養子縁組


事業や資産を、後継者に継がせようとするときに、養子縁組は有効な手段の一つです。

しかし、養子縁組にはデメリットもありますので、慎重にご判断いただく必要がございます。

 

事業や資産を承継させたい(したい)けれど、具体的な方法がわかならい。

そんなときは、当グループにお任せください。

早めに対策して安心ください。問題点を整理して、プランを作成し、実行をお手伝いします。

もくじ
  1. 養子縁組のメリット・デメリット
  2. 節税目的の養子縁組は税務上否認されないか?!
  3. 兄弟姉妹を養子に迎える場合の注意点
  4. Q&Aよくあるお問合せ
  5. 人気の関連ページ

養子縁組のメリット・デメリット


メリット デメリット
  1. (相続人ではない後継者と養子縁組すれば)後継者が相続人の立場で承継できる。
  2. 相続税が節税できる。相続税の基礎控除枠となる相続人の数が増える【1】。
  3. 養親・養子間に扶養義務が生じる。
  1. 養子の姓が、養親の姓にかわる。
  2. 養親・養子間に扶養義務が生じる。
  3. これまで遺族年金を受け取っていた方が養子になると遺族年金を失うことがある【2】。
  4. いったん養子縁組すると、離縁するためには離婚手続同様の手間がかかる。
  5. 相続争いの可能性が高まることがある。

【1】相続税の基礎控除ができる養子の人数には、制限があります。

実子がいる場合、一人まで。

実子がいない場合、二人まで。

【2】「直系血族または直系姻族以外の方の養子となったとき」には遺族年金の受給資格を喪失します(遺族年金を受けている方が結婚や養子縁組などをしたとき/日本年金機構/最終アクセス230131)

兄弟姉妹間は傍系血族の関係にありますので、弟妹が遺族年金を受給している場合に、兄弟姉妹間で養子縁組すると遺族年金の受給資格を喪失します。

祖父と孫は直系血族の関係にありますので、祖父と孫が養子縁組をしても孫は遺族年金の受給資格を喪失しません。

節税目的の養子縁組は税務上否認されないか?!


養子縁組による節税を否認した事例は見つけられません。

 

多くの税理士がHPなどで引用する下記最高裁判決はありますが、あくまで私人間の紛争に関する裁判例であって、対税務署のものではないことに注意が必要です。つまり、税務上否認されるリスクがゼロではありません。

最高裁平成29年1月31日判決(事件名:養子縁組無効確認請求事件)
   相続税の節税の動機と縁組をする意思とは,併存し得るものである。したがって,専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても,直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできない。

兄弟姉妹を養子に迎える場合の注意点


  • 兄弟姉妹を養子にすると、兄弟姉妹相続人の2割加算がなくなり相続税は小さくなります。
  • ただし、兄弟姉妹が多い場合に、一人の兄弟だけを養子にすると、他の兄弟姉妹の相続権が無くなり相続人が減ります。その結果、基礎控除枠(3000万円+600万円×相続人)が小さくなり、相続税が増えることがあり得ます。

Q&A よくあるお問い合わせ


Q.養子縁組の具体的手続を教えてください。

婚姻届同様に市役所で行ないます。手続も婚姻届同様簡単です。 ただし、養子が未成年の場合には、家裁の許可が必要です(孫や配偶者の子を養子とするときは扶養です。)。当事務所グループでは、未成年養子の縁組許可申立書の作成を請け負っております。 また、養子に実子がいる場合には、入籍届を提出する(父母の戸籍に入る)か、提出しない(父母の戸籍に入らない)かを選択します。


Q.養子縁組しただけで同一世帯扱いとなりますか?

これは司法書士の専門外ですので、税理士に確認しました。回答は次のとおりです。

養子縁組をしたからといって同一世帯として一本化する必要はありません。

 

税務上『同一世帯扱い』という考え方は無く、近い言葉としては『同一生計』というものがあります。『同一生計』はいわゆる「財布が同じ」という考え方で、同居の場合では明確に区分されているとき【1】以外は『同一生計』となります。

 

また、扶養控除や医療費控除などの所得税法上の控除の判定に『同一生計の親族』という条件が使われます。この『親族』は6親等内の血族と3親等内の姻族を指します。したがって、兄姉が弟妹を養子に迎える場合には、兄弟姉妹(2親等内の血族)でも、養親子(1親等内の法定血族)でも変わりません。

 

【1】例えば、住民票を別々にしていれば「別世帯扱い」となります。

(令和5年1月31日・あなまち司法書士事務所・司法書士佐藤大輔)


Q.市県民税はどのように課税されますか?

これは司法書士の専門外ですので、税理士に確認しました。回答は次のとおりです。

市県民税は個人別に課税されますので養子縁組前後で課税方法は変わりません。

一方が他方を市県民税計算上の扶養控除の対象にする場合において、子が親を扶養控除の対象にするときのみ控除額が増加します(同居老親等という判定になります)。

世帯全員が住民税非課税であれば、介護サービスの利用や保険料の支払いが安くなることがあります。

従って、同居老親がいる場合、同一世帯であれば、世帯を分離した方が有利なケースがあります。

(令和5年1月31日・あなまち司法書士事務所・司法書士佐藤大輔)


Q.年金はどうなりますか?

これは司法書士の専門外ですので、社会保険労務士と税理士に確認しました。回答は次のとおりです。

直系血族または直系姻族以外の方の養子となったときには、遺族基礎年金・遺族厚生年金とも受給資格を喪失します。したがって、兄姉が弟妹を養子にする場合には、受給資格を喪失します。

氏名が変わるので、後日年金事務所へ「年金受給権者氏名変更届」の手続きが必要です。氏名変更届の用紙は、電話で年金事務所へ問い合わせすれば送付していただけるとのことです。

(令和5年1月31日・あなまち司法書士事務所・司法書士佐藤大輔)


Q.国民健康保険はどうなりますか?

これは司法書士の専門外ですので、税理士と社会保険労務士に確認しました。回答は次のとおりです。

保険料は前年度の世帯収入に応じて、世帯ごとに課せられ、世帯主が納付義務者となります。

住民票を同一世帯にすると、養親と養子の二人の収入合計額で計算されます。

住民票を別世帯にすると、養親と養子がそれぞれ世帯主になりますので、保険料の計算は自分自身の収入のみで計算されます。保険料を払うのは各自が払います。

 

ところで、健康保険料は、「所得割」「平等割」の合計額です。

世帯ごとに計算されますので、所得割は別世帯が有利ですが、平等割は世帯ごとにかかるので同一世帯が有利です。

 

お二人の収入が少なく非課税世帯になるのなら、同一世帯でも国民健康保険料は変わらないとは思います。正確な金額は区役所の国民健康保険の窓口で相談されることをオススメします。

(令和5年1月31日・あなまち司法書士事務所・司法書士佐藤大輔)


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