未支給の年金は、相続財産ではありません。受け取り漏れがあった過去の年金も、相続財産ではありません。(相続財産ではないので、未支給の年金を請求できる方には、制限があります。)
一方、既に口座に振り込まれ、預金債権と化した年金はもちろん相続財産です。
ちょっと分かりにくいかもしれませんので、詳しくお話します。
なお、未支給年金の請求手続は社会保険労務士さんの業務です。
当グループに相続手続をご依頼の方に「未支給年金」があった場合、提携社会保険労務士さんをご紹介いたします。
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年金は、年6回に分けて支払われます。
支払月は、2月、4月、6月、8月、10月、12月【偶数月】になっています。
それぞれの支払月には、その前月までの2か月分の年金が支払われます(国民年金法18Ⅲ)。
例えば、4月に支払われる年金は、2月、3月の2か月分です【後払い】。
年金の支払日 | 支払対象月 |
2月 | 12月、1月の2か月分 |
4月 | 2月、3月の2か月分 |
6月 | 4月、5月の2か月分 |
8月 | 6月、7月の2か月分 |
10月 | 8月、9月の2か月分 |
12月 | 10月、11月の2か月分 |
以上、「年金の支払月」については、日本年金機構HPより
死亡時点で、未支給であった年金を未支給年金といいます。
年金は、過去2か月分を支払うという後払いです(「年金の支払月は」をご参照)。
年金は、死亡日の属する月の分までをもらうことができます(国民年金法18Ⅰなど)。
よって、年金は、必ず未支給年金があることになります。
被相続人口座に振り込まれたとき | 振り込まれなかったとき | |
偶数月(12・2・4・6・8・10月)に亡くなられた方 |
2・4・6・8・10・12月まで待てば受給可能。 ただし、1・3・5・7・9・11月の本来受け取れない1か月分を返還する必要がある。 |
1か月分の未支給年金を請求する必要がある。 |
奇数月(1・3・5・7・9・11月)に亡くなられた方 |
2・4・6・8・10・12月まで待てば受給可能。 余分に受け取っていないので、返還不要。 |
2か月分の未支給年金を請求する必要がある。 |
相続財産ではないので、相続人であれば、誰でも請求できるという訳ではありません。
また、相続財産ではないので、受け取った他の相続人に対して取り分(法定相続分)を請求できるという訳ではありません。
被相続人から見た続柄 | かつ |
生計を同一とする者 【1】 |
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第1順位 | 配偶者 | ||
第2順位 | 子 | ||
第3順位 | 孫 | ||
第4順位 | 父母 | ||
第5順位 | 祖父母 | ||
第6順位 | 兄弟姉妹 | ||
第7順位 | 3親等内の親族 | ||
※ 上位の順位者がいると、下の順位の方は受け取れない。 |
【1】一般的な意味よりも若干広い要件です。
そのような場合、誰も未支給年金を受け取ることができません。年金機構が得をしたようなお話になりますが、法律で決まっているので仕方がありません。
(令和2年1月・あなまち司法書士事務所・司法書士佐藤大輔)