個人事業で行ってきた獣医さん(動物病院)が、法人化する場合の注意点について、「設立手続のプロ」である司法書士目線からまとめています。
ご依頼をお待ちしております。
もくじ | |
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獣医さんから法人設立のご依頼を受けた司法書士はまず「『獣医法人』や『獣医療法人』を設立しないといけないのではないかな」と思います。
どうしてかといいますと、医業を法人経営したい医師は「株式会社」ではなく「医療法人」を設立しなければ、医業を行えないからです(医療法39)。
同様の規定は、司法書士、弁護士、税理士などの士業にもあります。
現に獣医師法には次の規定があります。
獣医師法第17条(飼育動物診療業務の制限) | |
獣医師でなければ、飼育動物(牛、馬、めん羊、山羊、豚、犬、猫、鶏、うずらその他獣医師が診療を行う必要があるものとして政令で定めるものに限る。)の診療を業務としてはならない。 |
株式会社や一般社団法人は、獣医師ではありませんので、これらを設立しても、動物の診療はできなさそうです。
会社の事業目的の適法性等について取りまとめた「会社『目的』の適否判定事例集(4訂版)/日本法令商業登記研究会(編)/日本法令/平成15年/214頁」には、次の記載があります。
番号 | 目的 | 適否 | 備考 |
60 | 家畜、家禽の診療【1】 | × |
適法性(獣医師法第17条) 速報74 |
【1】原典では「診療」の部分にアンダーラインが引かれている。
このままでは設立手続がままならないので、所轄官庁である農林水産省に照会をかけました。
その結果は次のとおりです。
日本獣医師会にも照会しました。
その結果も農林水産省の見解と同様でした。
獣医さんが法人化を検討した場合には(医師の医療法人に該当する獣医師さんの法人の種類がない以上)株式会社又は一般社団法人を設立する以外に方法はありません。
そして、株式会社や一般社団法人で動物病院を経営しても、獣医師法には反しないとされている模様です。
もっとも会社の事業目的は、獣医師法17条の規定に配慮して次のように記載するのが通常です。
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動物病院の経営主体が個人から法人へと変更になる場合には「個人の廃業届」と「法人の開設届」が必要ですが、法人で新たな許認可等を取得する必要はありません。
大阪府の場合には、下記の書類を添付のうえ、届出する必要があります。
詳しくは、各都道府県の農林水産部等にお問合せください。
司法書士業務の内容 | 標準的な所要時間 |
打合わせ・類似商号調査 | 1週間程度 |
書類作成 | 1~2週間程度 |
登記申請~登記完了 | 1~2週間程度 |
登記が正確に完了しているかのチェック | 3日程度 |
合計 | 4週間弱 |
特急料金加算(5割増し)をいただくことで、納期を短縮することが可能です。
司法書士の手数料には、基本的な議事録などの作成報酬を含みます。
司法書士による法律顧問サービスを締結いただいている場合、司法書士手数料の割引きがございます。
※司法書士の手数料改定のお知らせ※
平成31年から株式会社設立の際、事前に、公証人に対して、「実質的支配者となるべき者の申告」が必要になりました当該申告書作成費用として次のとおり司法書士手数料を加算いたしました。
┌発起人が個人の場合には11,000円(税込)
└発起人が会社や法人の場合には22,000円(税込)
ご理解くださいますようお願いいたします。
※実費改定のお知らせ※
定款認証を受けるための公証人手数料が変更されました。詳しくは【5】をご参照ください。
業務の種類 |
司法書士の 手数料 |
実費 | 合計 | |
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165,000円 (税込)【3・4】 |
資本金100万円未満の場合 183,600円【5】 |
348,600円 | |
資本金100万円以上300万円未満の場合 193,600円【5】 |
358,600円 | |||
資本金300万円以上2,142万円未満の場合 203,600円【5】 |
368,600円 |
【1】お客様に生じうるリスクを完全に排除するために、おすすめします。確かに、会社法上は、同一商号・同一事業目的の会社を設立することが可能になりました。しかし、・・・(詳しくはコチラ)
【2】株主名簿(会社の出資者一覧)は、会社で保管・整備していただく必要があります。そして、株主名簿はとても大切な書類です(「株主名簿管理」詳細はコチラ)。当事務所グループでは、これだけ見ればわかる!「株主名簿管理ファイル」をお客様にご提供いたします。
【3】概ね1時間程度で打合せが完了する場合を想定しております。それ以上のご説明をご要望の場合には、別途お見積りをご用意いたします。
【4】低価格な最低限パックもご用意しております。
最低限パックは、
である場合にのみ、お請けいたします。
最低限パックは、類似商号・登録商標などの調査を行わないほか、株主名簿などを作成しないことにより費用をできるだけ抑えております。
【5】定款認証手数料が資本金の額により変わることとなりました(手数料令40)。
資本金の額 | 公証人手数料 | 実費総額 |
100万円未満の場合 | 32,020円 | 183,600円 |
100万円以上300万円未満の場合 |
42,020円 | 193,600円 |
その他の場合 | 52,020円 | 203,600円 |
「設立登記費用は、○○士が負担します。その代わり、○年間顧問契約を結んでください」と設立登記を勧誘している専門家士業事務所がありますが、司法書士でなければ設立登記に関与できません。
また、通常設立登記の際に、面識を得るべき法律の専門家「司法書士」との接点を失うことになり、事業活動で困ったことが発生しても、相談できる専門家を一人失うことになります。
詳しく、お知りになりたい方は下記リンク先をご参照ください。