遺言で財団を設立し、奨学金制度を作る。


「万一のときは、全財産を寄付しよう」と考えて財団、社団、NPO法人などを調べたけれど、理想のものが見つからなかった。

そんなときには、ご自身で財団法人などを設立し、運営を第三者に任せるのも一つの方法です。

  • 恵まれない子どもたちのための奨学金を作りたい。
  • 私の名前を子どもたちが覚えてくれるのは嬉しい。
もくじ
  1. 一般財団法人とは?!
  2. どのような一般財団法人を作れば良いか?
  3. 遺言で一般財団法人を設立する場合の流れ
  4. 司法書士の報酬・費用
  5. 人気の関連ページ

一般財団法人とは?


  • まず、一般財団法人は「会社法人の一種」です。
  • 次に、財団法人は「財産の運用を目的とする集まり」、社団法人は「人の集まり」です。
  • また、株式会社などであれば認められている出資者・設立者に対する配当をすることができませんので、一般財団法人は非営利目的法人とも呼ばれます。
  • 利益をあげて儲けても問題ありませんし、役員報酬や従業員給与を支払うこともできます。
  • 収益事業、公益事業など様々な事業を行なうことができます。
  • 純資産額が2期連続で300万円未満となった場合、2期目の定時評議員会の終結の時に解散する(一般法人法202Ⅱ)ことに、気をつけなければなりません。これがネックになりますので、設立時の基金をできるだけ大きくするか、キッチリと利益を確保する仕組みがないと、せっかく設立した財団を解散せざるを得なくなります。

他の種類の法人と比較すると一番分かりやすいです。

  一般財団法人 その他の法人
事業目的 制限なし

制限なし(株式会社、合同会社、一般社団法人)

法律で定められた特定非営利活動20分野に限定される(NPO法人)

設立費用

基金が300万円以上必要だが、手続費用は他の法人よりも低コスト

資本金・基金の拠出は不要(一般社団法人)

資本金などの拠出必要(株式会社)

所轄庁の認証が必要でその分高い(NPO法人)

設立

所要時間

短かい

所轄庁の認証が必要でその分長い(NPO法人)

イメージ

公益法人でなくても、公益性がありそうなイメージで信頼性が高く、人・資金を集めやすい。

商売のイメージ(株式会社など)

公益のイメージ(NPO法人)

必要人数

評議員3名

理事3名

監事1名

・・・他の法人よりも多いです【1】

株主1名、取締役1名(株式会社)

社員2名、理事1名(一般社団法人)

社員10名、理事3名、監事1名(NPO法人)

役員任期

評議員4年、理事2年、監事4年

※任期ごとに登記が必要

なし(合同会社)

最長10年(株式会社)

2年(NPO法人)

行政の監督

なし

なし(株式会社など)

年度ごとに事業報告を所轄庁へ提出(NPO法人)

情報公開

なし

事業報告などの情報公開義務(NPO法人)

税制優遇

非営利要件を充せばその事業は非課税

あり(NPO法人、公益社団法人)

利益配当 不可

可能(合同会社、株式会社など)

不可(NPO法人)

解散事由 純資産額が2期連続で300万円未満となった場合、2期目の定時評議員会の終結の時に解散する(一般法人法202Ⅱ)。

なし(株式会社、合同会社、一般社団法人、NPO法人)

どのような一般財団法人を作れば良いか?


寄付金(受贈益)に課税されない2階の一般財団法人を作りましょう。

法制度による分類 税法による分類(3階建)  
公益社団法人/公益財団法人  公益社団法人/公益財団法人  3階 ▶公益目的事業に課税なし
一般社団法人/一般財団法人 非営利徹底型【1】 共益型【2】 2階 ▶34業種【3】に課税
一般社団法人/一般財団法人 1階 ▶全所得に課税される

【1】特定の者に利益を与えない法人(下表をご参照)

【2】会費による共益的活動を図る法人(下表をご参照)

一般社団法人・一般財団法人と法人税/国税庁/H26.3パンフレット
一般社団法人・一般財団法人と法人税/国税庁/H26.3パンフレット

 

【3】下表を参照

一般社団法人・一般財団法人と法人税/国税庁/H26.3パンフレット
一般社団法人・一般財団法人と法人税/国税庁/H26.3パンフレット

遺言で一般財団法人を設立する流れ


遺言で財団を作りたいという場合の流れは次のとおりです。

今すぐ財団を設立したいという場合は、記事「一般財団法人の設立」をご参照ください。

ご相談

最寄りの当グループ各事務所にご予約ください。

「ご要望のお問い合わせ」へのご記入

当グループ定型の「ご要望お問い合わせ」シートをお渡しいたします。ご記入のうえ、どのような法人にするのかご相談ください。

類似商号・商標の調査

せっかく設立した法人の名称が、後日、類似商号だ、不正競争だなどとと言われないために、しっかりと調査をいたします。

遺言書の作成

一般財団法人を設立する旨と、定款に記載して欲しい内容を遺言に記載していただきます。

遺言の形式は、公正証書遺言によることをオススメしています。

定款の作成

遺言執行者が、遺言に記載された内容を定款を作成します。

財産の拠出

遺言執行者が遺産の中から法人に対して、財産の移転を行ないます。

不動産の名義変更など対抗要件の具備は、一般財団法人の設立後でも大丈夫です(一般法人法157Ⅰ但書)

設立時評議員、設立時理事、設立時監事の選任

これらの者を誰にするか具体的に定款で定めなかったときは、財産の拠出の履行が完了した後、遅滞なくこれらの者を選任しなければなりません(一般法人法159)。

理事、監事による設立時の調査

選任された理事と監事は、選任後遅滞なく、次の事項を調査します(一般法人法161)。

  1. 財産拠出の履行が完了していること。
  2. 設立手続が法令又は定款に違反していないこと。

一般財団法人設立の登記申請

司法書士が登記申請を行います。この日が一般財団法人の誕生日となります。

一般財団法人設立の登記完了

1週間程度で、登記が完了し、司法書士がチェックのうえ、お引渡しいたします。

その後の手続案内

一般財団法人名義の通帳などを作成することが可能になります。

一般財団法人に拠出された財産の名義を拠出者から一般財団法人に変更します(一般法人法157Ⅰ)。

司法書士の報酬・費用


財産内容等をお伺いしてから、見積書を作成いたします。

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