不動産を購入する場合に、新住所で登記すべきか?旧住所で登記すべきか?という問題があります。
それほど大きな問題ではありませんが、気になさる方も多いようです。
新住所登記、旧住所登記のそれぞれのメリット・デメリットは次のとおりです。
もくじ | |
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コラムを読み進めるために、少しだけ不動産登記の基礎知識をご理解ください。
不動産を購入すると不動産登記がされます。そして、登記される事項は次のとおりです。
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登記される事項のうち「5.住所」と「6.氏名」は住民票などの公的な書類を証明書として提出します。
不動産を売却するときには、上の枠内「5.住所」と「6.氏名」が記載された印鑑証明書を提出します(3か月以内のもの)。
このときに、登記されている「5.住所」「6.氏名」と、印鑑証明書の住所・氏名が異なるときには、所有権移転(売却)の登記の前提登記として、住所変更登記が必要になります。
購入したのが更地(土地)でこれから新居を建築するのであれば、旧住所(現住所)で登記するしかありません。
建物が建っていないのに、そこに住んでいることを表す新住所で登記することは不可能だからです。
それぞれのメリット・デメリットは次のとおりになります。
×=デメリット
○=メリット
新居について | ||
旧住所で登記 | 新住所で登記 | |
新居への影響 |
× 後日、住所変更登記をする必要あり【1】 |
○ 後日、住所変更登記をせずに済む【1】 |
× 住宅用家屋の登録免許税軽減を受けようとすると余計な添付書類が必要になる。 |
○ 住宅用家屋の登録免許税軽減を受けようとするときには新住所の住民票のみで良い。 |
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× 不動産取得税の請求に対して、軽減措置を受けるためには、新居に転居した住民票の添付を要する。 |
○ 不動産取得税の請求が来ないこともある。 ○ 不動産取得税の請求が来ても住宅用家屋証明を提出すれば済む。 |
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旧宅への影響 |
○ 旧宅を速やかに売却すれば、旧宅の住所変更登記は不要です。 △ 旧宅の売却に時間を要すると、結局、旧宅の売却時にも住所変更登記(司法書士報酬と実費。2万円弱)を要する。 |
○ 住民票を新住所に移す前に、旧住所の印鑑証明書を取得しておけば、住所変更登記は不要です【2】。 × 旧宅の売却が済んでいないと、旧宅を売り渡す前に住所変更登記(司法書士報酬と実費。2万円弱)を要する。 |
○ 旧宅を売却する場合の譲渡所得税に関しては、新居に住所移転しても、住所移転しなくても同じです【3】。 |
【1】令和8(2026)年から住所変更登記は義務化され、忘れるとペナルティもあります。
【2】ただし、印鑑証明書には3か月以内の期限があります。
【3】購入物件を新住所で登記しても、旧宅を売却する際の譲渡所得税で不利益な取扱いを受けることはありません。マイホームを売ったときの譲渡所得の特例については「国税庁タックスアンサーNo.3302マイホームを売ったときの特例」をご参照ください。
以上を前提に、次のとおり『オススメ手順』をご提案します。
通常は売却して、その売却代金を新居購入資金に充てるため、こちらの順序になろうかと思います。
オススメ手順 | |
売却から購入まで 3か月以内の場合 |
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売却から購入まで 3か月以上空く場合 |
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売却代金を新居購入資金の一部に充てなくても大丈夫な方(お金持ち)の場合には、こちらも選択肢になろうかと思います。
オススメ手順 | |
購入から売却まで 3か月以内の場合 |
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購入から売却まで 3か月以上空く場合 |
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【1】手順「1.」から「5.」の間が3か月以内である必要があります。