逮捕されたことや、罪を犯し刑に服したことを契機に・・・
こういった場合には、刑務所・拘置所などに収容者されている方であっても、登記当事者として登記関係書類への署名などが必要になります。収容者に代理人として弁護士がついている場合も同じです。
ところが、こういう場合の登記手続の注意点に執筆された文献・資料はなかなか見当たりません。
同職司法書士のために、まとめましたので、ご参照ください。
もくじ | |
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なければ収監者の家族から本人確認書類を預かって持参するなどの検討も必要になります。
同時に面談できる人数には制限があります(3名以下)。
司法書士が一人で行く場合には問題ありませんが、家族や弁護士の同行がある場合には、施設に「○○の理由で何人で面会に行くが、問題ないか」と事前に確認する必要があります。
収容されている方に協力してくれる家族がいる場合には、家族が印鑑証明書と実印を確保すれば大丈夫です。また、実印だと思っている印鑑が真実実印なのか事前に印鑑照合をして確認しておく必要もあります。
協力してくれる家族がいない場合には、収容施設の長に認証をしてもらう必要があります。
昭和39年2月27日民事甲423通達 | |
刑務所在監者が登記義務者として印鑑証明書を提出できない場合には、申請書に本人の拇印である旨を刑務所長又は刑務支所長が奥書証明した委任状を添付すべきである |
「『委任状の日付』が『登記原因日付』よりも前でもよいのか」という論点もありますが、これを不可とすると、物権変動を登記できなくなりますので、登記所も結局は応じると思います。
なお、この論点については「委任の日が登記原因より前でもよいのか/司法書士法人ひびきグループ/最終閲覧220218」も参照になります。
長期間に渡り収容されている場合には、自治体によっては住民票登録が抹消されることもあります。直前になって抹消されましたでは手続できないので、必要な印鑑証明書・住民票などは先に取得しておいてもらいましょう。
また、長期にわたる登記手続の場合など万一を考えると、「実印+印鑑証明書」ではなく「拇印(指印)+所長の証明」に切り替えた方が良いかもしれません。
民事の代理人として弁護士がついている場合には、売買契約書などには、弁護士が代理人として署名すれば足りるでしょう。
そうでない場合には、登記の前提となる法律行為を登記手続まで、または登記手続と同時に成立させる必要があります。登記原因証明証明情報に記入する売買契約日との関係です。不安な場合には売渡証書による対応なども検討します。
近くの施設に収容されていると思っていても、突然遠方に移送されることもあります。
訪問する日が概ね決まったら早い目に、ご家族やご本人に「○月は面会をしないでください」と面会を制限するよう依頼します。
面会には、月ごとに制限回数が設けられているからです。
また、万一、再訪する必要が生じた場合にも対応できるよう、確実に登記できるようになるまでは、面会を控えていただくよう依頼しましょう。
刑事処分が確定しているか否かや、施設にもよるとのことですが、職員の対応は厳格です。
何度も行くのを避けるためには、疑問点をすべて解消してから書類を作成し、訪問すべきです。
日付空欄の場合に、認証してもらえるか?は予め収容施設と打合せが必要です。
署名欄に他の当事者の署名欄もある場合には、他の当事者の署名欄を削除し、個別署名押印形式にした方が無難です。
また、やむを得ず日付空欄の書類に認証をもらう場合には、登記原因証明情報を援用する形式の委任状ではなく、全部登記事項記載型の委任状にします。
相続登記をしてから売買する場合など、一度ですべての書類をもらうようにしましょう。
その時間で全て説明できる量の書類を作成すること。
書類を見せながらの説明はできますが、その場で書類をご本人に渡して、署名・押印をさせることは不可能です。
そのため、どこに署名すれば良いのか、ハッキリと分かるように工夫が必要です。
印鑑証明書の添付を要する登記の場合で、ご本人の実印が特定できないとき、又は印鑑証明書の取得ができないときには「拇印+刑務所長の証明書」によることになります。
施設職員の方には「指印(しいん)証明」と伝えた方が理解してもらい易いです。もっとも「指印証明」には、一般職員の方が行う場合もありますので、必ず「施設所長のもの」と指定する必要があります。
ご本人に押印してもらう書類は、「差入れ」扱いになります。面会室では署名・押印(指印)をもらうことはできません。
差入れ窓口では、職員の指示に従って「差入品目録」に書類名をすべて記入させられます。目録の控えをもらうこともできません。
押印場所を示した「書類送付書」などは、信書として後日郵送させられる可能性がありますが、押印書類だけ渡しても意味が分からないでしょうから、信書扱いされない工夫が必要です。
私は、押印箇所を示したメモに過ぎず、一緒に渡してくれないと押印書類だけではご本人は押印場所が分からないだろう旨を説明し、宛名(○○様)を消すことによって「信書ではない」という扱いにしてもらいました。
押印済の書類を返却するために「レターパック」などを差入れることもあろうかと思いますが、送付先にシールを貼っていると、差入れさせてくれません。私はマジックで塗りつぶすことによって差入れをさせてもらいました。
署名した書類は後日、発送してもらうことになりますが、手紙の発受についても月ごとに回数制限がありますので、注意が必要です。月初めであれば回数がありますので、大丈夫です。
また、発送まで1週間程度を要します。
書類の準備が整ったら、面会の予約を行います。
刑事裁判中(未決拘禁者)の場合には拘置所、確定している(受刑者)場合には刑務所を訪問しますが、拘置所がない場合には刑事裁判中の未決拘禁者であっても、刑務所に収容されていることがあります。
代理人弁護士がついている場合には、弁護士にお願いして予約してもらうことも可能かもしれません。その弁護士が不動産登記の紹介者(依頼者)である場合には、お願いしやすいでしょう。
そうでない場合には、面会の予約をとる必要があります。
逮捕後72時間の場合や、接見禁止がついている場合はもちろん、懲罰中や面会回数制限を超える場合には面会することができません。
また、取り調べを受けるために警察に行っている場合、裁判所や検察に行っている場合には、面会することができず、長時間待つこともあり得ます。
加害者を弁護する弁護人の場合には制限はないそうですが、そうでない司法書士の場合には制限を受けます。
特に時間については平日の15時30分には入って、16時には退席しなければなりません。
また、面会には月ごとに回数制限があります。月初であれば、まだ回数が残っているので大丈夫でしょう。
特に持参する必要性はありません。
次の書類などが必要です。
携帯電話、パソコン、たばこなどは持ち込むことができません。
面会者待合室にロッカーがある場合には、これらの物を預けることができますが、小さなロッカーですので、大きな鞄は入れることができません。
鞄を施設内に持ち込む場合には、鞄の中身を検査されることもありますので、最低限の物のみを入れておきましょう。
自分の用事が時間内に終わることはもちろん。
同行者の所要時間も把握し、合計30分を超えないように注意しましょう。
受付で受付票を記入して、待合室で待ちます。
番号のついた札を渡された場合には、胸のあたりにつけます。
番号をスピーカーで呼ばれますので、案内された番号の面会室に入ります。
面会には、警察官や施設職員が立ち会います。
押印してもらう書類の授受について「差入れで良いのか(郵送しないとダメか)」も、立ち会っている方に教えてもらうと良いでしょう。
その他参照すべきサイト