信頼関係を築いてから結んだはずの「任意後見契約」ですが、何らかの事情で、これを解消する必要が生じることもあります。
この解消手続について、ご説明します。
もくじ | |
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任意後見契約は、委任契約(民法643以下)ですから、両当事者がいつでも解除でき(民651)、その方法は自由(例えば、口頭で解除を伝えるのもOK)なような気もします。
ところが、任意後見契約に関する法律は、次のような規定を置いています。
任意後見契約に関する法律第9条(任意後見契約の解除) | |
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任意後見契約の法律第9条の定めを受けて、任意後見契約でも次のとおりにします。
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契約の種類 | タイミング | 方法 | |
任意後見契約の解除 | 任意後見監督人選任「前」 | いつでも | 公証人の認証を受けた書面 |
任意後見監督人選任「後」 | 正当事由ある場合のみ | 家裁の許可 | |
CF.普通の委任契約の解除 | いつでも | 自由(口頭でもOK) |
「いつでも」というのは「特に理由は必要ない」という意味です。
通常の委任契約の解除とは異なり、任意後見契約の解除方法が法律で規定されているのは、次の二つの理由です。
公証人の関与を求めているのは、次の二つの理由です。
効力発生前であれば、「いつでも」解除できる。ただし「解除方法」は法律で決められているということですので、次は、解除方法について見ていきましょう。
内容をチェックする必要まではありませんので、合意解除証書を公正証書で作成する必要まではありません。
比較:任意後見契約に関する法律第3条(任意後見契約の方式) | |
任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない。 |
法律上は、両当事者が公証人の面前に揃って出頭する必要まではありません。
しかしながら、「任意後見受任予定者」はご本人の状況に配慮する必要があります。
そこで、公証人の面前で解除することにより公証人にも証人になってもらうのが、ベストです。
具体的には、次のような解除証書を公証役場に持参し、これに公証人の認証を受ければOKです。
ちなみに・・・
もっともこれらによって認証文言が変わりますので、予め公証人との打合せが必要です。
合意解除証書 | |
委任者と受任者は、本日、下記契約の全部を合意解除する。 | |
記 | |
令和年月日付け○○法務局所属公証人○○○○作成同年第○号任意後見契約公正証書による任意後見契約 | |
令和年月日 | |
登記記録上の住所【1】 現在の住所【2】 委任者 氏名 ㊞ |
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登記記録上の住所【1】 現在の住所【2】 受任者 氏名 ㊞ |
【1】任意後見契約締結時の住所と、現在の住所が相違する場合に記載します。
変更がないときには【2】も単に「住所」と記載すれば大丈夫です。
●委任者本人の書類
□本人確認書類と□認印【1】
□印鑑証明書と□実印【2】
□(任意後見契約締結の時から住所が移転している場合は、関連のつく)住民票
□(任意後見契約締結の時から氏名が変更している場合は、関連のつく)戸籍抄謄本
□費用【5】
●受任者本人の書類
□本人確認書類と□認印【3】
□印鑑証明書と□実印【4】
□(任意後見契約締結の時から住所が移転している場合は、関連のつく)住民票
□(任意後見契約締結の時から氏名が変更している場合は、関連のつく)戸籍抄謄本
●(司法書士が受任者ではなく)委任者または受任者が終了登記の申請を司法書士に委任する場合
□司法書士への委任状
【1】【2】いずれかの組合せで結構ですが、念のために公証人と打合せください。
【3】【4】いずれかの組合せで結構ですが、念のために公証人と打合せください。
【5】次のような費用をご用意ください。
本来は、両当事者の間で、解除について合意が整うことが望ましいですが、次のような場合には、一方から解除することも可能です。
誰が、任意後見登記を抹消するのでしょうか?
任意後見登記をした公証人は、抹消登記の嘱託をしてくれません。次の二通りの方法があります。
【1】任意後見契約終了後の受任者にも「終了登記」を単独申請する権限があります。
任意後見契約終了後の受任者には「終了登記完了後の登記事項証明書」を単独申請し交付を受ける権限もあります。
後見登記等に関する法律第8条(終了の登記) | |
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後見登記等に関する法律第7条(変更の登記) | |
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後見登記等に関する法律第5条(任意後見契約の登記) | |
任意後見契約の登記は、嘱託又は申請により、後見登記等ファイルに、次に掲げる事項を記録することによって行う。
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次のとおりです。
業務の種類 | 司法書士の報酬 | 費用 |
合意解除の場合
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55,000円【1】 |
公証人認証費用5,500円 公証役場への交通費 後見登記事項証明書550円 登記手数料は無料 閉鎖後見登記事項証明書550円 申請用郵便費用520円 返信用封筒(原本還付あるとき)520円 完了謄本郵送費890円 |
【1】公証役場の場所により日当を頂戴することがあります。