相続で負債・借金がないかの調査方法


いきなり「名前しか知らない方」の相続人になることがあります。財産や生活状況も分からない方の相続人になったときには、財産を相続したつもりが、多額の借金があって、プラスマイナスでは大損することもあり得ます。

そんなときには、負債がないのかを調査した上で「相続する」か「放棄する」かを選択することをオススメします。

あまり記事にされていない相続負債の調査方法を解説します。

もくじ
  1. 信用情報機関への照会
  2. 個人から借りていたら
  3. 手続の流れ
  4. 標準的な所要時間
  5. 司法書士の報酬・費用
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信用情報機関への照会


すべての金融機関(銀行、地銀、信金、クレジット会社、サラ金)に照会状を送付することは現実的ではありません。

そこでほとんどの金融機関であれば加盟している以下3つの信用情報機関に照会するのが一般的です。また複数の信用情報機関に加盟している金融機関もあります。

1.全国銀行協会(全国銀行個人信用情報センター)

日本のすべての銀行が加入しています。

政府系の金融機関(日本政策金融公庫)なども加入しています。

2.CIC

主に、クレジット会社・携帯電話会社が加盟しています。

3.JICC(株式会社日本信用情報機構)

消費者金融会社、クレジット会社、信販会社などが加盟しています。

旧テラネット、旧シーシービー

金融機関の負債は、確実に調査できるのか?

結論から申し上げると、確実に調査できるとは限りません。

下記2.3.4.に該当する可能性があるからです。

  1. 保管している情報は、契約終了・完済している場合のみであるため、借金が残っている場合は何年前であっても情報に載る。
  2. 開示対象者が死亡している場合、債権者(金融機関)が死亡を知った時点で、情報を削除している可能性はある。
  3. 債権者(金融機関)が信用情報機関に加盟していない別会社に債権を譲渡している場合には、情報として出てこない。
  4. 債権者(金融機関)が信用情報機関から退会している場合には、情報として出てこない。

 

個人から借りていたら?


次のような場合には、借金の有無を判別することは困難です。

  1. 個人(貸金業者ではない方)から借りていた場合
  2. 個人(貸金業者ではない方)から借りている方の連帯保証人になっている場合

借金があるかどうか、問い合わせることが出来ないからです。

個人からの借金は10年で時効消滅しますので、10年間相続手続を放置してからであれば100%安全ですが、そういう訳にもいきません。

 

そういった場合には、相続財産をみて判断するしかないのかもしれません。

例えば、現預金がたくさんある方が、個人から借り入れをすることは少ないでしょう。

 

ある程度は運の部分もあろうかと思います。

手続の流れ


ご相談

最寄りの当グループ事務所にご相談ください。手続の流れをご説明したうえ、戸籍収集用委任状、法定相続情報証明作成用委任状、照会用委任状にサインを頂戴します。

戸籍収集

相続関係図作成

法定相続情報証明作成

(相続の承認・放棄の申述期間の伸長申立)

相続の開始から3か月以内に戸籍収集、法定相続情報証明作成、財産調査、借金調査そして相続するか相続放棄するか判断、必要に応じて相続放棄申述をする必要があります。

3か月の期間はあまりにも短いですので、財産規模などによってはこの3か月を伸長する申し立てをオススメします。

信用情報機関への照会状の作成

(ご依頼者様の手元へ)信用情報機関から回答書

どの信用情報機関も照会状の発送から2週間程度で、ご依頼者様のお手元へ信用情報機関からの回答書が届きます。

借金の有無は高度な個人情報ですので、いずれの信用情報機関もご依頼者へ直接回答する取扱いしかありません。

(ご依頼者様が司法書士へ)信用情報機関から回答書を提示

回答書の読み間違いがないよう司法書士にお見せいただくことをお勧めします。

標準的な所要時間


手続き 所要時間
照会書作成~発送 1週間
発送~信用情報機関からの回答  2週間 
合計 3週間

戸籍収集相続関係図作成、法定相続情報証明相続承認放棄期間の伸長申立などをご依頼の場合には、その時間も必要です。

司法書士の報酬・費用


業務の種類 司法書士の報酬 費用
 信用情報機関3社に対する負債照会 3社で33,000円(税込) 3社で5,000円ほど

ご依頼内容に応じて、戸籍収集相続関係図作成、法定相続情報証明相続承認放棄期間の伸長申立などの報酬・費用が必要です。

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