して後日法人化すること(「法人成り」といわれます。)も良くあります。

いきなり法人を設立して開業するよりも、個人で開業して何処かのタイミングで法人化(法人成り)を検討する方が、リスクは低いといえるかもしれません。

    個人事業主 会社や法人
開業 事業開始 税務署に「開業届」を提出する。

法務局に「会社法人の設立登記」を申請する。

税務署に「法人設立届出」を提出する。

開業 ○個人でもできる。

×複雑なので通常は司法書士に依頼

開業の手続費用 0円 数十万円
負担 日常的な税金 所得税 法人税
個人住民税 法人住民税
個人事業税 法人事業税
消費税 消費税
税務申告

〇個人でもできる(税理士に依頼することを推奨)。

△複雑なので通常は税理士に依頼

社会保険

○加入義務なし(5人未満のとき)

○従業員分を事業主負担なし

×加入義務あり

×従業員分の会社負担分があり。

事業で失敗をしたときの責任 ×無限責任

○株式会社などは出資額を限度とする有限責任(社長個人の保証債務は除く)

×士業法人など法人の種類によっては無限責任

 

社会的信用

△法人ほど高くない

△集客で不利かもしれない。

 

△求人で不利かもしれない。

○高い

○集客で有利かもしれない。

 

○求人で有利かもしれない。

その他 契約

△代表者個人としての契約になる。

屋号など肩書きを入れることができる場合もある。例「あなまち司法書士事務所代表佐藤大輔」

〇法人名で契約できる
登記や登録

×不動産や動産(自動車など)は、事業用であっても、代表者個人名でしか登記登録できない。

×個人資産か事業用資産か区別できない

○不動産や動産を登記・登録するときには、法人名で登記できる。

事業の廃止 ○税務署に「廃業届」を提出する。

×法務局に「会社法人の解散登記」を申請する。

×法務局に「会社法人の清算結了登記」を申請する。

個人の所得は総合課税という観点からすると・・・

お商売を始めると、最初は経費ばかり掛かって、売上が立たないので「赤字」ということも多いでしょう。

サラリーマンとして働きながら、「個人事業」として起業すると、個人の所得にかかる所得税は「総合課税」ですので、「サラリーマンの給与所得」を「赤字の事業所得」を損益通算することも可能です。

この観点からすると、サラリーマンのうちに「個人事業」として起業して「総合課税」の恩恵を受けながらビジネスを収益化するのも良さそうです。

会社法人代表者の感想

これまで多くの法人代表者の方とお話をしてきましたが・・・

  • 「法人を作って節税できた」とおっしゃった方は、あまり記憶にありません。税務のプロである税理士事務所が全部法人化している訳ではありませんので、節税目的で法人化しても余り意味はなさそうです。
  • 皆さんの感想で多かったものは「社会保険料の負担が想定以上に大きかった」「社会保険料の負担を超える信用が得られた」などです。

まとめ


法人化があまり意味の無い事業

  • 法人化するまでもなく信用力が高いもの(弁護士、司法書士、税理士などの国家資格士業)
  • 法人名で仕事をしないので関係がないもの(飲食業などは看板名に株式会社をつけても集客に結びつきません。)

これらの事業の場合、法人化するか否かは「社会保険料の負担」と「法人化によって得られる信用」のどちらを採るかというところに要約されます。

 

法人化しないと始まらない事業

  • 社長の生存にかかわらず、事業の永続性が必要なもの(信託会社や、歴史的遺物を管理する団体)
  • 上場を目指す方(スタートアップ、ベンチャー)は、外部からの資金調達のために、早めに法人を設立するのが通常です。

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