銀行に遺言を任せてはいけない6つの理由


「相続手続は〇〇銀行へ」「遺言相談は〇〇銀行へ」銀行に行くと目に入ってくるこれらの広告。

広告を信用して、銀行に遺言作成を任せても、大丈夫でしょうか?!

こたえは、NOです。

「銀行に任せてはいけない6つの理由」「すでに銀行に依頼してしまった場合の対応策」をご説明します。

もくじ
  1. 銀行に遺言を任せてはいけない6つの理由
    1. 銀行は遺言(法律)の専門家ではありません。
    2. 遺言は万能ではないが、他の方法を提案するノウハウがない。
    3. 金融機関に資産をすべて公開することはリスクを伴なう。
    4. 金融商品を営業されることがある。
    5. 報酬がすごく高い。
    6. 解約したら高額の違約金を取られることがある。
  2. すでに銀行に依頼してしまった場合の対応策

銀行に遺言を任せてはいけない6つの理由


遺言書の原案を作成することが多い司法書士から見て、少なくとも次のような理由があります。

❶ 銀行は遺言(法律)の専門家ではありません。


銀行員になるために、司法書士や弁護士のライセンスは必要とされていません。

ですから、彼らは法律の専門家とは言えないのです。

銀行法務部が作った「ひな形」の遺言で、あなたの希望は実現できますか。

当グループでは、銀行作成遺言ではご要望を叶えることができないことを確認し、作り直しすることが度々ございます。

❷ 遺言は万能ではないが、他の方法を提案するノウハウがない。


遺言は「遺言者の死後にしか」効力を発揮することが出来ません。

ですから、生前の認知症対策(財産管理)には全く効果がありません。

こういったご要望がある場合には、成年後見や家族信託を提案すべきですが、銀行員は法律の専門家ではないため、提案することが出来ません。

また、争続対策としても遺言だけでは不十分なことがありますが、銀行員にはそこまで提案できる能力はありません。法律の専門家ではないからです。

❸ 金融機関に資産をすべて公開することはリスクを伴なう。


遺言作成を依頼した銀行で、借入(会社名義を含む)をしていませんか?

もし借入金の返済が滞った場合には、資産を押えられる(自行預金との相殺、他行預金の仮差押・差押、不動産の仮差押・差押など)可能性があります。

❹ 金融商品を営業されることがある。


資産をすべて公開した結果、銀行から凄まじい営業を受けたというお話しを何度も聞いています。

銀行が遺言や遺産整理業務に手を出すのは、皆さんの資産把握のためではないかと思われるほどです。

 

しかも紹介される商品は、多くの手数料が銀行に入るものではないかとの疑念が拭い去れません。

しょせん銀行は中立の立場ではないのです。

❺ 報酬がすごく高い。


各銀行HPを閲覧して、手数料を比較してみました(令和2年12月13日時点)。

銀行とも最低報酬を121~198万円(遺言書作成と遺言執行の報酬合計)と設定していますが、すごく・・・高額報酬です。また、銀行に依頼した場合、これらとは別に司法書士報酬が掛かります。

  銀行名 プラン名 報酬

遺言作成

【1】

遺言執行

【2】

中途解約

【3】

M銀行(赤) 100万型 110万 遺産の0.33~1.98%-100万(最低77万) なし
30万型 33万 遺産の0.33~1.98%(最低165万) 22万
M銀行(緑) 100型 110万 遺産の0.22~2.2%-110万(最低55万) 【4】
20型 20万 遺産の0.22~2.2%(最低165万) 【4】
M銀行(紺) 遺言に関するサービスを見つけられませんでした。
R銀行(緑) 基本コース 33万 遺産の0.55~2.2%(最低110万) 16.5万

オプション

88万 遺産の0.55~1.1%(最低55万) なし

M信託銀行(赤) 100万型 110万 遺産の0.33~1.98%-100万(最低77万) なし
30万型 33万 遺産の0.33~1.98%(最低165万) 22万
M信託銀行(緑) プランⅠ 33万 遺産の0.33~2.2%(最低110万) 【4】
プランⅡ 88万 遺産の0.33~2.2%-77万(最低33万) 【4】
M信託銀行(紺) プラン100 110万 遺産の0.33~1.1%(最低33万) なし
プラン30 33万 遺産の0.33~1.87%(最低110万) なし

【1】遺言作成時に銀行に支払う報酬です。

銀行は「遺言作成」と「遺言執行」の総報酬が安くなることをアピールして「遺言作成100万円コース」をススメています。

司法書士に依頼した場合に、遺言作成報酬が100万円に達することは、余程の資産家の方でないとあり得ません。当グループ「遺言作成」報酬はコチラですので、比較してみてください。

【2】自行が預かっている預貯金にすらパーセンテージで報酬をとるのは、信じられないことです。

相続人ご自身が窓口に行った場合、送金手数料・数百円以外の費用は発生しません。

【3】解約料を取られることのデメリットについては、次に詳しく述べます。

【4】緑の銀行グループでは、中途解約をした場合の違約金に関する定めがHP上で見つけられませんでした。もっとも「中途解約しても『違約金なし』」との記載も見つけられませんでした。

❻ 解約したら高額の違約金を取られることがある。


上表の「中途解約」欄記載のとおり高額な違約金を取られることがあります。

高額な違約金を遺言書作成時に約束させられることには、次のような大きなデメリットがあります。 

遺言は、いつでも自由に撤回したり(遺言撤回の自由:民法1022条)、何度でも自由に書き換えることが出来ます(民法1023条)が、解約手数料を取られると思うと、遺言を撤回したり遺言を書き換えることを躊躇することになり、遺言書を書き換える自由が侵害されます。

司法書士などの専門家に直接「遺言作成」を依頼した場合であれば、仮に後日それをキャンセルしてもキャンセル料などを請求されることはありません。キャンセルされること自体で損害を被ることはないからです。
また、銀行が高額な違約金を請求することは消費者契約法に違反している可能性さえあります。

すでに銀行に依頼してしまった場合の対応策


「銀行に遺言を依頼するメリットは一つもない」ことをお分かりいただけたと思います。

万一、銀行に依頼して遺言を作ってしまったという場合には、

すぐに司法書士や弁護士に、遺言内容の見直しをご依頼なさることをオススメします。

 

当グループでも遺言書の見直しを含めた生前対策を承っています。

当グループの生前対策では、認知症対策・争族対策・相続税対策をトータルでご提案し、ご好評いただいています。

対策 位置づけ 具体的な方法

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