相続税の基礎控除枠が小さくなって
お客様の中にも相続税の申告が必要な方が増えてきました。
申告をして、軽減制度を利用することで税金がかからない相続もありますが、申告期限(死後10か月)を越えてしまうと、軽減も受けられません。
当グループでは、
きっちりとチェックをし、必要に応じて、相続税専門の税理士におつなぎしています。
また、相続や税金に関しては、多くのデマ(嘘)が流布されています。 相続が発生したときには、必ず司法書士または税理士にご相談ください。 |
もくじ | |
|
パターン1 | 相続税なし | ▶相続税申告不要 |
パターン2 |
申告すれば、各種軽減の適用を受けられて、相続税なし |
▶相続税申告必要 |
パターン3 | 相続税がかかる | ▶相続税申告必要 |
あまり知られていないのが「パターン2」の申告すれば、無税パターンです。
各種軽減の適用を受けるためには、期限内に申告する必要があります。
相続財産が、以下の金額に満たない場合には、相続税はかかりません。
昔 | 今 | |
法定相続人の人数 | 5000万円+(1000万円×法定相続人数 ) |
3000万円+(600万円×法定相続人数 ) |
3人 |
5000万円+(1000万円×3人)=8000万円 |
3000万円+(600万円×3人)=4800万円 |
4人 | 9,000万円 |
5,400万円 |
5人 |
1億円 |
6,000万円 |
まだ、相続税申告しなくても良いんだと、安心してはいけません。
財産の種類ごとに注意すべき点は、次の通りです。
生前贈与をした際に、『相続のときに精算するから、今は贈与税を掛けないでとの申告(相続時精算課税)』していた場合です。
詳しくはこちらをご覧ください。
不動産の価格にはいろいろな種類があり、用途に応じて使い分ける必要があります。
相続税額算出に使うのは、①税理士が路線価から計算する路線価評価か、②税理士が不動産鑑定士に外注する時価です。
考え方 |
金額イメージ【1】 |
|
公示価格 |
毎年1月1日時点における全国3万地点の標準地の正常価格。 各標準地ごとに2人以上の不動産鑑定士によって行われた鑑定評価をもとに国土交通省が決定し、毎年3月に公表する。 |
100 |
路線価 |
国税庁が毎年7月に公表する。 全国のものがHPで公開されています。 土地が面している道路ごとに路線価が設定されており、主に土地の相続税評価を算出するために使います。 路線価がない地域は倍率表を使って計算します。 |
80 |
固定資産税評価 |
固定資産税を課税するために市町村が算出した価格。 建物の相続税評価では、そのまま固定資産税評価額を使います。 |
70 |
【1】金額イメージ
公示価格を100とした場合、路線価はおおよそ80、固定資産税評価はおおよそ70となるように算出されています。
【税理士による評価と、不動産鑑定士による評価の違い】
税理士も不動産鑑定士も、相続税申告のために不動産を評価する場合には、出来るだけ安く評価するようにしてくれます。ところが、その評価額には大きな差が生じることがあり得ます。
税理士による評価は「相続税財産評価に関する基本通達」に基づいて、その範囲内でしか評価を下げることができません。
一方、不動産鑑定士による評価は「不動産鑑定評価基準」によって種々の要素を加味して判断し、大幅に評価を下げることができます。よって、相続税申告のための評価では、不動産鑑定士の方が安くすることができるのです。
良く例に出るのは、市街地の中にある山林です。市街地には路線価が設定されていますので、路線価で市街地の山林を計算するととんでもなく高額になることがあります。そこで、不動産鑑定士の出番が来るというわけです。もっとも、不動産鑑定士に依頼すると別途その報酬が発生しますので、見極めが必要です。
以上を表にまとめると次のようになります。
税理士の評価 | 不動産鑑定士の鑑定評価 | |
評価基準 | 相続税財産評価に関する基本通達 | 不動産鑑定評価基準 |
判断要素 | 通達に従った評価でほとんど判断はしない。 | 判断する。 |
価格の相違 | どの税理士さんが評価しても、本来ない筈 |
どの不動産鑑定士さんに依頼するかで、 かなりある。 |
価格の性格 | みなし時価 | 時価 |
費用 | 相続税申告の報酬に含まれる |
相続税申告の報酬以外に 別途不動産鑑定士報酬が発生する。 |
自動車の評価は、色々な場面で必要になりますが、次のサイトがとても分かりやすかったので、ご参照ください。
自動車(車両)の相続税評価を徹底解説/税理士法人トゥモローズ/最終アクセス210724
よく分からなくなる次のような論点について解説されています。
民法上は、相続財産ではありません(生命保険契約によって、相続開始を条件に指定受取人が受け取ることができる指定受取人の固有財産と考えます。)が、相続税を計算するときには相続財産とみなして課税されます(相続税法3Ⅰ①)。
以下の非課税枠があります。
500万円×法定相続人の数 |
民法上は、相続財産ではありませんが、相続税を計算するときには相続財産とみなして課税されます(相続税法3Ⅰ②)。
以下の非課税枠があります。
500万円×法定相続人の数 |
相続財産から控除することができます。
養子も法定相続人にカウントしますが、次のとおりです(相続税法15Ⅱ)。
被相続人に実子がいるとき | 養子のうち1人までを法定相続人に加算 |
被相続人に実子がいないとき | 養子のうち2人までを法定相続人に加算 |
相続税を支払いたくないために、たくさんの方と養子縁組をするのを予防しています。
次の養子は(相続税法上では)実子とみなされますので、すべて法定相続人の数に含まれます(相続税法15Ⅲ、相続税法施行令3の2)。
相続放棄をした人がいても、その放棄はなかったものとして、相続税上はカウントします。
放棄するか否かは、私人がコントロールでき、税法は恣意的な行為によって、税額が変わることを嫌うためです。
要件に当てはまる場合、宅地の価格を最大80%減額して評価する制度です。
建物が建っている土地、アスファルト敷きのパーキングなど
面積の上限などもあります。
相続税申告書に特例を受けようとする旨の記載が必要です。
配偶者が実際に相続した遺産額が「1億6000万円以下の場合」又は「配偶者の法定相続分相当額までの場合」は、配偶者には相続税はかかりません。
相続税申告書の提出が必要です。
当グループでは、相続手続きをお受けしたお客様のご要望によって、相続税を心配しないで良いか、財産内容をお伺いします。
相続税の申告が必要かをきっちりとチェックして、税理士さんをご紹介するまでが、当司法書士グループのお仕事です。
具体的な相続税の算出につきましては、ご紹介した税理士さんにご確認ください。
土地は路線価によって計算
小規模宅地等の特例など
基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数〔1〕です。
〔1〕法定相続人の数には、相続放棄した者を含みます。相続放棄の有無によって基礎控除が小さくなることはありません。
〔2〕法定相続人に要旨がいる場合の法定相続人の数は、次のとおりです。
相続税の速算表
課税価格 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | 0円 |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
それぞれ人的要因に基づく控除を行ないます。
などです。