評価額0円の土地の登録免許税の計算方法


所有権移転登記をするために、固定資産税評価証明書を取得したら、「価格0円」と記載されていることがあります。登録免許税は課税されないのかと思いきや、特殊な計算方法を使って計算し、課税されてしまいます。

もくじ
  1. 地目ごとの計算方法
  2. 具体的な計算方法
  3. 「評価額がない土地の課税価格をどうするか」その決定権限は法務局にある。
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地目ごとの計算方法


理論上、次の4通りの計算方法が考えられます。

一般的には、下に行くほど安くなります。

  1. 近傍宅地の㎡単価をそのまま使う
  2. 近傍の㎡単価をそのまま使う
  3. 近傍宅地の㎡単価に30/100を掛けた金額を使う
  4. 近傍の㎡単価に30/100を掛けた金額を使う

地目ごとに次のようなルールがあります。

この計算方法で良いか、事前に管轄法務局に照会するのが無難です。

評価証明書

の記載

意味 課税価格の計算方法
地方税法348Ⅱ❸該当 宗教法人の境内建物・境内地 近傍地の㎡単価をそのまま利用する。
地方税法348Ⅱ❹該当 墓地 近傍地の㎡単価をそのまま利用する。 
地方税法348Ⅱ❺該当

 

公衆用道路・運河用地・水道用地

               

隣接地のうち低い評価額の「土地」の評価額に30/100を乗じて計算した額(神戸地方法務局管内)
地方税法348Ⅱ❻該当 用悪水路・ため池・堤防・井溝 隣接地のうち低い評価額の「土地」の評価額に30/100を乗じて計算した額(神戸地方法務局管内)

具体的な計算方法(30/100を掛ける場合)


「近傍地㎡単価=金〇〇円」との記載があるとき

今回の土地の課税価格=近傍地㎡単価×30/100×今回移転登記する土地の面積

 

これに登録免許税率を掛ければ、登録免許税が算出できます。

「近傍地㎡単価=金〇〇円」との記載がなく、近傍地の評価証明書が添付されているとき

今回の土地の課税価格=近傍地の価格÷近傍地の面積×30/100×今回移転登記する土地の面積

 

これに登録免許税率を掛ければ、登録免許税が算出できます。

「評価額がない土地の課税価格をどうするか」その決定権限は法務局にある。


「評価額のない土地の課税価格をどうするか」について法令では定まっていません。

各法務局がその決定権限を有しています(登録免許税法附則第7条→登録免許税法施行令附則3項、4項)。「登録免許税課税標準価額認定基準」を設けている法務局もございます。

したがって「評価額のない土地の課税価格をどうするか」については(法令のように公開されているわけではありませんので)堂々と法務局に照会を掛けて支障はございません。

 

登録免許税法附則第7条(不動産登記に係る不動産価額の特例)
   新法別表第一の第一号に掲げる不動産の登記の場合(筆者注:普通の不動産登記)における新法第十条第一項の課税標準たる不動産の価額は、当分の間、当該登記の申請の日の属する年の前年十二月三十一日現在又は当該申請の日の属する年の一月一日現在において地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第三百四十一条第九号(固定資産税に関する用語の意義)に掲げる固定資産課税台帳に登録された当該不動産の価格を基礎として政令で定める価額によることができる。
   
登録免許税法施行令附則 3項
 

法附則第七条に規定する政令で定める価額は、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第三百四十一条第九号に掲げる固定資産課税台帳(以下「課税台帳」という。)に登録された価格のある不動産については、次の各号に掲げる当該不動産の登記の申請の日の属する日の区分に応じ当該各号に掲げる金額に相当する価額とし、課税台帳に登録された価格のない不動産については、当該不動産の登記の申請の日において当該不動産に類似する不動産で課税台帳に登録された価格のあるものの次の各号に掲げる当該申請の日の区分に応じ当該各号に掲げる金額を基礎として当該登記に係る登記機関が認定した価額とする。

一 登記の申請の日がその年の一月一日から三月三十一日までの期間内であるもの その年の前年十二月三十一日現在において課税台帳に登録された当該不動産の価格に百分の百を乗じて計算した金額

二 登記の申請の日がその年の四月一日から十二月三十一日までの期間内であるもの その年の一月一日現在において課税台帳に登録された当該不動産の価格に百分の百を乗じて計算した金額

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