会社が他人からお金を借りると「資本」ではなく、「負債」になります。
一方、株主個人が他人から借りたお金を会社に資本金として入れたとしても、一見、株主個人が他人に対して借金を負うだけで、借りたお金で会社の株主になっても問題ないようにも思えます。
たぶん皆様の頭に浮かんでいるのは、次のような形でしょう。
銀行 | →貸金返還請求→ | 株主 | →株主権→ | 会社 |
それでは・・・なぜ「見せ金」を法律は厳しく禁止しているのでしょうか?!
これも設立登記を依頼されるお客様に聞かれることの多い事項です。
会社法人の設立実績200社以上の司法書士が解説します。
もくじ |
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発起人が、他人から借りたお金を資本金に加算する行為は「見せ金」として法律で厳しく禁止されています。
公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 |
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発起人は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める行為をする義務を負う。 | |
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第34条第1項の規定による払込みを仮装した場合 払込みを仮装した出資に係る金銭の全額の支払 | |
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第34条第1項の規定による給付を仮装した場合 給付を仮装した出資に係る金銭以外の財産の全部の給付(株式会社が当該給付に代えて当該財産の価額に相当する金銭の支払を請求した場合にあっては、当該金銭の全額の支払) | |
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前項各号に掲げる場合には、発起人がその出資の履行を仮装することに関与した発起人又は設立時取締役として法務省令で定める者は、株式会社に対し、当該各号に規定する支払をする義務を負う。ただし、その者(当該出資の履行を仮装したものを除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。 | |
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発起人が第1項各号に規定する支払をする義務を負う場合において、前項に規定する者が同項の義務を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。 | |
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発起人は、第1項各号に掲げる場合には、当該各号に定める支払若しくは給付又は第2項の規定による支払がされた後でなければ、出資の履行を仮装した設立時発行株式について、設立時株主(第65条第1項に規定する設立時株主をいう。次項において同じ。)及び株主の権利を行使することができない。 | |
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前項の設立時発行株式又はその株主となる権利を譲り受けた者は、当該設立時発行株式についての設立時株主及び株主の権利を行使することができる。ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。 |
この会社法の条文を図であらわすと・・・冒頭で述べたような形(次図)
銀行 | →貸金返還請求→ | 発起人・株主 | →株主権→ | 会社 |
にはならないで、次のような形になります。
銀行 | →貸金返還請求→ | 発起人・株主 | →×株主権行使出来ない→ | 会社 | 関与役員 | |
←出資請求権← | →出資請求権→ |
とても、ややこしいことになります。
当初から真実の株式払込として会社資金を確保する意図なく、一時的借入金を以て単に払込の外形を整え、株式会社成立の手続後直ちに右払込金を払い戻してこれを借入先に返済した場合は、有効な株式払込がなされたものとはいえない。 |
どうして、『見せ金』はこれほど厳しく禁止されているのかというと、
「資本金」は返済する必要がないお金でなければなりません。ところが、借りたお金は、返済する必要があるので、会社が自由に使えるお金が無くなってしまうからです。
資本金が「見せ金」で構成されてしまうと、倒産リスクも上がることになりますが、会社が倒産すると債権者・従業員・取引先みんなが困ることになるからです。
次のような方法がありますので、しっかりと司法書士に相談しましょう。
貰えることになったとしても・・・年間非課税枠110万円を超える場合には、贈与税の申告が必要になります。
親からお金を借りるのではなく、(返済する義務のない)出資にしてもらえるように「創業の想い」を熱く語って、説得しましょう。
ただし、出資となるとその親族が株主になるということであり、経営に口を出される可能性があります。
クラウドファンディングには、様々なタイプがあり、タイプごとの注意が必要です。
この他、クラウドファンディグには、金融商品取引法などの規制もあります。