会社設立の出資金の入金方法、通帳コピーの作成方法(出資払込証明)


会社設立登記手続は、打ち合せ完了後は、ほとんど司法書士が単独で進めることができます。

ほぼ唯一ご本人がやっていただく必要がある手続があります。

それが出資の履行(通帳への出資金の入金又は振込)です。

 

そして、残念ながら失敗されることが多いです。

ご注意いただくべき点をまとめました。

 もくじ
  1. 出資に関するご注意事項
  2. 通帳がある場合:コピーの方法
  3. 通帳がない口座の場合:プリントアウトの方法

出資に関するご注意事項


会社設立にあたって新しい通帳を作る必要はありませんが、以下の注意点がございます。

 

入金時期

  1. 定款作成日以降の日付(同じ日でも可)で入金が必要
  2. 司法書士から「〇日~〇日の間に入金してください」とお知らせします。

金融機関の種類

会社法第34条第2項で次のとおり定められています。

  1. 銀行(銀行法〔昭和56年法律第59号〕第2条第1項に規定する銀行)
    1. ゆうちょ銀行も可能になりましたが、平成27年10月1日以前に発行された通帳には「住所」の記載があり、この住所が「発起人の現住所」と相違する場合には、住民票などで「通帳住所」と「現住所」との関連をつける必要があります。
    2. ネットバンクも利用可能です。
  2. 信託会社(信託業法〔平成16年法律第154号〕第2条第2項に規定する信託会社)
  3. 法務省令(会社法施行規則第7条)で定めるもの
    1. 株式会社商工組合中央金庫
    2. 農業協同組合法(昭和22年法律第132号)第10条第1項第3号の事業を行う農業協同組合又は農業協同組合連合会
    3. 水産業協同組合法(昭和23年法律第242号)第11条第1項第4号、第87条第1項第4号、第93条第1項第2号又は第97条第1項第2号の事業を行う漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合又は水産加工業協同組合連合会
    4. 信用協同組合又は中小企業等協同組合法(昭和24年法律第181号)第9条の9第1項第1号の事業を行う協同組合連合会
    5. 信用金庫又は信用金庫連合
    6. 労働金庫又は労働金庫連合会
    7. 農林中央金庫

口座名義人

  1. 登記が完了するまで会社名義の口座を作ることはできませんので、発起人の個人口座に入金します。
  2. 営利性のある口座はダメです。EX『佐藤商店こと佐藤大輔』はダメです。【1】
  3. 出資しない(発起人でない)代表取締役の口座に入金はダメです。別途発起人から代表取締役への委任状が必要になります。
  4. 発起人が2人以上の場合
    1. それぞれの口座に入れてもOKです。
    2. 発起人のうちの一人の口座に、全員が入金してもOKです。
  5. 合同会社の設立の場合、社員口座であればOKです。業務執行社員や代表社員口座である必要ありません。
  6. 法人発起人の場合であっても、当該法人発起人名義の口座に入金すればOKです。

【1】この点、法務省民事局総務課長・松井信憲氏は「仮に、銀行の実務において、設立中の会社の肩書きを付すことが許されれば、肩書付きの名義でもよい。」とされる(松井信憲・商業登記ハンドブック〔第4判〕・商事法務・2021.7・111頁)。万一この論点で補正となったときには主張してみるのも良いと思われます。

預金の種類

  • 普通預金OK
  • 当座預金OK

入金方法

  1. 単に、口座に残高があるというだけではダメです。∵入金や振込みという出資行為が必要です。銀行に対する預金債権の現物出資(変態設立事項)と区別するためです。
  2. 振込みではなく、入金でOKです。
  3. 振込みではなく、振替(同一人間の口座での送金)でもOKです。
  4. 誰が入金したか不明でもOKです。
  5. 振込みの場合には、出資者以外が表示されるとダメです。
  6. 入金前に口座残高をゼロにする必要はありません。
  7. 当座貸越、当貸実行(定期預金を担保にして当座資金を借りる)ではダメです。

入金金額

  1. 入金金額が出資額を超えていても大丈夫です。EX『100万円出資すると定款で決まっている人が、200万円入金した』はOK
  2. 二人以上の発起人の場合には、二人の出資額合計をまとめて入金してはいけません。EX100万円ずつ二人が出資する場合、まとめて200万円入金は不可。100万円入金を二回行います。

入金後、コピー前の出金

支障ありません。

ネットバンクの場合の注意点

  1. ご自宅で印刷して、司法書士に提出いただくページには、次の事項がすべて記載されている必要があります。①銀行名・支店名、②口座番号、③口座種類(普通)、④口座名義人、⑤入金日、⑥入金金額
  2. ネットバンクの場合、一日の振込限度額にも注意してください。

通帳がある場合:コピーの方法


【コピーが必要なページ】

コピーが必要なのは次のページです。

  1. 表紙(表・裏)
  2. 表紙を開いたページ(銀行・支店名・口座番号・口座名義人などが印刷されたページ)
  3. 出資金が入金されたページ

【コピーの方法】

コピーの注意点は、次のとおりです。

  1. A4用紙にコピーしてください。
  2. 用紙の真ん中にコピーしてください(特に左はホチキスと印鑑を押しますので余白が必要)
  3. カラーコピーでなく、白黒コピーで結構です(以下の見本は分かりやすくするためカラーにしています。)。
  4. 他の記載を見られたくない場合には「黒塗り」や「白紙を置いて」コピーしても支障ありません。
会社設立の通帳コピー(表紙)
会社設立の通帳コピー(表紙)
会社設立の通帳コピー(見開き)
会社設立の通帳コピー(見開き)
会社設立の通帳コピー(入金されたページ)
会社設立の通帳コピー(入金されたページ)

通帳がない口座の場合:プリントアウトの方法


ネットバンクも利用可能です。

ご自宅で印刷して、司法書士に提出いただくか

スクリーンショットを撮って、司法書士にメール添付にてご提出ください。

 

※ネットバンクでお振込みされる場合、一日の振込限度額にも注意してください。

【必要なページ】

必要なのは次の情報が全て記載されたページです。

  1. 銀行名
  2. 支店名
  3. 口座種類(普通)
  4. 口座番号
  5. 口座名義人
  6. 出資金の入金日・入金金額

【プリントアウトの方法】

プリントアウトする場合の注意点は、次のとおりです。

  1. A4用紙にプリントしてください。
  2. 白黒プリントで結構です。
会社設立のネットバンク通帳(プリントアウトのイメージ)
会社設立のネットバンク通帳(プリントアウトのイメージ)

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