終活において、忘れてはいけないのが、相続税対策です。
税金も、法律同様に知っている者が得をする世界。
ところが、相続税対策だけを優先させると相続人が争う「争族」になってしまいます。したがって「相続税対策」は「ご自身のための財産管理対策」「ご家族のための遺産分割対策」ともバランスを取って行う必要があります。
当グループでは、資産税専門税理士とガッチリタッグを組んで、バランスの取れた相続税節税にも貢献します。
もくじ | |
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相続税評価額を抑え、ご家族が納める税額を節約します。
相続開始から10か月で納税しなければなりません。
すぐに使える預金・生命保険の額を予想される相続税額まで増やします。
富裕層の相続税節税の王道と言われる「暦年贈与」
長期間夫婦を継続した場合に認められる「おしどり贈与」
「教育資金の一括贈与」
「結婚・子育て資金の一括贈与」
「住宅取得など資金の贈与」
など、その方法は多様です。
納税資金に充てるために生命保険をかける。
終活は、3つの対策で出来ています。つまり、①ご自身のための財産管理対策、②ご家族のための遺産分割対策、③ご家族のための相続税対策です。
生命保険は、この3つの対策全てに使える優れもので、終活において生命保険は必須です。
万一のときに、ご家族がすぐに使える財産を適切な割合まで高めておく必要があります。
適切な割合は、ご家族の人数や財産の額によって人それぞれです。
スグに使える | 現金↔生命保険↔預金↔不動産↔自社株 | スグに使えない |
【1】現金(タンス預金)は、ご家族がスグに使える種類の財産ですが、言うまでもなく盗難・紛失リスクがあります。また、ご家族が複数の場合には「もっとあった筈では?!」など紛争が生じやすい種類の財産でもあります。
【2】自社株は、会社を経営されている場合に所有されている株式のことです。会社をご家族に継がせる場合には、現金化することはできません。一方、ご家族や従業員に継がせるのが困難な場合には、今のうちに第三者に売却して現金化することが出来ます。
ご子息が3人いらっしゃるときに、財産に全く同じ価値の不動産を3つ保有されていれば問題はありません。不動産が難しいのは、全く同価値の不動産は見つけられないことです。
また、一つしか不動産がないときに、三等分してしまうと、不動産の価値が下がってしまうこともあります。
不適切な不動産は、処分してしまうのが大切です。
【相続させない方が良い不動産の具体例】
理由 |
具体例 |
対策 |
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相続税評価>時価の不動産 | 時価に比べ不相当に高額な相続税が相続人に掛かってしまう。 |
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相続税評価・時価を把握し、必要に応じて生前に第三者に処分 |
時価の値下がりの激しい不動産 | 相続財産が目減りする。 | 売却して別の種類の財産にして、相続財産の目減りを防ぐ | |
管理困難物件 | 相続しても管理コスト(除草費用など)がかかってしまう負の不動産 |
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不動産の近隣地所有者への贈与などを行う。 |
相続財産の大半を不動産が占めている |
相続税の支払いに困難を生ずる可能性がある。 不動産を分けるのは困難を伴うことが多い。 |
相続税額を把握し、必要に応じて不動産を売却し、別の種類の財産にしておく 清算型遺贈の遺言を書いておく |
親の代で必要な整備を行うことで相続財産額を減らすことができます。
主なものは次のとおりです。
他にも
などがあります。
共通点は「いつかやるべきことを親の代で片付ける」ことです。
昭和 | 平成・令和 | |
時代背景 |
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節税対策 |
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【1】あくまで現時点の平均寿命であってまだ伸びる。また、最多死亡年齢は男性87歳、女性93歳。
【2】60代、70代でも若々しいのに、何もしない30年が残ってしまうからです。ところで、60歳を超えたら相続・事業承継対策が必要なのは同じです。早めに対策をすることで、親族内承継ができないときには、社内承継、M&Aへの切り替えと時間を掛けて取り組むことができます。
なぜ時間が必要かというと、株価一つをとっても、親族内承継するときは下げるべきでしょうが、外部へのM&Aでは上げるべきでしょう。株価については、親族内承継からM&Aに変わると方針は真逆になるからです。
【3】優良な不動産を親世代がいつまでも保有していると、賃料収入で遺産が膨れあがり相続税負担が大きくなります。優良不動産は子世代に早い目に移転しておくと親世代の遺産は膨れず、子世代の収入は増えるなどのメリットがあります。
【4】代々仕方なく相続してきた売却もできない不動産は、相続土地国庫帰属法などを利用し、国に帰属させる。審査手数料や負担金を親世代が支払えば相続財産が圧縮でき、子は優良な不動産のみ承継できる。負の不動産のために相続放棄しなくても済む。
【5】親名義で子の居住用不動産を購入するメリット
参照:税理士・公認会計士・弁護士関根稔著/「相続の話をしよう」/財経詳報社/R2.12.21
奇抜な相続税対策は、税務上、否認されるリスクがあります。
しかも、現行法では税法に適合しているように見える「奇抜な節税対策」も、それが効力を発生するのは数十年後です。
奇抜なものは、当局も見逃しません。節税対策が効力を発生する時点では、法令を改正されて「違法な節税対策」や「効果のない節税対策」になってしまっている可能性があります。
皆さんは、是非、本物の税理士にご相談いただき、節度を守った節税策を実行いただきたいと思います。もし、相続税対策に通じた税理士をご存じなければ、当グループにご相談ください。ご紹介させていただきます。
最高裁第三小法廷令和4年 4月19日判決 | |
〔裁判要旨〕
◆1 相続税の課税価格に算入される財産の価額について、財産評価基本通達の定める方法による画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情がある場合には、当該財産の価額を上記通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることは租税法上の一般原則としての平等原則に違反しない。 ◆2 相続税の課税価格に算入される不動産の価額を財産評価基本通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることは、次の(1)、(2)など判示の事情の下においては、租税法上の一般原則としての平等原則に違反しない。 (1) 当該不動産は、被相続人が購入資金を借り入れた上で購入したものであるところ、上記の購入及び借入れが行われなければ被相続人の相続に係る課税価格の合計額は6億円を超えるものであったにもかかわらず、これが行われたことにより、当該不動産の価額を上記通達の定める方法により評価すると、課税価格の合計額は2826万1000円にとどまり、基礎控除の結果、相続税の総額が0円になる。 (2) 被相続人及び共同相続人であるXらは、上記(1)の購入及び借入れが近い将来発生することが予想される被相続人からの相続においてXらの相続税の負担を減じ又は免れさせるものであることを知り、かつ、これを期待して、あえて当該購入及び借入れを企画して実行した。 (上記要旨は、WestlawJAPANによる。) |
銀行などから遺産分割対策や節税対策を薦められたこともあろうかと思います。
次のような点に注意してお聞きいただければ幸いです。
自社の利益・・・
銀行であれば、融資や投資信託を売ることです。
保険会社であれば、保険商品を売ることです。
工務店であれば、建物を建ててもらうことです。
司法書士をはじめとして、いわゆる専門家士業であれば、こういった柵(しがらみ)に一切囚われることなく、あなたご自身のためだけに対策をご提案することが可能です。
法律の裏をかいて節税プランを書くこともあるかもしれません。
極端な場合であれば、その提案に乗ったペナルティは、あなたの相続人が負担することになります。
相続税を節税を優先しすぎて、資産を相続人の共有にしたり、分散させすぎると、相続人同士があい争う「争続」になってしまいます。
「相続税対策」は「ご自身のための財産管理対策」「ご家族のための遺産分割対策」ともバランスを取って行う必要があります。
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