司法書士は、あなたのご意向を聴取し、契約書等を作成します。契約書等を公正証書にしておいた方が良い場合には、司法書士は、あなたにその旨を説明します。公正証書にするためには公証役場にいる公証人にもお願いする必要があります。
公証人の手数料は、日本公証人連合会のホームページでも計算方法が掲載されていますが、難解です。そこで、このページでは、司法書士でも迷う「公証人の手数料」について、まとめました。
※ このページに記載した金額は、司法書士の報酬ではありません。全国一律に法律で定められている公証役場の公証人の手数料(報酬)です。お間違いございませんようご注意ください。
公証人の手数料(報酬)には、2種類、すなわち「定額のもの」と「目的の価額」から算出するものがあります。それぞれ説明します。
もくじ | |
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700円/通
定款認証手数料は、資本金の額により変わります(手数料令40)。
資本金の額 | 公証人手数料 | 実費総額 |
100万円未満の場合 | 32,020円 | 183,600円 |
100万円以上300万円未満の場合 |
42,020円 | 193,600円 |
その他の場合 | 52,020円 | 203,600円 |
「目的の価額」から算出が必要なものの場合には、次の3ステップが必要です。
①受遺者ごとにもらう財産の合計金額を算出します。
なお、公正証書遺言の対象となる財産の価格とは次の金額です。
財産の種類 | どの数字を見るか |
現金・預金 | 遺言作成時点での残高 |
保険・共済 | 遺言作成時点での解約返戻金 |
土地・建物 | 遺言作成時点での固定資産評価額 |
その他 | 遺言作成時点での時価 |
祭祀承継 | 算定不能として扱う |
②受遺者ごとにもらえる財産の合計金額欄の右欄「公証人手数料(小計)」の金額をピックアップします。
③ ②で算出された金額を合計し、下表の額を加算した額が、公証人の報酬(手数料)となります。
加算の理由 | 加算金額 |
常に | 用紙代数千円 |
遺言の目的の価額が1億円以下のとき | 遺言加算+11,000円(公証人手数料令19Ⅰ) |
公証役場外で作成するとき | 2万円/日。4時間以内は1万円(公証人手数料令43) |
病床で作成するとき | 1.5倍(公証人手数料令32) |
契約書中に記載された報酬額によって次のとおり計算
これに対して、任意後見契約の場合には、
「任意後見契約公正証書の手数料は、1契約につき1万1000円、それに証書の枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書きの証書にあっては、3枚)を超えるときは、超える1枚ごとに250円が加算されます。報酬の定めがある場合でも、契約の性質上、目的価額は算定不能となるので、手数料令16条により1万1000円になります。
病院等に出張して任意後見契約公正証書を作成した場合には、遺言公正証書の場合と同様に、日当、旅費が加算されます。病床執務加算がされる場合もあります。さらに、任意後見契約は登記が必要であり、1契約ごとに、公証人が登記の嘱託をすることになっています。このための登記嘱託手数料は1400円(手数料令39条の2)ですが、ほかに法務局に対する登記嘱託の収入印紙代2600円及び郵便代(実費)が必要です。」
(以上、日本公証人連合会『公証事務・手数料-売買契約、遺言等の公正証書作成手数料の具体的な事例の説明-7任意後見契約』最終アクセス241029)
<手数料算定に必要な情報>
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<目的の価額の計算式>
保証金+(月額賃料+月額共益費)×2倍×12か月×契約期間(最長10年)
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<計算式への当てはめ>
1,879,200+(344,520+44,000)*2*12*2=96,497,200=5000万円を超え1億円以下
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<具体的な手数料額>
目的価格5000万円を超え1億円以下に相当する手数料=43,000円
750円/頁×24枚×2通=36,000円
<債務者が出頭する場合の交付送達費用>
交付送達費用(1件)1400円
送達証明(1件)250円
<公証人手数料(報酬)合計>
43,000円+36,000円+1,400円+250円=80,650円